伊豆縦貫自動車道開通パレードと沼津の奇祭

国土交通省が進める東駿河湾環状道路の三島塚原―函南塚本の6.8kmが2月11日に開通した。
これで東名から修善寺付近まで約33キロが一本に結ばれた。

高速地図

これからさらに、下田まで道路は伸び、この道路を総称し伊豆縦貫道路と呼ぶ。
この道によってどのような効果が地域にはあるのだろうか。

地元の生活向上、観光客へのアプローチ、企業の物流の効率化。

この道路への様々な人の希望も込められ、函南町文化センターで国や県、沿線市町の関係者ら約550人が出席するで式典が開かれた。

その後道路へ移り各市町村のパレードが行われ、車にデコレーションや、ゆるキャラと来賓がトラックの荷台から手を振ったり“車でのパレード”。

沼津市も参加した
この企画を任されたのは沼津市役所観光交流課の平田さん。
1ヶ月弱という短い期間の中で最大限“沼津”をアピールすることを考えた。
そこに同部署の荻野さんが加わり二人のプロジェクトは進む。

今回は4月4日に毎年行われる、沼津の奇祭“大瀬まつり”を再現することに。
このお祭りは、内浦港と大瀬崎で行われる。
東名を降りこの道路を使い、伊豆長岡インターで降りて、会場の内浦や大瀬崎に行ける。

大瀬祭りは毎年4月4日は駿河湾の漁師の信仰を一身に集める大瀬神社の例大祭。
この祭りの最大の見どころは、女装した青年達が華やかに飾り付けられた漁船の上で繰り広げる
「勇み踊り」「♪チャンチャラおかしー、チャンチャラおかしー」のお囃子(はやし)に合わせ、
踊りながら大瀬崎の大瀬神社に参拝。
奇抜なメイクと、その今にも落ちそうになりながら踊る姿を一目カメラに収めようとする人も多い。

休日出を勤し、集められた市役所職員15名。
全員男性だ。

今回のパレードも車の中から全員が女装をし踊った。
ちなみに、バスの装飾30分。
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メイクと踊りのリハーサルに1時間かかった。

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ほかの地域の人や関係者がびっくりしながら横を通っていく。
奇祭の世界観に突き進む職員たち。
なんだかかっこいい。

そしていよいよパレード。人々が見守る中、踊りながら歌いながら大いにアピールをした。
その時間およそ30秒!

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まさかの短い時間に驚いたが一瞬にかける情熱はどこよりも強かったのではないだろうか。
いつも沼津は全力だ。

準備に時間がかかったので、片付けも時間がかかった。
市役所の作業着に着替え片付けをするメンバー。顔はそのままに。

“なんにでも一生懸命”な沼津市役所職員。“楽しもう”という気持ち、アピールしようという気持ちを自分たちに考え、実行する。
ゆるきゃらにも負けない、癒しと地域の魅力を具体的にアピールしていた。

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今年の4月4日(金)に内浦漁港で大瀬まつりが開催される。
本物の大瀬まつりは今回以上に迫力がある。
もちろん市の職員も参加。

ぜひ本物を見て、奇祭を体感してもらいたい。
お祭りの帰りは同じ道路を戻るのではなく、海沿いのカフェで春霞の富士山と駿河湾を眺めたり、香貫山の桜を眺めながら沼津の街を楽しむのもおすすめだ。

様々な場所にアクセスがしやすくなった伊豆。
魅力的な場所やイベントの情報をうまく入手し、伊豆の中央を走る縦貫道を有効に使い点と点を結ぶと多様な旅ができるはずだ。
そして、地元ではしっかりと点と点を結ぶ線を意識し魅力を発信することがより重要になりそうだ。

 

≪大瀬祭り≫
4月4日(金)
http://www.osezaki.jp/osematuri.html

ふたつの顔を持って街をあたたかくする~六軒町~

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【2014年の記事です。現在は記事のサービスを施設で提供しておりません】

昔、沼津の新仲店商店街を越えると六軒お店があり
活気にあふれていたという話があった。
今でもタクシーを呼ぶときに“六軒町”というそうだ。

その話をオーナーが聞いて
またその活気を取り戻したいと昨年オープンしたお店がある。
その名も“六軒町”

