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Lot.nワークショップ・レポート~和田家具、Akkord、中村園芸~

Lot.nのコミュニティスペースでは定期的にワークショップも行われる。

この地域でモノ作りや創作活動をする方々を知って頂き身近に感じて頂けたら、
そして地域の素材を使いモノをつくる時間を楽しんで頂こうとこのワークショップが始まった。

今回は先月行われた 和田家具Akkord中村園芸のワークショップをレポートする。

【和田家具:木で木のかたちをつくろう】
家具職人の和田さんのプログラムは自分で選んだ木を重ね、オリジナルツリーを作るワークショップ。

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1から20までちょっとずつ木の長さが替えられた木を選んでいく。
色も濃い目のものから薄い色まで様々。
様々な木の種類があることを知る。

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選ぶだけでも楽しい時間。
選んだ木がたまたま檜だったのでいい香りがしたり。

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木を重ね、木ができる。
クリスマスツリーとしてはもちろんのこと、
一年を通して「木のある家」にしてくれるこのツリー。

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実際に家具職人から学びながら作るのも日頃には無い経験。
木に対する扱い方や、職人の技の凄さを感じる事もできる。
「つくる」ことの経験は愛着にかわる。
大人から子供まで楽しんでいた。

【アコルト~クリスマスを彩るアレンジの会】
12月8日、10日とフラワーアーティストのアコルト土屋さんによるワークショップが行われた。

常緑樹と生花を使ってつくるアレンジ。

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常緑樹は日持ちがするし、乾燥するとドライフラワーのようになりずっと楽しめる。
シュトーレンのようにクリスマスまで少しずつ変わっていくのが楽しいアレンジメントだ。

器を決めた後、どのように飾りたいのかを決めていく。
自分の部屋を想像しながら。

そこには土屋さんの想いがあった。
“お花は生き物だから”という土屋さんの言葉のとおり
家に帰って飾って世話をして最後まで楽しむ。
そのためにはまず飾るところをイメージするところから始まるのだ。

そして花を選ぶ作業。
土屋さんの世界観で用意された花を選ぶのはなかなか迷う。

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配置のバランスや、花の扱い方を教えてもらいながら活けていく。

花に触る時間はとても貴重な時間だと感じた。
簡単に折れてしまう茎を慎重に扱うことで「丁寧さ」を感じたり、
可愛らいしい花を自分の手で形づくっていく「ものづくり」の楽しさ、
そして生きている植物と暮らすわくわく感。
どれをとっても心穏やかになる時間になった。

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アコルトセンスが光る植物、そしてテクニックに
自分らしさをプラス。
作る時も、作った後も楽しめるワークショップになったようだ。

【中村園芸:エアープランツでhappy new year!!!】
毎月恒例になっている中村園芸のワークショップ。
狩野川に辿り着いた流木を組み合わせ土台を作り
その中にエアープランツを活ける。
今回はお正月に合うように、水引きを付けた。
水引ももちろん自分で形作っていく。

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流木は選ぶもの、組み合わせによって全然違う形になり
エアープランツと組み合わせるとさらに表情が出てくる。

それぞれ流木を見ながら、どう組み合わせたらよいのか考え
そして、講師の中村さんにアドバイスをもらいながら
麻紐で縛っていった。

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土や根を必要とせず、葉から雨や空気中の水分を吸収するエアープランツは
植物のある暮らしをするにはお手軽な植物だ。

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ただ、飾り方やお手入れ方法などは馴染みがないためあまり知られていない。
今回のワークショップでは持ち帰ってすぐに部屋になじみ、
育て方もレクチャーしてもらえるので安心だ。

このように季節に合わせたワークショップは、1月2月も開催される。

モノづくりに触れモノができる時間を楽しみ出来上がった物を生活の一部にする事は、日常のライフスタイルをちょっと豊かにしてくれるだろう。
そしてこの地域で素敵に創作活動をする方がいる事にさりげなく誇りを持って頂けたらと思う。

月に一度、心を穏やかになる時間を皆様も是非!

