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映像で沼津の魅力を知る~沼津ショートムービーフェスティバル~

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沼津ショートムービーフェスティバルをご存じだろうか?
沼津市の持つ魅力、「ぬまづのお宝100選」を題材とした10分以内のショートムービーを募集し、市内の映画館で入賞作品の上映を行うというもの。
市制施行90周年記念事業の一環で今回が初めての試みとなる。
これは映画等の撮影場所を誘致して地域活性、文化振興を図ろうというフィルム・コミッションの一部として行われたものだ。沼津市内が撮影地となり、沼津の魅力をPRする映像やそこに行ってみたくなるような映像をテーマにプロ、アマ問わず計15作品が集まった。
入賞した11作品は会場となったシネマサンシャイン沼津にて上映された。

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“上映会を文化センターや図書館でやろうという案もあったんですけど、やっぱり付加価値を付けたいと思いまして映画館でやったんです”

インタビューに答えていただいたのは沼津市観光交流課の尾和富美代さん。
今までにない形の企画だったのでどうなるのか不安だった面もあったそうだが当日は定員である150名で映画館は賑わった。
上映された11作品はどれも工夫を凝らした作品。それぞれの視点で沼津の魅力を伝えるものだ。そのなかから最優秀賞1作品、優秀賞5作品が選ばれた。

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優秀賞を獲得した「トライアングル」を制作した加藤悠人さんは大学時代に趣味で映像を制作、1年前に仕事の関係で沼津に来た。外から見た沼津をテーマに初めて沼津を訪れた人がどんなところに魅力を感じるかを作品にした。
同じく優秀賞の「御成橋物語」を制作したのは沼津プロレス代表の高橋裕一郎さん。ひとりの女性が沼津の街によって元気をもらい、成長していくというストーリー性を持たせた作品によって沼津の良さを知ってほしかったと高橋さんは言う。
最優秀賞は山本広気さん(NUPURI FILMS)。普段より映像制作の仕事を手掛ける山本さん。沼津で生まれ育った山本さんは今回のショートムービーフェスティバルをチャンスだと思ったそうだ。沼津の海、山や川、街など約40カ所を丁寧に映し出した作品。そこに注ぎ込まれた時間と情熱は圧倒的である。
審査委員長を務めた松竹チーフプロデューサーの石塚慶生さんの評によれば断トツの出来だったとのことだ。

“今まで沼津に住んでいてやっと恩返しができました”

山本さんからは最優秀賞の喜びと共に感謝の言葉がでる。

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今回入賞した11作品はすべてYouTubeで観ることができる。
画面に映る沼津の自然や街並み、沼津で暮らす人々はもちろん、映像を撮っている側の個性も楽しんでほしい。
どんな想いをもって映像を撮影しているのか、そんなことを考えながら観ていただきたい。
撮影者の想いと共に沼津の魅力を再発見できるに違いない。

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入賞作品は下記URLから見る事ができる。
http://www.youtube.com/user/numazucity/featured

photo by chiye kawakami

 

狩野川河川空間がオープン化 ~狩野川ローカルマーケット~

2月末、河川空間が利用しやすくなる「都市・地域再生等利用区域」に狩野川の上土のエリアが中部地方で初めて指定され、中部地方整備局の五十嵐河川部長から栗原市長が指定書の伝達を受けた。

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昨年から河川敷で社会実験事業がスタートし、指定書を受けた今年4月からは“かのがわ 風のテラス”として本格的に河川空間を利用することができる。

そのプレイベントとして3月16日(日)に狩野川ローカルマーケットが開催される。

 
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この日、狩野川には~川がつなぐ“食”と“ひと”~テーマに
山のもの、畑のもの、海のもの、その生産者たち、街の飲食店、花屋、古本屋も出店し、この地域ならではのマーケットが現れる。

天城の山の生産者から沼津港の水産業者まで、狩野川がつなぐ食を購入し食材はBBQ台で焼くこともできる。
ワークショップは、ベビーマッサージからカヤック、スプーンづくりまで赤ちゃんから大人まで楽しめる。
水辺のステージでは、全米のダンス大会で優勝をした加藤学園のチアリーダ部からジャズシンガーまで集まる。

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~ 川がつなぐ“食”と“ひと” ~

3月16日(日) 10:00~14:30
@風のテラス (沼津市上土町 狩野川右岸階段堤)
雨天時:場所変更

■川がつなぐマーケット
・野菜・山葵・麦豚のソーセージ・天城軍鶏・沼津地酒・はちみつ・サバ製品・干物・卵
・沼津地酒・焼き菓子 フラワーショップ・古本屋

■BBQ
購入した食材を焼いてお召し上がり頂けます。
・Free焼き台 どなたでも焼けます。
・予約BBQ台 (お問い合わせ:Lot.n 055-919-1060)

■ワークショップ
• 体験カヤック :Lot.n
・植物で世界をつくろう : 中村園芸
・銅を叩いてスプーンづくり :小野銅工店
・木を削ってスプーンづくり :ありしろ道具店
・ペインティング
・けん玉で遊ぼう!