何年も空いていた物件を借り
通りに明るい雰囲気を作り出した。

六軒町は夕方17時まではおにぎり専門店、
夜はお刺身や天ぷらなど和食がメインの居酒屋となる。

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昼と夜の顔は一転、
同期の昼間の店長井口さんと夜の店長真野さんは親子ほど年が離れているが
仲が良く、時間帯が違い会うことも少ないのだがお互いをフォローし合っているそう。

昼間のおにぎり専門店はなかなか珍しい。
お米もお米屋さんに相談し一番おにぎりに合うものを、
そしてガスのお釜で炊き上げ、保温にも注意を払っている。
お持ち帰り用ののりはぱりぱりになるように巻かないという徹底ぶり。

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メニューも約30種類。
中には塩からバターなど珍しい具も。
全部試したくなるような具はオーナー自ら色々な店を周りおにぎりを食べ
試作を繰り返し考えたもの。

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オーナーの山田さん、
おにぎりという日本のソウルフードを選んだ理由。
“おいしいおにぎりを食べるとほっこり幸せな気分になるじゃないですか”
シンプルだけどとっても優しい答え。

コンビニにはない、だれが握ったかわかるおにぎりは安心感がある。

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さらに
プラス200円でお惣菜をセットにできる。
味噌汁やお漬物、小鉢がつく。
スタッフには主婦の方が多く、メニューもみなさんで考えて作るそう。
家庭のあたたかな味が楽しめる。

スタッフの人数も多めなのだが
主婦が多い職場。お子さんや家庭で何かあった時にみんなでシフトを回していけるようにしています。
それもスタッフにお任せ。

女性オーナーならではの気配り。
おにぎりを握る手はいるもあたたかい。

そして夜。
沼津のレストランで料理長を務めていた真野さんが
本格的な和食を提供。

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奥の座敷はゆっくりとくつろいでもらえるように1日1組、時間制限なし。
おいしい料理をリーズナブルな価格で気軽に楽しんでもらいたいとのこと。
バリエーション豊かなメニューはただ今考案中。
ゆっくりと仲間たちと楽しむ空間はまた昼とは違うあたたかさを持つ。

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昼夜、二つの顔を持つお店“六軒町”
そして昼も夜もこの通りを明るく照らす。

≪六軒町≫
沼津市町方町35 鈴佐本店ビル1F
TEL:055-963-8839


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海を見た後は浜の近くのお風呂で~千本プラザ~

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【2014年の記事です。現在は記事のサービスを施設で提供しておりません】

“海沿いをジョギングやウォーキングをした後に寄っていただけたらと思うんですけどね”

そう語るのは千本プラザの館長の重田輝夫さん。
千本プラザがオープンしたのは平成7年。
以降、子供から高齢者までが世代の垣根を越えて集い交流することができる世代交流の場として機能している。

松間からこぼれる光がやわらかくこの施設に射し込む。

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コンサートも可能な音楽ホールや人数に応じて大きさを選べる会議室、軽運動室や音楽スタジオ、陶芸室などあらゆる用途に応じた施設を備えている。

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その中でも隠れた人気が浴室である。

夏であれば千本浜で海水浴を楽しんだお客さんの利用などもあるそうだ。
海水浴以外にもジョギングの帰りやサイクリングなどのアウトドアスポーツの疲れを癒す場としても使えるのではないか、と重田さんは提案する。

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本来、老人福祉センターとして位置づけられた施設だがその使い方は工夫次第である。

中学生以上の大人500円、子供300円と手ごろな利用料金というのも嬉しい。
利用時間は午前10時から午後4時まで。
寝湯・気泡湯・サウナも付いており公共施設としてはなかなか贅沢に作られたお風呂だ。

沼津の街中や港を観光、千本浜から富士山を見たそのついでにお風呂というのも悪くない。

沼津の中心市街地からそれほど遠くもなく、千本松原や富士山の景色を楽しむことができる立地。
知る人ぞ知る千本浜周辺の穴場スポットとしてこのお風呂を使わない手はない。