≪次回ワークショップ≫
アコルトワークショップ~春を先どるフラワーアレンジの会~完全予約制
■日時:1月22日(水)19:00~20:00 ■2月2日(日)11:00~12:00
・参加費:3500円(参加費、材料、お茶付き)
・所要時間:約1時間

和田家具~自分だけのスツール作り~完全予約制
■2月23日(日) 
・11時・13時・14時・15時・16時・17時・18時・19時(各回5名様まで)
・所要時間:約1時間
・参加費:6500円(材料費、参加費込)

トークライブ:ランドネ編集長×国土交通省沼津河川国道事務所所長

上土商店街のロットンでは1月も様々なワークショップやトークライブが行われる。

発酵を通じて食を考えたり、作家さんからモノづくりを教えてもらったり。
そして私たちの地域を考えそしてライフスタイルを考えるトークライブも行われる。

山と川が側にある生活。
この恵まれた環境をどう楽しむか。

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『山と川の魅力を知ろう!地域がもっと楽しくなる』
というテーマで、アウトドア女子に支持される雑誌「ランドネ」の佐々木編集長と国土交通省の大儀所長に対談をして頂く。
普段だと堅くなってしまう内容をビールと静岡の食をつまみながら緩く楽しみながらの聞く会。

ランドネの2月号に沼津アルプスが特集された。
沼津アルプスは低山ながら楽しめる山として全国的にも注目される。
清水町出身の佐々木編集長から、沼津アルプスの事や全国の面白い山の情報をお話して頂く。

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国土交通省沼津河川国道事務所は道路、海岸、河川を管理する。
川が街の生活の一部になればと社会実験事業を行い、狩野川河川敷地の利用方法なども検証している。
また子どもたちが自然を体感し、川に親しみをもってもらおうと「狩野川わくわくクラブ」を設立した。
前任では九州の地区を管轄していた大儀所長、その地域に比べ狩野川流域では生活の中に川が馴染んでいないようだ。
大儀所長には全国の川のことや、狩野川のことなどをお話しして頂く。

身近に山や川がある沼津。
この恵まれた環境をもっと生活の中に取り入れるとこの地域がもっとおもしろくなるのかもしれない。

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山や川は誰でもが利用でき、そこへのアクセスは当然。
この、パブリックアクセス権は山や川とどう向き合えるかを知り、自然や土地へのリスペクトがなければ成り立たない。
世界の地域と比べ、日本の社会は“川や山を親しみをもって楽しもう!”というより“山や川へ行ってはいけない”というメッセージが強かったような気がする。

ぜひこの機会に山や川の簡単なルール、そして楽しみ方を知るきっかけになれば。
今回、沼津あげつち狩野川活用研究会の河川敷利用に関する報告する。

こう聞くと、堅い会に聞こえてしまうが、ざっくばらんに質問なども。
ビールを片手に、川でこんな事をやってみてはどうか、昨年から行われている河川敷のテラスでの水辺のステージでこんなことをやってみたい、などのご意見もぜひ!

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日本一深い深海と日本一高い山富士山に囲まれた、自然豊かで街が近いこの地域。
ベアードビールを飲みながら自然がぐっと近くなるお話しをご一緒に!

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◆開催日時;1月18日(土)
◆時間:19:30~21:00
◆参加費:2,000円(ビール・日本酒などワンドリンク・ちょこっとおつまみ付き)
◆定員:30名 ※先着順となりますのでお早めのご予約をお勧めします。
◆申し込み方法;店頭、電話、または下記ページのフォーマットよりお願いします。
 電話:055-919-1060
http://lotn.jp/events/talklive201401/

豊かな食と農を感じる~第44回沼津農林祭り~

12月15(日)キラメッセぬまづ(プラサ ヴェルデ)で
第44回沼津農林祭りが行われた。

目玉の一つ、農産物コンテストも行われており、
前日に審査が行われた。

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審査員は地元の市場の方など野菜のプロフェッショナルな方々。
各種類に分けられた野菜たちが並ぶ。