■水辺のステージ
10:00~ numazooラジオ
11:15~ 大道芸
11:50~ 加藤学園 チアリーディング部
12:15~ 音楽村ステージ

授乳スペース有り

【狩野川ローカルマーケットHP】
http://kanogawa-life.jp/market.html

上土商店街にきつねを出現させる!?~Fox’s make Team(フォックスメイクチーム)~

沼津にある上土商店街ではきつねの嫁入りが年に一度開かれる。
その日、町中がキツネになる。

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この光景が出来上がるまでにはあるチームの存在が必要不可欠だ。
それが“Fox’s make Team(フォックスメイクチーム)”だ。

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当初、きつねの嫁入りが開催されるときには結成はされていなかったこのチーム。
本格的にチームとして結成されたのは去年から。
以前は、商店街のおかみさん会がメインとなってメイクをしていたのだが
おかみさん会はほかにも仕事があり業務が多くなってしまったのを見た峯知美さん
(お母様がおかみさん会所属)がなんとか手伝いたいと思い有志でやることに。
固定のメンバーはおらず今は峯さんと鈴木さんのお二人を中心に動いている。

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≪左が鈴木さん、右が峯さん≫

はじめは美容学校などに声をかけ賛同してもらったものの、
やはり現役の美容師さんは土曜日は忙しくなかなか時間を作れなかった。

そこで幼稚園児の息子のクラスメイトのお母さんに声をかけることにした。
それが杉山さんだ。実は峯さんも鈴木さんも元美容師。
得意分野ということもあって、意気投合し鈴木さんも参加することに。

“子どもが生まれてからも美容の分野に携わっていられるのは面白いですね”
ママさんの友情から始まった活動は瞬く間に広がり
やってみたいと思う人が集まってきた。

行列参加者は上土商店街近辺が多いものの、
Fox’s make Teamには地域関係なく参加者が集まるそう。
美容の専門以外の方も多く集まり
メイクなんてしたことありません!という方も興味を持ってきてくれた。

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そのために、何度か講習会を開催したりし、
集まるのが難しい人のためにガイドブックを作ったりもした。

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このガイドブックはすべて手書き。丁寧さが伝わって、当日メイクをするのが楽しみになる。

前々回までは、一人が1パーツ、みんなで完成させていたが
前回からは一人で全パーツが出来るようになった。
メイクのレベルもどんどん上がっていく。

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毎年変化があり、追及している。
“追及していくとかなりリアルになっちゃってもっとかわいい方がなんて言われて(笑)”
と鈴木さん。

今年はどうしていこうかと、一年をかけて研究しているそう。
顔に書かれた名前やイラストも人気。

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“きつねコンテストというのが開かれるんですが、私がメイクした海外の方が優勝して。
 あなたにメイクしてもらったから、ありがとうと伝えに来てくれたのはすごくうれしかった” 

おかみさん会の助けになればと始めたメイクチームは
“助け”から“楽しみ”に変わり“やりがい”となった。

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参加する人たちの“縁”がさらに結婚する二人を幸せに包み込む。

誰でも参加OK。
狐の嫁入りのシーズンに募集がある。
ぜひ“あげつちきつねの嫁入りフェイスブックページ”をチェックしてもらいたい。

3月16日に行われる、狩野川ローカルマーケットでもFox’s make Teamは参加し、ペインティングでイベントを盛り上げる予定だ。

https://www.facebook.com/agetsuchi.kitsunenoyomeiri?fref=ts

昨年の様子はこちら→http://numazujournal.net/2013/10/kitsunenoyomeiri/

港街から教わること~気仙沼・卒業ライブ~

3月1日、気仙沼の5箇所の高校でも卒業式が行われた。
その翌日に気仙沼市内の鹿折小学校で卒業ライブが行われた。
そのイベントのサポートを沼津からもさせて頂いたため、沼津ジャーナルでも報告をする。

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《現在の気仙沼・鹿折地区》

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《3年前の気仙沼・鹿折地区》

「中学の卒業式の前日に津波がやってきて、満足に卒業式ができなかった。だから高校の卒業式の次の日に、自分達らしい卒業ライブをしたかった。」
実行委員長の菊池南海さんはそう語られた。

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《右から菊池さん、小野寺さん、山下さん》

実現に向けみんなで動きはじめる。
サポートをした小野寺真希さん。
(菊池さんや小野寺さんは底上げYouthという地域への取り組みをするコミュニティにも参加していて地元の高校生だけでなく、全国へ気仙沼の魅力を発信し幅広い世代と交流をしていた。)

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《高校生で作った気仙沼恋人スポットのリーフレットを持つ小野寺さん》

でも、高校生だけでは前に進まない。
そこで毎月一回気仙沼のコミュニティスペースで行われている音楽のワークショップのレコハコで相談する。
(このレコハコは、毎年10月に行われるサンマを焼きながら音楽を楽しむ、気仙沼サンマフェスティバルから生まれた。このイベントは水産業に携わる山下さんが実行委員長となり東京からアーティストを呼び高校生も演奏に参加した。音楽の好きな社会人と高校生の交流するきっかけが始まった。)

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《レコハコで演奏をする高校生》

山下さんとレコハコの世話役をする妊婦の津谷さんは高校生の想いをカタチにしていく。
といっても地味な作業だった。
まずは会場探し。
企画書を持ってまわるがなかなか使用できる場所がない。
なんとか、気仙沼市内の鹿折小学校を借りる。

そして問題になったのが運営資金。
そこで、沼津のライジングサンマフェスティバルの支援金を使うことに。
(昨年度のライジングサンマフェスティバルは子どもたちが笑顔になるプログラムに対し支援する事になっている、引き続きこの高校生の取り組みなどを応援していく予定だ)

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想いがつながり、卒業ライブが3月2日にこうして始まった。

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高校生、昨年卒業した先輩、そして社会人たちが参加して手作りのイベント。

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高校生の地域への活動報告も展示された。

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緊張するなか気仙沼市内の4校の卒業生のライブが12時にスタートした。

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仙台や東京などからもアーティストがボランティアでお祝いにやってきた。