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ほとんど沼津の住民しか利用しないであろうこのお風呂に地元の人を装って入浴する、そんな秘めた楽しみ方もできるのではないだろうか。
観光マップには載らない隠れた魅力、間違いなく沼津のコアな楽しみ方ができる場所である。

“いままでお風呂の取材に来る人なんていませんよ(笑)どなたでも利用できますから、大いにアピールしてください”

重田さんは笑顔でそう語る。
オープンから18年経つ千本プラザ。利用方法はまだまだ可能性がある。

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≪千本プラザ≫
沼津市本字千本1910-206
TEL:055-962-3313
http://www.city.numazu.shizuoka.jp/kurashi/shisetsu/senbonplaza/

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家族のあたたかみの中で~つじ写真館~

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沼津銀座に店を構えるつじ写真館。
ここでの商売の歴史は長く、古くは御用邸に炭を納めていたという。
写真館を始めたのはご主人、辻泰男さんの代から。
泰男さんはこれから先、何か手に職をつけなくてはと考え、富山県のネギシ写真館へ修業に出る。
8年半の修行。
ご主人は修行先で奥様と知り合い、技術と共に笑顔が溢れる写真館になるであろうパートナーと生まれ育った商店街に戻ってくる。

“写真屋はお客様に気持ち良くなって帰ってもらうために雰囲気を盛り上げることが大事なんです”

インタビューに答えていただいたのは奥様の辻栄子さん。

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栄子さんはご主人と共に写真館を長年守ってきた。
つじ写真館のお客さんは七五三や入学、卒業などといった記念写真の撮影が多い。
撮影の緊張から硬い表情になりがちなお客さんを和ませ、リラックスした自然な笑顔を引き出すことがいい写真を撮るコツだそうだ。人生の大事な場面を写真という形に残すことに大きなやりがいを感じるとともに責任も感じるという。

“20年後、見直した時に嬉しくなるような写真を撮らなくてはいけないんです”

何年経っても記念写真のなかにはその時の感情や想いが変わらず収められている。
写真の一枚一枚にストーリーがあるんです、栄子さんは写真を見つめながら嬉しそうに語る。

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現在、ご夫婦のほかに3人の娘さんたちも手伝い、家族5人で写真館を切り盛りしている。
家族5人でやっているから5通りの考え方ができる。いざとなったときは家族だから団結できる。
家族経営の強みを栄子さんは語る。

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“手伝ってとか言ったことはないんですけど、自然と集まってきた感じです。やっぱり家族ですね”

家族と言えば忘れてはいけないのがミニブタのさくらである。
さくらが来たのは今から12年前、それ以来つじ写真館のマスコットとしてテレビや新聞など各メディアに露出。
さくらを目当てに訪れるお客さんもいるとのことだ。

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つじ写真館から感じる温かみや居心地の良さは家族が持つ温かみである。
お客さんはまるで家族の一員になったかのように迎えられ、人生の節目を一緒になって祝う。
一枚の写真が物語るストーリーはいつまでも色褪せることはない。

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≪つじ写真館≫
沼津市上土町36
TEL:055-962-1384

ポン菓子のおじさんとして~ポン菓子 ポン吉~

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【2014年の記事です。】

“この仕事を始めてから小学生の友達がいっぱいできました(笑)”

そう語るのは沼津を中心にポン菓子の移動販売を行っているポン吉の大塚国雄さん。
ポン菓子とは米などの穀物に圧力をかけた後、一気に開放することによって膨らませた駄菓子の一種であり、昭和中期頃までは定番のお菓子として子供に人気があった。大塚さんがポン菓子の販売を始めて2年が経つ。

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原料にこだわり、静岡県内産のお米を使い、愛鷹山の伏流水を毎朝汲みに行くという。

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“美味しいと言ってまた来てくれるお客様がいると嬉しいですね。オフィス務めではなかなか味わえない感覚だと思います”

東京や長野で会社勤めをしていた大塚さんが会社を辞め、沼津に引っ越してきた理由はスキューバダイビングをやりたかったからだと言う。
引っ越しの候補地として沖縄もあったが、子供たちが遊びに来るのにのアクセスがいいという理由で沼津を選んだそうだ。