見た目で審査されるので、
大きさ、色、形を見極めて市場にあったものが選ばれていく。
選ばれたものには付箋がはられていく。
味へのこだわりはもちろんのこと、見た目へのこだわりが伝わってきた。

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傷がついているものは原点となる。
大根も細くても太くてもだめ。形が良くても大きさが合わないとだめ。
など厳しい審査がなされる。

つまり、何気なく買っている野菜も厳しい審査や
生産者の苦労が詰まっているのだ。

第44回沼津農林祭り当日、
この選ばれた方の表彰式が行われた。
そして、なんとこのコンテストに出された農産物が競り売り、販売が行われた。
販売には多くの人が並び整理券順に好きなものを選んで買うことができる。
安く、そしてコンテストに出した農作物を購入できると大人気だった。

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新しくプラザヴェルデになった会場。
広くてどんなふうになるのか想像がつかなかったそうだが、
いつもより多くの出展者が集まった。

各地区のJA支店や、農産者など多くのブースが出店しており
生産者と直接話したり、試食などを楽しめた。
即売もあり、お茶の詰め放題など農林祭りらしいお買い得も。

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そのほか、毎年恒例のあしたか牛の無料配布やプチヴェールを使用したジュースの試飲などもあり、
“今年はしずおか食セレクションの認定を受けたばかりの「あしたか牛」と「プチヴェール」の
お披露目も出来てよかったです”
と南駿農業協同組合営農支援課の関野さんもお話しされていた。

販売や、宣伝ブースの中沼津の昔の写真の展示や昔の給食展示などいくつか気になる催し物もあった。
揚げパンを配布していたり、
今と昔を比べることでただ今あるものを見るよりも食への理解が深まる。

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その理解の実践の場も。
JA愛鷹の1支店1共同運動で行っている“茶ぁぐりースクール”だ。
小学生10名が集まりお茶を使用したサーターアンダーギー“茶ァーターアンダギー”を作り1個50円で販売した。
大きな声で呼び込みをし、お金を預かり、ありがとうと言って一生懸命販売する姿に
お客さんも思わず笑顔に。

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”地域貢献の活動と愛鷹なのでお茶の普及を込めてこの活動をしました。
 参加してくれた子供たちも一般公募で応募してきてくれたんですよ”
と支店長の樋口さん。
JA職員と未来を担う子供たちが一緒にサーターアンダーギーを作ることで
今回の農林まつりのテーマでもある”輝けぬまづ!みらいへつづけ、豊かな食と農!”がより理解されると感じた。

このほかにも子供たちが体験できるスポット、戸田森林組合のブースネイチャークラフト体験や

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小学校3~6年生の子どもを対象として、体験型農業学校“あぐりスクール”の育てたトウモロコシで作ったポップコーンが販売された。

農産物は“食”の中心で
その農作物を扱う人たちが、消費者と一緒に“食”を楽しむ。
普段スーパーでは見えない人たちと出会うことで“楽しみ”や“安心”が芽生える。

JA職員にとっても沼津が集結する年に一度のお祭り、
半年前から念入りに準備し、市役所や生産者と連携しこのような会になった。

毎日食べるもの、
そして地元においしい“食”があることを感じてほしい。

よさこい東海道を振りかえる

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開催は毎年11月の第二土曜と日曜。
この日は全国から集まった踊り子たちによって、沼津に限らず近隣市町のホテルもいっぱいになる。
平成9年から始まったよさこい東海道も今回で17回目。
今年は北は北海道からよさこいの本場高知まで全国の70チーム、約3200名の参加者があった。
最優秀賞に該当するよさこい沼津大賞には大富士with雄大グループが輝いた。
揃った踊りと笑顔で観客を巻き込み、祭りを盛り上げた。

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“自分たちの街に誇りを持てるような祭りを作ろう”