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高校生とプロが一緒のステージが始まると会場はさらに熱気に包まれた。

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底上げYouthの報告を小野寺さんと後輩が発表する。

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想いは次の代につながれる。

底上げYouthは、リーフレットを作る他にも、気仙沼で一番大きなお祭り、港祭りのスゴさを再発見し発信すること、気仙沼の郷土料理「あざら」をPRすることなども進め、高校生目線で気仙沼の魅力を発信し全国から観光に来てもらうことを目指している。

近所の商店の女将さんが、底上げYouthなどの活動を、「目の前にある事としっかり向き合い、そしてしっかりと行動する事、高校生の取り組みから本当に元気をもらっています」と笑顔で自慢していた。

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「震災でつらい事もいっぱいあったけど、震災があったから出会えた人、見たことない景色にも巡り合えた。そして今こうして素晴らしい場に立てている事は震災のおかげだと思っている。」
演奏をしていた高校生ステージで語られた。

実行委員長の菊池さんからも多くの方に感謝の言葉も。

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震災から3年。
高校生生活を復興と共に過ごした卒業生。
話していると、とても頼もしく思えた。

ステージの前列では、後輩たちが純粋に音楽を楽しみ、真ん中では同級生がちょっと寂しそうに演奏を聞き、後列では大人たちがその光景を嬉しそうに静かに見守っていた。

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社会人メンバーは高校生が楽しくすごせるように、全力でそしてさりげなくサポート。

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夢を語る人、夢に向かって一緒に行動する人、夢が現実になるため環境をつくる人、夢の実現を喜び一緒に喜ぶ人、そしてまた次の夢を持つ人。
会場には笑顔が溢れていた。

地域って素晴らしいと心から思った。
震災で失ったものは大きいが、築き上げたものはもっと大きい。
彼らがこれから想いをカタチにし続けていくと、そう言える時が来るはず。

そして私たちはもっと港街の気仙沼から多くの事を学ばなければいけない、と強く思った。

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富士山の日に酒蔵と酒屋が届ける酒~髙嶋酒造~

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静岡県では2月23日は富士山の日と条例で決められている。
その日に特別に絞られるお酒がある。
それが髙嶋酒造“富士山の日朝絞り”

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お酒に使用されるのは誉富士(酒米)、富士山の伏流水、静岡酵母NEW-5。
ラベルは歌川広重と豊国の双筆五十三次「はら」。
この絵の舞台は髙嶋酒造のある原。そしてこの浮世絵は安政のころに描かれていて、髙嶋酒造の創業が文化元年なので
もしかするとこのモデルはご先祖様に関係があるかもしれない!?ということで特別にラベルをお借りしているそう。

“地元だけでこういうお酒を造れるっていうことを知ってほしい”
と語るのは杜氏も務める髙嶋社長。

2月23日、たった1日だけに出荷された量は一升瓶約1300本。
1シーズン5万本出荷されるうちのたった1300本。
とても貴重なお酒は完全予約制。(1部酒屋で店頭販売ありだがほんのちょっとだそう)

実は“この日に絞る”と決めることはとても技術がいる事で、
通常は大体の日程は決めるものの、発酵の様子などで絞る日が2~3日スライドするものだそう。

“この富士山の日は杜氏としても挑戦。技術向上のためのチャレンジでもあるんです”
髙嶋さんにとっても貴重な体験。

お酒自体も普段ならオリが沈殿するようにおいておく。
だが今回は絞ってすぐに出荷するのでオリが残るのだ。
少し白くにごる酒には甘みがある。
純米酒しか作らない髙嶋酒造は機会も古来からの絞り機のため柔らかいな味わいが残る。
これもいつもとは違う感覚で美味しい。

生のオリがらみなので酵素が失活しない変化の大きい状態。
早めに飲むのが良いそう。
そのおいしさをすぐに飲む人に届けるためにもう一つ、いつもとは違う風景が蔵に見える。

このお酒を販売する酒屋が集まり、出荷を手伝い、その日のうち販売するのだ。

日付が変わるとともに蔵人はお酒を絞り出す。

そして朝五時半。静岡県全土と名古屋から酒屋や関係店が集まる。
まず杜氏から今回のお酒の説明を聞き、
テーブルに置かれた利き酒用猪口に酒を注ぎ、口に含んで香りと味わいを試した。

そして、神主が来ると全員でご祈祷。
富士の恵みに感謝し、お酒を清める。
澄んだ冷たい空気が流れる中、厳かに行われた。

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ご祈祷が終わったお酒はラベル貼りの作業場へ運ばれる

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“酒蔵だけでなく、酒屋さんに協力してもらうことによって広く認知し楽しんでもらう。蔵人、杜氏、酒屋が一緒になってラベルを張り箱に詰めて出荷しなければ飲む人の元へ届かない。
それは「飲む人」をより近く感じる事が出来ました”
と髙嶋さん。

鮮度がとても高いお酒だからだからこそ、その日に届けられる
静岡県の取引している酒屋だけに案内を出したそう。
あくまでもその日に売ってその日に飲んでもらうため。

それを知った名古屋の酒屋も翌年からは一軒参加。
なんと日付が変わるとともに名古屋を出て、瓶を箱に詰めるとをするとすぐに持ち帰る。
遠いのになぜ?と思うがこの言葉を聞いて納得。
“もちろん味も良いが、酒の中に入り込んでいる髙嶋さんに惚れ込んでこのお酒を届けたいと遠くても参加してます”
そこまでしても届けたいお酒なのだ。