“大瀬があったから思い切って引っ越してきたんです”

スキューバの魅力、大瀬の魅力に惹かれた大塚さん。
定年退職してからでは身体が動かないかもしれない、だったら早めに会社を辞めてもう引っ越してしまおう!
とためらうことなく行動に移した。

その時に出会ったのがポン菓子の移動販売という仕事だった。

知らない土地で知り合いもなく、未経験の仕事を始めることに不安はなかったのだろうか?
“会社に勤めてたときと比べれば収入は不安定かもしれません。でも、食べるには困らないし、なにより楽しいんです”

なかには一日中その作業を見ている熱心な子がいたり、ある時は10人ぐらいの小学生グループの溜り場になったりと、その光景はまさに昔ながらの駄菓子屋ともいえる光景である。

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そんな集会場としての駄菓子屋、ポン菓子のおじさんとしての役割に大塚さんは満足しているという。

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もしも、宝くじが当たったとしてもこの仕事は続けます、大塚さんは嬉しそうに語る。
仕事と趣味、充実した日々を沼津で手に入れた大塚さんの表情は本当に優しい笑顔で溢れている。

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≪ポン菓子 ポン吉≫
販売予定は下記HPをチェック

ポン菓子ポン吉

半島のじかん2014 ~松屋銀座デザインギャラリー1953 ~

半島振興法という法律がある。
この法律は、三方を海に囲まれ、平地に恵まれず、水資源が乏しい等、他の地域に比較して低位にある半島地域について、自立的発展及び地域住民の生活の向上並びに国土の均衡ある発展させる目的とし、国土交通省には半島振興室という部署を設けている。

半島地域の魅力を都市に暮らす人たちにも知ってもらうことを目的とした交流イベント「半島のじかん」を2011年より開催している。
3回目に当たる今回は、先月末から1ヶ月間、国土交通省と日本デザインコミッティーとの共同で、「半島と食」をテーマとした展示やデザインサロントークを松屋銀座で行っている。

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この取材は12月初旬に行われた。
メインは能登と伊豆で撮影、取材がされた。

日本一金目鯛が水揚げされる下田港、日本一天草が生産される土肥の八木沢海岸でところてんをつくる方、西伊豆田子の日本で唯一の塩かつおを製造しているカネサ鰹節商店へ。

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戸田では3ヶ所を取材。
日本唯一の高足がに職人は、駿河湾の魅力を語ってくれた。

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柑橘類の原種タチバナ、戸田は国内最北限となるの自生地。
タチバナも撮影。
この時、収穫された橘は、みなさんでジャムにしていた。

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日本一の塩を目指す戸田塩へも。
戸田塩の薦田会長とデザイナーさん。
展示に合わせリニューアルする戸田塩のパッケージの打ち合わせも。

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そして海から離れ伊豆の中央へ。
わさび田へ行き、カメラマン、デザイナー、コピーライターの方は生産者と話をしながら半島の表現方法のイメージを膨らましていた。

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伊豆の山の木を間伐し器などをつくる木工作家、有城さんの所へも。

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伊豆はこの取材の3日間、富士山がとてもきれいな時だった。

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景色もとてもよく、色鮮やかな伊豆日和。

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海と山が近く、交通が不便と言われるがその地域で資源を活かし食と携わる人々。

今まで都市が中心でそこから離れれば離れるほど情報もない利便性、田舎は価値をがないという相対的な関係だったのを見直し、価値を掘り起して評価し直したい。
そのテーマのもと取材がされていった。

“その場所でしか撮れないモノの存在感、その場の気、つく手の趣き、それらの内包されたものを撮って、現場で感じたリアルな状況から写真で半島を切り取った”
カメラマンの白井亮さんは言う。
最初はシチュエーションが伝わるように撮っていたが、モノ自体にフォーカスし撮っていったそうだ。

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《展示会場にて白井さん》

展示会場に行くと、いきいきとした半島の食が切り取られていた。

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アートディレクションは、日本デザインセンターの大黒大悟さん。
撮影した場所など具体的な言葉による説明はされていなかった。
ビジュアルでも特定の地域らしさのイメージを表していない。
あの美しかった富士山も、今回の展示では登場していない。