本町で4代目むさしやを営む竹下功一さんは、17年前の祭りの立ち上げから関わり、昨年から務める祭り運営の責任者、よさこい東海道実施運営部会長としてこう語る。

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沼津のよさこいの特徴は流し踊りにある。
仲見世、北口、上土、魚町・仲町、アーケード名店街、本町と市街地各所の交通を遮断して踊り歩く、
そんな流し踊りは全国を見ても珍しいと竹下さんは言う。
狩野川の階段堤を使った演舞場など川をバックに踊るというロケーションも珍しいそうだ。

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全国から集まる踊り子たちも沼津ならではの環境を楽しんでいくという。
開催時期が遅いこともあり、全国のよさこいの踊り納めという意味合いもあるそうだ。

“沼津発信の祭りとしてオリジナルなものを作っていくそういう意識でやっています。今では全国の人たちから沼津ってすごいねって言ってもらえてます”

自分の住む街にこんな誇らしい祭りがあったとは!
では、よさこい初心者の自分はどこを見ればいいのか。

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“踊りがそろっていると迫力がありますが、基本的には上手い下手ではなく楽しさが伝わればいいと思っています”

なるほど!だったら自分にも分かりそうだ。
見てるだけでは我慢ができないという方は、思い切って飛び入り参加自由の“よさこい東海道みんなで踊り隊”に参加してみるのもいいだろう。

“沿道のお客さんがすごい盛り上げてくれるから踊り子も楽しんで踊ってますよね”

そう語るのは大手町、りぐるの代表取締役、中川尚子さん。
りぐるは今年10年ぶりの出演となった高知県のよさこいチーム『ほにや』のグッズを販売したり、
日頃からよさこい好きが集まるお店として知られる。

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大音量の地方車、華やかな踊り子、沿道の観衆、サポートのスタッフ各々の力が足し算となってひとつの祭りができる。どうやら難しく考える必要はないようだ。その場の雰囲気をそのまま楽しめばいい。
祭りの楽しみ方は人それぞれ。自由なスタンスが自由な空気を作る。
人と人とが沼津の街を舞台にして繋がる祭り、よさこい東海道。
晩秋の沼津の風物詩として、これからも祭りをもっと楽しみたいものだ。

循環の物語のはじまり~一杯のスープをつくる時間~

修善寺駅から20分。伊豆市萬城の滝にて八百屋 REFS主催の“一杯のスープを作る時間”というイベントが行われた。

今年で3シーズン目の開催となる、このイベントは、一年をかけて富士山の麓から海までの循環を体感する長期体験型のイベントだ。
最高のスープを飲むために器を作る木を切る過程から始め、「森」→「水」→「川」→「海」と自然の恵みを循環していく。

第一回目の今日はその最高のスープを飲むために、器になる木を切るところ。

曇り空。寒さの中、
東京や大阪から15名、地元が10名の参加者が天城に集合。

まずは八百屋 REFS代表の小松さんから主旨の説明。
そして森林づくり伊豆の会の有城さんからお話があった。

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参加者は期待を膨らませながら真剣に話を聞く。
その後3つのグループに別れ、作業の説明を聞く。

今回の作業は“間伐”
山へ行き間伐材をする事で森の役割を感じることを目的としている。

それぞれにリーターを決め、ヘルメットを装着。腰にのこぎりの入った作業袋をつけみんなで森に入った。

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5メートル以上のヒノキや杉が立派にそびえ立つ。
だが日の当たらない土壌には植物が育たず、根をしっかりと生やすことができない。
こんなにも立派な木にもかかわらず根は薄っぺらいもので
本当にこの幹を支えていたのかと不思議に思うくだいだった。

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日を当て、しっかりとした根を持つ木があることで
土壌もしっかりしていく。

上を見上げ、どの木を切るかを決めた。

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5~6メートルある木を伐採する。
みな口々に“どうやって倒すんだろう”“引っ張るしかないんじゃない”なんて声が飛ぶ。