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酒造と酒屋、酒屋同士など普段見られないコミュニケーションが
酒造りの場で行われている。

髙嶋酒造のコンセプトである“この地でしか作れない最高の地酒をコミュニケーションツールに”からさらにもう一歩、
作る“場”でもコミュニケーションが生まれていた。

別の酒屋さんに“朝早いですけど、やっぱり毎年来たいですか?”という野暮な質問をしてみると
“毎年来なくっちゃ一年が始まらないじゃない”と。

酒蔵と酒屋の信頼関係がおいしいお酒を飲む人へ届けていることを感じた。

作業のあいだ別室では奥さんたちが朝食の準備をしていた。
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この日は2種類のおにぎりと具だくさんのトン汁、と漬物。
シンプルだが奥さんたちの手作りの味は格別だ。

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“遠くは名古屋浜松から手伝ってもらうのでせめて朝食でもと喫茶去のようなものです”
その心温まるおもてなしは前日から下準備をし4時から作り出す。

杜氏も酒屋も同じ釜の飯を食べる。

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愛される酒蔵は愛されるお酒を作る。
お酒を愛する酒屋さんは、愛されるお酒を売る。
そんな朝の冷たい空気と一緒にすがすがしい気持ちのいい光景を見る事が出来た。

沼津ジャーナル取材チームは“速報ジャーナル”を試みた。
取材し、その場で編集、印刷、配布。
このお酒を買ってくれた方へ、朝に起きた特別な出来事を届けるために。
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富士山の日朝絞りはフレッシュで爽やかな香りの中に米の旨みがギュッと詰まったお酒。
魚料理全般に合うそう。

富士山の日という特別な日に、
静岡尽くしの特別なお酒を富士山を眺めながら飲む。
贅沢な1日は1年に一度。
気になる人はお酒を買う楽しみを酒屋さんで学んで、
酒蔵を身近に感じてほしい。

逃してしまった人はロットンでも飲むことが出来る。
一升しかないのでお早めに。

≪髙嶋酒造≫
沼津市原354-1
TEL:055-966-0018
http://www.hakuinmasamune.com/index.html

髙嶋酒造沼津ジャーナル記事→http://numazujournal.net/2013/09/takashimas/

写真:川上千絵

地域の魅力に触れて伝統を守る~ふじのくに美しく品格のある邑(むら)まつり~

2月23日(日)富士山の日にキラメッセ沼津でふじのくに美しく品格のある邑づくり連合による“ふじのくに美しく品格のある邑まつり”が開催された。

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会場は千本の菜の花で彩られ、一足先に春の訪れを感じさせる。
静岡県の農山漁村の個性ある食や工芸品や伝統芸能に触れる事が出来るイベントだ。

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そもそもタイトルにある“邑(むら)”
なかなか見ない漢字だ。
一般に「むら」と言えば市町村の「村」を使うが、行政的な区分ではなく、
地縁型ではない「目的型の新しいコミュニティを農山漁村に作りたい」という強い
思いから、人が多く集まるところという意味を持つ“邑(ゆう)”の字を用いているそう。
つまり、この“ふじのくに美しく品格のある邑づくり連合”は
誰もが憧れる農山漁村づくりを進めるため、個性的で美しい田園環境、自助・共助の精神に溢れた農村社会、
創意工夫を凝らした地域経済の視点から、持続的発展が見込まれる地域を“美しく品格のある邑(むら)”として認定し、PRしているのだ。
今回のこのイベントもその一つ。

小さな地域も、みんなで力を合わせれば魅力を広く伝えられる。
この“ふじのくに美しく品格のある邑連合”は静岡県の全部の35市町村と静岡県が会員となり
農山村漁村地域の魅力向上のお手伝いをしている。
現在、65邑が登録されている。

“農村景観の美しい場所、豊かな資源がある場所、伝統が残る場所は過疎化など社会影響で失われつつあります。
そこに光を当てていこう。そして多くの人に知ってもらい、来てもらい、楽しんでもらう。邑を応援してほしいです。
そうして地域の人たちの励みになったらいいなと思います”
そうお話しするのは静岡県交通基盤部農地局の八木嘉隆さん。

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この活動は要望がある限り続くそう。
逆を言えば、一人一人が邑に興味を持つことによって
“地域を守る”ことが出来るようになったら終わる。

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会場のステージでは普段ではそこに行かないと見ることのできない伝統的な舞が行われ注目を集めていた。

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その他、シカ肉やかぼちゃの麺など各邑のおすすめの一品が並び、
購入や試食をすることが出来た。

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そば打ちの実演を行っていたりと製品が出来上がるまでを楽しむのもひとつ。
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真ん中では2年前から始まったこの活動のロゴを決めるコンテスト(投票形式)や写真の展示、
子どもたちも楽しめる木で作るフォトフレームなどのワークショップスペースがあり
親子で楽しむ光景が見られた。

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邑というのは私たちが暮らしている本当に近くにある。
気付くか気づかないかで大きく生活も変わってくる。
ちょっと行けば顔の見える作物を食べる事が出来るし、
ちょっと行けば、思わず涙が出てしまいそうな美しい景色にも出会うことが出来る。

この恵まれた静岡を感じる事を“邑”は教えてくれるような気がした。

ふじのくに美しく品格のある邑づくり連合はイベントだけではなく
ホームページやスマートフォンアプリ、動画等で邑の魅力を伝えたりと、
いろいろな活動を行っている。
自分の住んでいる地域にはどんな“邑”があるのか。
県内にはどんな“邑”があるのかチェックしてみてはいかがだろうか。