半島の普遍的価値を表現されて、地域らしさというより日本の文化が見えてくる。

入口に冊子が置いてあり、開いてみると一番はじめのページは戸田塩のみなさんだった。

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デザイナーの大黒さんは、戸田塩をつくる小屋に入り戸を開けた時、何か神々しいものを感じたそうだ。
その場にあった、とてもいい“気”を伝えられたらと、取材の時に言っていた。

こうして、会場では半島の何気ない日常、何気ない文化を多くの方に知って頂いている。

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出来上がった冊子を伊豆の取材先に持って行った。

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じっくりと自分たちの光景を確認し笑顔で
「素晴らしいですね」
と。

戸田塩のパッケージも大黒さんによってデザインされた。
戸田塩のとてもきれいな白を活かすデザイン。

菰田さんは、これからの活動にまた励みができたそうだ。

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《前のパッケージと比べる菰田さん》

会場の銀座松屋ではこの展示の期間、戸田塩を含め、全国の半島の食も購入する事ができる。

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デザイナーによって切り取られた“半島”にはまだまだ我々が気づいていない魅力的なものが多くあった。
我々地方の者も地域の食を「地産地消」という言葉だけで終わらせず、他の地域も知り客観的に自分の地域の食文化を見つめ直したいものだ。

【半島の台所 開催日】   
 <展示>
  平成26年1月29日(水)~2月25日(火) (2月18日(火)は18:30まで)
  期間中「半島と食」をテーマとした展示。

 <デザインサロントーク>
  クリエイターによる「半島の台所」制作エピソード、半島の食で地域活性化をはかる方々の話、生産者とクリエイターが語る半島の食のデザイン等について、下記日時にトークセッション。
  
  [ テーマ ] 半島の食をめぐるチャレンジ 
  [ 日 時 ] 平成26年2月15 日(土) 15:30~16:30
  [ 出 演 ] 中山 幹生氏 : 東京農業大学農山村支援センター学術研究員
          辻 悦子氏 : 企業組合でる・そーれ理事(津軽地域)
          豊田 玲子氏 : NPO法人風土計画代表理事(丹後地域)
          畦地 和也氏 : 黒潮町役場職員(幡多地域)

  [ テーマ ] 『半島のじかん2014 半島の台所』クリエイターがとらえた半島 
  [ 日 時 ] 平成26年2月15 日(土) 17:00~18:00
  [ 出 演 ] 大黒 大悟氏 : 「半島のじかん2014」グラフィックデザイナー
          是方 法光氏 : 「半島のじかん2014」コピーライター
          白井 亮氏 : 「半島のじかん2014」フォトグラファー
    
※ 入場は無料、申し込み不要。
   デザインサロントークは座席の数に限りあり(20名程度、先着順)。

【開催場所】
 松屋銀座7階・デザインギャラリー1953  
  http://designcommittee.jp/
 〒104-8130東京都中央区銀座3-6-1
    
【主催】 
 国土交通省、日本デザインコミッティー

【後援】 
 半島地域振興対策協議会、半島地域振興対策議会議長連絡協議会、全国半島振興市町村協議会
    

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食堂からカフェに想いをつなげて~Cafe&Gallery Fran~

【2014年の記事です。】

沼津駅北口から徒歩5分。
ビルの2階。
エレベータを降りると真っ白な廊下が現れる。
どこか昔懐かしい学校の廊下のよう。

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中に入ると奥にギャラリー、
真ん中に雑貨、そして窓側にカフェスペースが広がる。

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真っ白な壁にコンクリートの床。そこにあたたかな明るい木の家具が並ぶ。
窓から差し込む光も心地よい。
まるで北欧のカフェに来たような錯覚に陥る。

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机の上には小さな花がそれぞれ置いてあり、
床にドライフラワーや動物の置物、壁には絵。
気付きにくいところまできめ細やかさが光る。

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ここは、2人の姉妹が運営している。
両親の持っていたビル。
証券会社が入っていたのだが退去した。
そのスペースがもったいない。
空きスペースの有効活用にギャラリーをやってみようということになり、
それだったらお茶をするスペースも!ということで今の形になった。
ただの雑多な事務所は素敵な場所へ。