決めたらしるしをつけ、倒す方向を決め、それに合わせてロープを巻く。

棒を使い3メートルくらいのところまで切る木にロープをひっかけ
支えになる木にひっかける。

次にチェーンソーで切り込みを入れる。
チェーンソーを使ったことがない人も、実際使用して木を切る。
音も振動も木を切る力強さを感じた。

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ロープをみんなで引っ張ると、重みが手に伝わる。
思っていたより重たい。恐る恐る引っ張る手に力が入った。

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そしてゆっくりと木は倒れ、ドッスんという重い音が体に響く。
参加者の歓声が上がった。

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その後は、丸太を作る。
何度かやるたびに参加者も一人で出来るようになる。
皆たくましくなったような気がした。

最後はREFSの伊豆・富山麓の野菜を使った山のごちそうと猪のバーベキュー。
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力仕事の後、気持ちいい山の中での食事は一際おいしい。

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切った木に湿り気があることも、木の川を剥ぐととうきびのような味がすることも、光が当たる方に幹が太っていくことも、森にこなければ実感出来なかった。

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左から器になる過程。
まずは丸太を半分にして型をとる。

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器をつくるのに丸太が一本必要なことを知る。木は湿っていて半年乾かさないと製品にできない。

都内から来た方は
“いろんなワークショップがあるけれど、本当に行きたいワークショップはなかった。
 でも2時間以上をかけても来てよかったと思う”

その理由。
“実感がちがう”

器ひとつにしても森と繋がっている。
森の役割、そして生きている木と触れ合うこと。

この先この森がどう循環していくのか。
“実感”してほしい。

一杯のスープを作る時間2014
2回目以降からの参加や1度だけの参加もOKです。

<1回目終了> 木の伐採 @天城山中 2013年12月8日(日)
チェンソーで木を切ります。

<2回目> じゃが芋植え @三島 2014年3月9日(日)
農作業をしスープに使う食材を植えます。木のスプーンづくりもして頂きます。

<3回目> 猟師と原生森をトレッキング 2014年5月18日(日)
山の事、動物の事を知ります。

<4回目> カヤックで狩野川下り @韮山 2014年7月13日(日)
狩野川から水の循環を考えます。

<5回目>海沿いの古民家をベースに漁村体験 2014年9月28日(日)
森と海が繋がります。

<6回目>スープの会 @沼津 2014年11月23日(日) 
今までの食材が集合します。

詳しくはこちら→http://fujiyama-veggie.com/soup

今回の映像

一杯のスープ2014 1回目 from REFS on Vimeo.

≪REFS≫
沼津市上土町72-5
TEL:055-963-4556
http://fujiyama-veggie.com/

≪森林づくり伊豆の会≫
http://moridukuriizu.org/

街中を駆け抜ける~静岡県内初のクリテリウム~

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11月24日、県内で初となるクリテリウムの大会が清水町で行われた。
クリテリウムとは、他の交通を遮断して街中に作られた周回コースで行われる自転車のロードレースのこと。
清水町の町制50周年を記念して行われたこの大会。参加者は県内外から351名。
県内の参加者がおよそ7割。茨城、群馬、大阪など遠方からの参加者もいる。
会場になった卸団地には特設の周回コースが設けられた。

“卸団地地区と道路を使用してイベントをしようというのは長年の夢だったんです”

答えていただいたのは企画を担当した清水町役場の太田雅明さん。

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当初は踊りのイベントであったり様々な企画があがったなか、
平坦でコンパクトな清水町の特徴を活かしたイベントとしてクリテリウムを行うに至ったそうだ。
レースは1周約930メートル。
ロードバイクを使用した本格的なロードレーサーの部以外にもママチャリの部や小さな子供を対象としたキックバイクの部などもあるため、参加した年齢は2歳から70歳までと幅広い。

“鉄道駅もない街ですし、自転車を使った街づくりのきっかけになればいいかなと思ってます”

スタート前、この日が来るのを待ちわびていたであろう参加者の笑顔でスタートラインは和やかなムード。

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だが、レースが始まれば一気に真剣モードに切り替わる。
ロードバイクのスピード、迫力に観衆も驚きを隠せない。
普段の卸団地とは全く違った新鮮な風景、街中をロードバイクが走り抜けるその光景。