《ふじのくに美しく品格のある邑づくり連合》
http://www.fujinokuni-mura.net/

伊豆縦貫自動車道開通パレードと沼津の奇祭

国土交通省が進める東駿河湾環状道路の三島塚原―函南塚本の6.8kmが2月11日に開通した。
これで東名から修善寺付近まで約33キロが一本に結ばれた。

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これからさらに、下田まで道路は伸び、この道路を総称し伊豆縦貫道路と呼ぶ。
この道によってどのような効果が地域にはあるのだろうか。

地元の生活向上、観光客へのアプローチ、企業の物流の効率化。

この道路への様々な人の希望も込められ、函南町文化センターで国や県、沿線市町の関係者ら約550人が出席するで式典が開かれた。

その後道路へ移り各市町村のパレードが行われ、車にデコレーションや、ゆるキャラと来賓がトラックの荷台から手を振ったり“車でのパレード”。

沼津市も参加した
この企画を任されたのは沼津市役所観光交流課の平田さん。
1ヶ月弱という短い期間の中で最大限“沼津”をアピールすることを考えた。
そこに同部署の荻野さんが加わり二人のプロジェクトは進む。

今回は4月4日に毎年行われる、沼津の奇祭“大瀬まつり”を再現することに。
このお祭りは、内浦港と大瀬崎で行われる。
東名を降りこの道路を使い、伊豆長岡インターで降りて、会場の内浦や大瀬崎に行ける。

大瀬祭りは毎年4月4日は駿河湾の漁師の信仰を一身に集める大瀬神社の例大祭。
この祭りの最大の見どころは、女装した青年達が華やかに飾り付けられた漁船の上で繰り広げる
「勇み踊り」「♪チャンチャラおかしー、チャンチャラおかしー」のお囃子(はやし)に合わせ、
踊りながら大瀬崎の大瀬神社に参拝。
奇抜なメイクと、その今にも落ちそうになりながら踊る姿を一目カメラに収めようとする人も多い。

休日出を勤し、集められた市役所職員15名。
全員男性だ。

今回のパレードも車の中から全員が女装をし踊った。
ちなみに、バスの装飾30分。
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メイクと踊りのリハーサルに1時間かかった。

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ほかの地域の人や関係者がびっくりしながら横を通っていく。
奇祭の世界観に突き進む職員たち。
なんだかかっこいい。

そしていよいよパレード。人々が見守る中、踊りながら歌いながら大いにアピールをした。
その時間およそ30秒!

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まさかの短い時間に驚いたが一瞬にかける情熱はどこよりも強かったのではないだろうか。
いつも沼津は全力だ。

準備に時間がかかったので、片付けも時間がかかった。
市役所の作業着に着替え片付けをするメンバー。顔はそのままに。

“なんにでも一生懸命”な沼津市役所職員。“楽しもう”という気持ち、アピールしようという気持ちを自分たちに考え、実行する。
ゆるきゃらにも負けない、癒しと地域の魅力を具体的にアピールしていた。

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今年の4月4日(金)に内浦漁港で大瀬まつりが開催される。
本物の大瀬まつりは今回以上に迫力がある。
もちろん市の職員も参加。

ぜひ本物を見て、奇祭を体感してもらいたい。
お祭りの帰りは同じ道路を戻るのではなく、海沿いのカフェで春霞の富士山と駿河湾を眺めたり、香貫山の桜を眺めながら沼津の街を楽しむのもおすすめだ。

様々な場所にアクセスがしやすくなった伊豆。
魅力的な場所やイベントの情報をうまく入手し、伊豆の中央を走る縦貫道を有効に使い点と点を結ぶと多様な旅ができるはずだ。
そして、地元ではしっかりと点と点を結ぶ線を意識し魅力を発信することがより重要になりそうだ。

 

≪大瀬祭り≫
4月4日(金)
http://www.osezaki.jp/osematuri.html

半島のじかん2014 ~松屋銀座デザインギャラリー1953 ~

半島振興法という法律がある。
この法律は、三方を海に囲まれ、平地に恵まれず、水資源が乏しい等、他の地域に比較して低位にある半島地域について、自立的発展及び地域住民の生活の向上並びに国土の均衡ある発展させる目的とし、国土交通省には半島振興室という部署を設けている。

半島地域の魅力を都市に暮らす人たちにも知ってもらうことを目的とした交流イベント「半島のじかん」を2011年より開催している。
3回目に当たる今回は、先月末から1ヶ月間、国土交通省と日本デザインコミッティーとの共同で、「半島と食」をテーマとした展示やデザインサロントークを松屋銀座で行っている。

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この取材は12月初旬に行われた。
メインは能登と伊豆で撮影、取材がされた。

日本一金目鯛が水揚げされる下田港、日本一天草が生産される土肥の八木沢海岸でところてんをつくる方、西伊豆田子の日本で唯一の塩かつおを製造しているカネサ鰹節商店へ。

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戸田では3ヶ所を取材。
日本唯一の高足がに職人は、駿河湾の魅力を語ってくれた。

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柑橘類の原種タチバナ、戸田は国内最北限となるの自生地。
タチバナも撮影。
この時、収穫された橘は、みなさんでジャムにしていた。

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日本一の塩を目指す戸田塩へも。
戸田塩の薦田会長とデザイナーさん。
展示に合わせリニューアルする戸田塩のパッケージの打ち合わせも。

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そして海から離れ伊豆の中央へ。
わさび田へ行き、カメラマン、デザイナー、コピーライターの方は生産者と話をしながら半島の表現方法のイメージを膨らましていた。

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伊豆の山の木を間伐し器などをつくる木工作家、有城さんの所へも。

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伊豆はこの取材の3日間、富士山がとてもきれいな時だった。

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景色もとてもよく、色鮮やかな伊豆日和。

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海と山が近く、交通が不便と言われるがその地域で資源を活かし食と携わる人々。

今まで都市が中心でそこから離れれば離れるほど情報もない利便性、田舎は価値をがないという相対的な関係だったのを見直し、価値を掘り起して評価し直したい。
そのテーマのもと取材がされていった。

“その場所でしか撮れないモノの存在感、その場の気、つく手の趣き、それらの内包されたものを撮って、現場で感じたリアルな状況から写真で半島を切り取った”
カメラマンの白井亮さんは言う。
最初はシチュエーションが伝わるように撮っていたが、モノ自体にフォーカスし撮っていったそうだ。

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《展示会場にて白井さん》

展示会場に行くと、いきいきとした半島の食が切り取られていた。

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アートディレクションは、日本デザインセンターの大黒大悟さん。
撮影した場所など具体的な言葉による説明はされていなかった。
ビジュアルでも特定の地域らしさのイメージを表していない。
あの美しかった富士山も、今回の展示では登場していない。

半島の普遍的価値を表現されて、地域らしさというより日本の文化が見えてくる。

入口に冊子が置いてあり、開いてみると一番はじめのページは戸田塩のみなさんだった。

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デザイナーの大黒さんは、戸田塩をつくる小屋に入り戸を開けた時、何か神々しいものを感じたそうだ。
その場にあった、とてもいい“気”を伝えられたらと、取材の時に言っていた。

こうして、会場では半島の何気ない日常、何気ない文化を多くの方に知って頂いている。

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出来上がった冊子を伊豆の取材先に持って行った。

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じっくりと自分たちの光景を確認し笑顔で
「素晴らしいですね」
と。

戸田塩のパッケージも大黒さんによってデザインされた。
戸田塩のとてもきれいな白を活かすデザイン。

菰田さんは、これからの活動にまた励みができたそうだ。

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《前のパッケージと比べる菰田さん》

会場の銀座松屋ではこの展示の期間、戸田塩を含め、全国の半島の食も購入する事ができる。

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デザイナーによって切り取られた“半島”にはまだまだ我々が気づいていない魅力的なものが多くあった。
我々地方の者も地域の食を「地産地消」という言葉だけで終わらせず、他の地域も知り客観的に自分の地域の食文化を見つめ直したいものだ。

【半島の台所 開催日】   
 <展示>
  平成26年1月29日(水)~2月25日(火) (2月18日(火)は18:30まで)
  期間中「半島と食」をテーマとした展示。

 <デザインサロントーク>
  クリエイターによる「半島の台所」制作エピソード、半島の食で地域活性化をはかる方々の話、生産者とクリエイターが語る半島の食のデザイン等について、下記日時にトークセッション。
  
  [ テーマ ] 半島の食をめぐるチャレンジ 
  [ 日 時 ] 平成26年2月15 日(土) 15:30~16:30
  [ 出 演 ] 中山 幹生氏 : 東京農業大学農山村支援センター学術研究員
          辻 悦子氏 : 企業組合でる・そーれ理事(津軽地域)
          豊田 玲子氏 : NPO法人風土計画代表理事(丹後地域)
          畦地 和也氏 : 黒潮町役場職員(幡多地域)

  [ テーマ ] 『半島のじかん2014 半島の台所』クリエイターがとらえた半島 
  [ 日 時 ] 平成26年2月15 日(土) 17:00~18:00
  [ 出 演 ] 大黒 大悟氏 : 「半島のじかん2014」グラフィックデザイナー
          是方 法光氏 : 「半島のじかん2014」コピーライター
          白井 亮氏 : 「半島のじかん2014」フォトグラファー
    
※ 入場は無料、申し込み不要。
   デザインサロントークは座席の数に限りあり(20名程度、先着順)。

【開催場所】
 松屋銀座7階・デザインギャラリー1953  
  http://designcommittee.jp/
 〒104-8130東京都中央区銀座3-6-1
    
【主催】 
 国土交通省、日本デザインコミッティー

【後援】 
 半島地域振興対策協議会、半島地域振興対策議会議長連絡協議会、全国半島振興市町村協議会
    

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川を眺めながら心地よい音を愉しむ日~THE BLUE WATER~

窓の外には流れる川。
そこには気持ちよい風が流れる。
その川に面するように“ブルーウォーター”というお店がある。

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オーナーの天野さんは
新卒で洋服屋で働きはじめた。
今でいうセレクトショップのようなお店。
とてもよく売れる店だった。だが、お客さんたちからこんな声を聞くようになる。

“たくさん買うのはいいけれど着て行くところがない”

服は人を意識するところから始まる。

それから月一で近くの飲食店を借りパーティーを開く事にした。
ネクタイやジャケットなどドレスコードを決めて。

そんな時、毎回場所を探してやるのではなく新しいお店を作ろうということになった。
だったら、飲食店もやってしまおう!
ライフスタイルを提案する場をつくっていくことに。

その決意から会社を辞め飲食店にノウハウを学びに修行に出た。
そして1年後、仲間とカフェとアパレルを融合した店をオープンさせたのだ。
今でこそカフェとアパレルや雑貨が同じ場所にあるスタイルはなじみがあるが
その当時はそんな店はなかった。

そんな中、シェフは雇っていたのだが
ある日突然シェフが来なかった。
だが予約は入ってるし、お店を開ける限りお客さんは来てしまう。
そこで天野さんがメインでキッチンを担当することになる。
飲食店に修行に出たとはいえコックになるためではない。