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参加者も観衆も誰もが喜びに満ちた空気に包み込まれる。

“参加いただいた方からは好評いただいてますので、今後定期的に行えていけたらいいなと考えています”

レースの結果ではなく、参加することに喜びを感じる。
自転車が好きという共通の意識がここにはある。

“いい経験になりました。またチャレンジしたいです”

ロードレーサー男子一般の部に参加した裾野市の庄司浩将さんは笑顔でコメントしてくれた。

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県内で初となるクリテリウムの大会。
街中を駆け抜けるロードバイクに魅了された一日だった。

歌舞伎を見る~沼津の段~

浄瑠璃や歌舞伎の題材として敵討ちがある。

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その題材の中でも有名な一つに沼津での物語がある。
それは伊賀越道中双六(いがごえんどうちゅうすごろく)の“沼津の段”だ。
敵を追う主人公たちの移動につれてさまざまな人々の義理と恩愛とにからんだ悲劇が次々と東海道筋に展開されていく。
沼津警察所裏の狩野川のほとりに、この物語の地蔵尊があり毎年7月にお祭が行われ沼津の人々に親しまれている。

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「沼津の段」は屈指の名場面とされ、親子兄妹の悲しい対面の物語が感動を呼ぶ。
この沼津の段は単独でもたびたび上演されるほど。

今回はその沼津の段が上演されるということで国立劇場に歌舞伎を見に行った。
さらに今回は通し狂言の伊賀越道中双六(いがごえんどうちゅうすごろく)。
江戸時代後期から一つの演目を通しで上演することは珍しいらしい。
前後がわかるということでより沼津の段がよ楽しめるとのこと。

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国立劇場は半蔵門駅から徒歩3分、正面に行くとのぼりやちょうちんが飾られている。

パンフレットを買って席に着く。

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まずパンフレットで物語の内容を確認。
人それぞれだがある程度物語をわかったうえで見ることによって
理解しながら見ることができるのでちょっとしたユーモアにも気づくだろう。
加えて音声案内を借りるのも手だ。

幕が開き、着物に身をつつみ独特な化粧をした女形の人たちが話し出す。

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“思ってたよりも言葉が聞きやすい”
のが第一印象。
歌舞伎に対して“難しい”と思ってたがそんなことはなく
すんなりと入り込むことができた。

そして舞台の両端には
語り手と尺八、太鼓。。。
生の音色が響き渡る。

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歌でもなくでも、ただしゃべっているのではない独特な語り口調。
そして客席から名場面などで「よっ!」という声や各役者の所属先の名前を呼ぶ声が飛ぶ。
慣れていない私は、驚くことが多い。

歌舞伎では休憩が何度かある。
一番長い35分間の休憩で多くの人はお昼をとる。
開演前にレストランの食事も予約でき、
ビーフシチューやチラシ寿司などバリエーションも豊か。
もちろんお弁当やサンドイッチも売っている。
持ち込みも大丈夫だ。
開演中は食事はできないが休憩中は客席でご飯を食べても大丈夫だそう。
私はローストビーフサンドイッチ800円を買って外のベンチで食べた。

つかのまの休憩をはさみ、3幕はいよいよ沼津の段。
最初の屋敷のセットはがらりと変わり
富士山と松。そして川。
親しみ深い景色へと変わる。

そして会場の中を役者があるくというサプライズも。
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東海道宿場町、沼津。
1里と短いながらもかつてあった三枚橋城と狩野川を迂回するようにかくかくと曲がり進む道。
その面影は今では看板などささやかながら沼津に残っている。

会場のロビーには土産物屋やお弁当屋などが並ぶ。
歌舞伎揚げのお菓子のパッケージでおなじみのカラーにちょうちん。
ちょっとしたテーマパークのようでわくわくする。
今回は沼津の段と絡めて沼津物産協議会による店舗も出店していた。

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お茶、ひもの、平作もなかなどの沼津を代表する物産が並ぶ。