その時に、魚屋に魚のさばき方を習いに行ったり、八百屋に野菜のことを聞きに行ったりした。
そうして2年くらいがったたのだが、もともとコックになりたかったわけじゃないということで、その店から離れ自分の店を創る決意を持つ。

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最初は飲食店から、そしてそのうち物販をしようと決めていた。
店舗を探すとき、一番大事することを“環境”と決めた。
普通だったら人通りや設備などを第一優先にするかもしれない。

そうではなく“自分の家を探すような感覚”で。

一瞬いる場所ならいい。でも長居をする場所だからこそ気持ちの良い空間でありたい。
だから何よりも窓から見える景色など環境を重視した。

場所探しは神奈川を中心に1年以上かけた。
なかなか見つからない中、親戚の紹介で今の物件を紹介された。
沼津もあんまりピンとこないし、親戚の紹介だし、でもとりあえず見ることに。
案の定、建物はボロボロ、天井は低いは階段は錆びている。
だが、中に入っていくと大きな窓の外に川がドーンと。
その景色を見た瞬間“ここでやってみよう”と思ったそう。

狩野川のようにゆらゆらと水が湛えている川は数少ない。

川が見え、空が抜ける。
マーケティングは一切しなかった。
地元の人たちがその良さを共感してくれなかったら辞めよう。
そうして、15年前ブルーウォーターが出来上がった。

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名前の由来は、沼津の川の近くで店を構えたからではない。
身近にある自然で子供が覚えられる英単語にしたかったそう。
水辺で、ブルーにイルミネーションされた川のほとりに店を構えることになったのは素敵な偶然だ。

ブルーウォータは、家具や人そしてモノが出来るだけシンプルな内装から始まった。
15年経つ今では数多くの商品やおいしい料理、そして働くスタッフの皆さんで彩られている。

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その中でひときわ目立つ木がある。
夏の間は窓を開けている。
正直暑い。だが風はある。
夏らしい空気感と時折涼しく癒してくれる風を感じれる。
風は何かがなければ見えない。
葉っぱが揺れることで風は見えるようになる。
“何かを置くと見えるようになる。そういう発想が好きなんだ。
人もそうでしょう。自分だけで頑張るよりほかの人と協力したりすることでその人の功績が見えてきたり”

風、そして川、山の景色。
それはぼーっとすることを許してくれる。
本を読むでもなく、心地よいBGMとともに。

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ブルーウォーターでは12年前から毎月ライブを開催している。
心地よい生活に必要な条件。
それは“おいしいもの” “人” “モノ”
そして“いい音楽”。

その音楽を天野さんセレクトで全国から呼んでいる。
評判や下調べは必要ない“心地よさ”が約束された音楽だ。
東京でもなかなかチケットの取れないアーティストも来る。
天野さんの人脈や今までの経験、そしてなんといってもこの“場所”
に素敵なアーティストや作品が今月も集まる。

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5/9(金) ライブLaika came back open19時start20時¥3500
10(土) 映画:Canta!timor上映会 open19時 start20時¥2000
11(日) ライブ:オグルスノリヒデ open19時 start20時¥3500

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『かけがえのない時間に、「今度」や「また」や「そのうち」はないと思います。
新しい価値体系や新しい目線を手に入れることが、日々の充実感や充足感を作るんだと信じています。
少しだけ手を伸ばす、少しだけ踏み出す。
そんな行為の先に、未来を作るピースが待ってると思います。』
と天野さんは今回のライブに想いを持たれていた。

こんなにも恵まれた場所だから
こんなにも自分を大切にする時間があってもいいような気がした。
それはブルーウォーターという場所が教えてくれる。
“未知の未体験のものも取り入れようとする勇気を身に着けてもらいたい”
川を眺めながら、おいしい食事と音楽を聴きに行く日が
生活の一部になるともっと自分の生活に愛着を持てるかもしれない。

≪THE BULE WATER≫
沼津市魚町15
TEL:055-951-0001
http://www.the-bluewater.co.jp/


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phot by cyie kawakami

ランドネ佐々木編集長×国交省大儀所長~トークライブレポート~

1月のスペシャルトークライブはなんと人気山雑誌、ランドネ編集長と私たちの暮らしを守る国土交通省沼津河川国道事務所所長の対談だった。
「山と川の魅力を知ろう!地域がもっと楽しくなる」
普段、お二人に会う機会もめったにないだろうし、このお二人が対談することもなかなかないだろう。
約30名の方に参加して頂いた。

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狩野川活用研究会メンバーの沼津ジャーナル編集長、小松がナビゲーターとなり、3人の知識や経験をもとに参加した全員で地域をもっと楽しむための話で盛り上がった。
そして、今回は立場をあまり意識せずお話しして頂く事に。
なのでもちろん呼び方も編集長や所長ではなく、「●●さん」とさせて頂いた。

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【お二人のこと】
はじめにお二人のバックグラウンドを簡単に説明して頂いた。

千葉県出身の大儀さんは学生時代に山岳サイクリング部に入っていた。
奥多摩などマウンテンバイクを担いで山に登っては下りる。
長期の休みは自転車に乗って旅するサークルで地方を回った。
その時、様々な道や川を見て
“国造り”に興味を持ち、そして建設省に入省した。

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一方、対照的なのが佐々木さん。沼津の隣、清水町出身。
中学時代は朗読部。文系を地で行くような学生で、文学が好きで出版社に入った。
フランスに取材に行った時、平日はバリバリ働いている女性が週末全然違う格好で登山に行く姿を見て、素敵だと思いそのことを社内で話したところ、ランドネの立ち上げを受ける事になってしまったそう。

ランドネという山雑誌は、これから山を始めたい方、始めてから3年目の方が楽しむ情報を発信している。
山での過ごし方をおしゃれに提案しており、今まで山に興味がなかった人にも楽しめる内容。

だがはじめは従来登山をしている人たちに山でスカートを履くなんて!などお叱りを受けたことも。
アウトドアは厳しい歴史のある世界。
言わんとすることはもっともだ。
愉しむのは安全の上に成り立っている。
ランドネは山以外の部分ファッションにもちゃんと光を当てており、本当に山を楽しみたい、始めたい、そういう人に支えられた。
だからこそ安全面をちゃんと伝えるようにしているそう。

また、驚いたことにランドネでは“山ガール”という言葉は使っていない。
一人歩きした言葉はやがて消費されてしまう、ブームにしたくないという思いがある。
ランドネの本来の目的である登山が盛り上がってほしいということを大切にしている証拠だ。

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【この地域の山のこと、川のこと】
佐々木さんは“沼津アルプス”に対して“ミニアルプス界のスター”だとおっしゃった。
都内からも、駅からも近く、海、そして富士山を眺めることが出来る。
さらには、麓に沼津港などおいしいもの沢山ある。

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参加者のある方が経験談を話してくれた。
沼津アルプスに行き、おばあさんに会いお話をすると、その方は名古屋から新幹線で来ていた。
地元の人間にとっては身近な山“なんでこんなところにそんなわざわざ?!“と思ったそう。
車のないおばあさんにとって駅の近くで富士山と海が見える沼津アルプスは大切な山だそう。
だからこそ地元の人には大切にしてほしいと言われた。
身近すぎて気づかない裏山にはだれもが羨む素敵な要素がいっぱいなのだ。

他県から来たからこそ分かること、それは大儀さんもだ。
全国各地、いろいろなところで業務をしてきた。沼津の前は長崎だったそう。
沼津に来て、沼津アルプスはもちろんのこと狩野川の良さにも感動した。
山と川が近く、上流から脈々ときれいな水が流れており、こんなにもきれいな一級河川は全国でも稀。

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だが、川には“近づくな危険”の看板。
大儀さんと同じ機関が建てた物だが、とてももったいない事だと感じたそう。

参加者の方から意見を聞くと、昔の狩野川を知る人もおり、原体験として狩野川で遊んだり、高校の部活でボート部のため狩野川が青春時代の生活の一部だったり、様々な思い出を思い出を持っていた。

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果たして、今の子供たちは?
昔の思い出も語れなくなってしまうとまったくそこは意味のない場所になってしまう。
子供にも川が楽しいと伝えていくことが、10年,20年後も地域の魅力にもつながるのではないだろうか。
楽しさを知るには、川の危険を知らなくてはならない。
だが川に触れなければ危険はわからない。

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【現在の取り組みのこと、これからのこと】
昨年から川に関わる取り組みが大きく始まった。

大儀さんは子供たちに川に親しんでもらうきっかけを作ろうと思い、沼津河川国道事務所では狩野川で生物調査やカヤックに乗るなどのイベントを行う狩野川わくわくクラブを始めた。

沼津市、国交省、商工会議所、そしてあげつち商店街で狩野川活用研究会を立ち上げ、来年度は協議会となる。
昨年から社会実験事業として、試験的に河川敷でリバーサイドカフェ、水辺のステージ、オープンテラス、BBQを行い、Lot.nでは体験カヤックを行った。

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イベントだけでなく、日常にどう返していくか。
イベントは入口、そこから日常に戻す出口をちゃんと作っていくことが大事だ。

大儀さんから“長崎さるく”という取組について紹介があった。
長崎の良さを味わうのは、まちを歩くのが一番。そのために観光地から路地裏までを街の皆で紹介するような取り組みだ。

まず、自分たちの地域の良さを知ること。
川のある街の魅力を地元目線の地図にしていこうという提案も。

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ランドネは、山登り初心者の方にもきっかけという入口を作り、さらにはもっとファンになってもらうためランドネ山大学などコミュニティーを作り出す。
佐々木さんからその真意を伺った。

入口の作り方は雑誌の強みである写真の力、ビジュアルが重要だそうだ。
さらにイベントを使いキャッチー面を見せつつも実際そこで楽しんでいる人がいることを伝えていく。
実際これだけの力が集まっているんだっていう事を示すのも大事な事のようだ。

そんな話の中で面白い提案が佐々木さんから挙がった。
それは“全国ミニアルプスサミット”を沼津アルプスのある沼津でやること。
狩野川で前夜祭として川遊びや地元の食材を集めたり、水辺のステージをやってみたり。
そして次の日はみんなで沼津アルプスにチャレンジをするという、想像しただけでもわくわくする企画だ。

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最後にお二人の未来を伺った。
大儀さんはこれからも狩野川をはじめ川や道路を通じて地元をより魅力的にするために、行政として、そして皆さんと一緒に頑張っていきたいそう。
佐々木さんはランドネで今後もやってきいたい事は“山だけでなく、山周辺にある文化など総合的に楽しむことをもっと発信していきたい”とのことだ。

トークライブでの3人の意見交換、そして参加者のみなさんの経験の発表やご意見は川のある生活の面白さ、山から海へと狩野川がつなぐ静岡東部の自然の多様性を改めて知り、この地域がさらに面白くなる可能性があることを共有する時間となった。

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