伊賀越道中双六をテーマにした「平作もなか」を創業よりつくるいせや本店代表の居山直行さんに話を伺った。
いままでも小劇場では演目がかかるときに販売していた。
今回、初めて大劇場平作もなかが並ぶ。

なぜ平作もなかが出来上がったのか。
“戦前戦後このあたりは大きな企業でいっぱいだった。
その中で、接待につかう料亭やお土産に菓子屋、
このあたりのお店は新商品を作ろうといつも考えていた。
その中で先代がこのテーマに目を付けたのが始まり”

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いせや本店が題材にしているもの、
平作のほかにも、江原素六や千本松、狩野川。

決して、派手ではないが地元になくてはならないもの。
そして地元のベースを作ってきたもの。

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今では国立劇場と一緒に物産を販売や企画をしたりと
歌舞伎にも力を入れている。
修行をしていた大阪のお店の近くにも浄瑠璃の劇場があったらしく
“歌舞伎を題材したお菓子を作り、今こうやって歌舞伎にかかわっているのは運命なのかも”
と。

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沼津という地が過ごした時の流れ。
その流れを歌舞伎で表現すること
お菓子で表現すること。

東海道が残していく物語、そして伝統芸能である歌舞伎は
今もこれからも続いていく。

国立劇場
東京都千代田区隼町4-1
TEL:03-3265-7411
★通し狂言伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく) 四幕七場は2013年11月26日(火)まで開催中

いせや本店
静岡県沼津市幸町2番地
TEL:055-962-0222 / FAX:055-962-0223

雨の庭園を眺めながら

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11月10日に松間の饗宴2日目が行われた。

雨のため会場が庭園から東附属邸へ。
ここは大正天皇が学問所として使っていた所だ。

イベントというとBGMが必要だがこの空間では雨の音、天気に合わせ変化する庭の表情を眺めているのがとても面白く音楽は必要なかった。
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昨日とまた料理人が変わる。
フレンチのaiaiはトロール漁のスープドポワソン、
西浦みかんを使ったクレープ。

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中華の一歩は鯖を黒酢で揚げ、野菜をあんかけご飯に。
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天然酵母のパンのワイルドオーブンも参加した。
昨日に引き続き富士山麓野菜と石塚豚のプレート。
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かの川は、大中寺芋と天城軍鶏の炊き合わせ。

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山正の釜揚げシラスと桜海老の佃煮のチラシ寿司。
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志高き生産者と料理人のコラボレーション。

食材を提供した生産者のみなさんもお越し頂いた。

大中寺芋の会のみなさん。

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戸田塩の会の菰田さんは、ふじやまプロシュートの渡辺さんと新しい出会い。
“もしかすると、プロシュートを戸田塩を使い作るかも”
と渡辺さんが話していた。いったいどんな味になるのだろうか。楽しみだ。
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東附属邸の凛としたなかで、食と向き合う時間。
改めてこの地域の事を考える。

ここ沼津御用邸は東京の皇居から移築されたそうだ。
なぜここの地が選ばれたのか。
燦々沼津大使でもある建築史家の浅羽英男さんは、気温や湿度が大きな要因だったと教えてくれた。
そして海のそばで富士山が見える景観。

水産物、畜産物、農産物と恵まれた食を楽しめたのも大きな要因だったかたもしれない。

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特別な場所は、時が経ち我々市民も使えるようになった。
我々はこの場で特別なモノと向き合える特別な時間を愉しんでいきたいものだ。

沼津御用邸記念公園
沼津市下香貫島郷2802-1
電話:055-931-0005
ホームページ:http://www.numazu-goyotei.com/

御用邸で沼津の恵みを食す~松間の饗宴~

今日は11月9日、10日と開催される松間の饗宴の初日である。
松間の饗宴は11月2日から始まった松籟の宴の中の一つのイベントである。

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秋の恵みを味わうひとときをテーマに、
御用邸記念公園の本邸奥庭で行われた。
草月の作り出すダイナミック竹のモニュメント。

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そして沼津の家具作家OFCのテーブル。
その上にはドイツで修業をした女性オーナーが営むアコルトの花。

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庭園の空間に料理人が集まった。

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リバーサイドホテルのかの川、
フレンチのSHORE、イタリアンからはサンテラスキッチン。
それぞれシェフたちが腕を振るうのを目の前で見ることができる。

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さらに麦豚工房石塚、フジヤマベジを提供するREFS。
そして、OPERA、魚ぶん、イルパリオ、LOTUS SWEETS、御殿場からはふじやまプロシュート。

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今回特別に用意された沼津の食材をふんだんに、そしてお店のカラーで仕上げていく。
大中寺芋、深海魚など沼津港市場の水産物、丹那牛乳、戸田塩など。。。

アルコールも白隠正宗やベアードビールの地酒もそろった。

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沼津ジャーナルでも取材を重ねてきた。
その一つ一つが集結し、形になった。

今回はこの話を聞きつけてきた東京からのお客さんや、
明日沼津アルプス縦走する方たちも来ていた。

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チケットを買い、思い思いの料理を買っていく。
そして松林の中で特別な時間を過ごす。

ステージでは琴の演奏もあった。
波の音と松林の中に今だけの特別な空間が気持ち良い。

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明日は天候が雨になるため東附属邸で行う。
東附属邸でこのようなイベントをするのは初めてだ。
歴史を感じる空間でこの地域ならではの恵まれた秋の食材を味わう。
出店店舗の入れ替わりもあるのでまた違う“食”と“空間”を味わえるだろう。

松間の饗宴
明日は最終日!

自然に育まれた天城軍鶏

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“生産量を増やすという形ではなく、切り口を変えたところでやっていきたいなと思って”

狩野川をさかのぼり伊豆市矢熊の川沿いにある鶏舎でインタビューに答えていただいたのは天城軍鶏を生産している堀江養鶏の3代目、堀江利彰さん。

天城軍鶏は栄養度の高いエサを与え、自由に走り回る事が出来る平飼い鶏舎を使い、ブロイラーの3倍以上の時間をかけて育てられた軍鶏だ。
飼育は120~150日くらいの時間をかけ、生き物本来の形でゆっくり育てることにより、程良くしっかりとした歯ごたえで臭みもなく育つ。
狩野川沿いに立地するため、川の風が流れることで空気が淀まないそうだ。
鶏も人間と同じでストレスを与えずに育てることが重要だ。

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“風だったり、陽の当て方だったり、季節によっても違うし、鶏舎に入っている雄と雌の量によってもやり方を変えています”

その時々の条件によってやり方を変える。
これまでに蓄積された経験と知識がそれを可能にさせる。
また、堀江さんは直接料理人と意見交換することを大事にしている。
それは生産者として生産者本位で作ること、自己満足になることを抑止するためだという。

“完璧はないんです。同じように飼っても、全く違う鶏になるんです。生き物を扱うってそういうことです”

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堀江さんのこだわりは餌にも及ぶ。天城の特産であるわさび、その葉っぱを餌に混ぜる。
わさびには抗菌や整腸作用があるそうだ。わさび以外にも近所の豆腐屋さんでできる豆乳も与えている。
人間が飲めるほどの豆乳を惜しげもなく与える。

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これほどまでに手間暇かけて飼育された天城軍鶏だが、実際に食べる機会というのは少ない。
また、その食べ方もよく分からなかったりする。

“そうなんですよ。食べ方が分からないとただ硬いで終わってしまうんです。だから、プロの料理人さんを経由して消費者に届くようにしているんです”

11月9日、10日に御用邸で行われる松間の饗宴でも天城軍鶏を味わうことができる。
調理に腕を振るうのは沼津リバーサイドホテルの日本料理かの川と馬込のフレンチレストランSHORE。
天城の自然の中で育った天城軍鶏がどう調理されるか、興味は尽きない。

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堀江養鶏
電話:0558-87-0644
http://www.amagi-shamo.jp/