3つの顔を持つお店。
もともと雑貨が好きだった姉の加藤睦美さんが雑貨や洋服などをセレクト。
妹の今野智子さんはコーヒー修行に出た。
妹の智子さんにお話しを伺った。

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ここはお茶だけでなくランチやカレー、パスタなどのご飯を楽しむこともできる。
おいしいものだけを出したい。グルメなお二人、素材にもこだわり
パスタは淡路島のものを使用している。

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というのも実はここでご両親が40数年食堂をやっていたのだ。
70歳近くになり両親は引退した。
その姿を見て育った二人。
“ちょっとカフェごはんって感じよりも定食に近いのかしらね”
と。ボリューム満点で、しっかりとした味はオシャレな空間と相まってほっと癒される。
今もお母さんも一緒にキッチンに立っている。
お母さんのこだわりがちゃんと引きがれた味は
若い人からご年配の方まで引き付ける。

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それまではそれぞれお堅いところで仕事をしてた。
“楽しいことを好きなことを仕事にしてみたいと思ったの
母は料理が好き。その仕事をしてる姿をずっと見てたから。
大好きなことを仕事にできることは幸せ、もちろんそれには努力も必要だけどね”

取材に行ったこの日はちょうど智子さんは雑貨の買い付けに出ていた。

“ここって決まりがないのでなんでも対応がきくのがいいところかな”

だからいろいろな人とつ繋がってお店ができていっている。
ギャラリーで個展が開かれかれたり、
その中で、お店に作品を置くようになったり
お客さんの提案で新しい企画が出来たりするそう。

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12月にオープンしたばかりのCafe&Gallery Fran。
未来はどうなるのか、誰もがその一つのつながりになれるような場所だった。

≪Cafe&Gallery Fran≫
沼津市高島町3-4 加藤ビル2F
TEL:055-941-7338
http://fran0511.jimdo.com/


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街から港へ自転車旅

東京などから16名のグループが沼津に来られ自然と街を満喫するツアーが行われた。
『日本のいいところを、山に教わる2日間』をコンセプトにし、アウトドア&ローカルカルチャーが体験できるloca-rise mountain experienceという、東京の自由大学で「東京・日帰り登山ライフ」を主宰する大内征さんの企画。

今回は伊豆の三山を縦走。
二日目に山を登り、その前に三島や沼津を楽しむ日程。
一日目、新幹線を降り三島のカフェ ククルクをベースに街や三嶋大社を散歩、そして沼津に移動し狩野川でカヤック体験、商店・沼津港自転車ツアーが行われた。

Lo.nで沼津の川や街の説明から始まった。
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今回の自転車ツアーは、上土商店街から沼津港まで約1時間半のコース。
道のりは、さんさん通りという県道159号沼津港線を一直線に南下。
沼津の街は平らな所が多いので自転車でとても走りやすい。
市がサービスを提供しているぬま輪を利用した。

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沼津に観光に来ると、沼津港しか行かない方が多いが実は街中が面白い。
距離的に徒歩や車より自転車が最適だ。

まずは陶器屋の‘いせう’へ。
明治3年に創業、魚町というエリアは狩野川沿いに問屋が多くあった。
陸路と船で交易する場であった。
このいせうも陶器の卸問屋として営みをしていた。
ご主人から街の歴史を聞きながら、器のお話を伺う。

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様々な陶器が並ぶ。
富士山柄も多いのでお土産にもおすすめだ。
普段使いのリーズナブルのものから希少価値のある陶器まで。

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次に2軒隣のTHE BULE WATERへ。
沼津のライフスタイルを提案するお店。
狩野川を見ながらお茶をするのもいい。

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自転車は、観光MAPには載っていないフツーの沼津を進む。
さんさん通りから、ちょっとそれて、かつて鉄道が走っていた蛇松(じゃまつ)線跡へ。
ここには県内初の官営鉄道で、沼津港と沼津駅をつなぎ、資材の運搬や水産物を運ぶ貨物専用線だった。

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そのソバにある浅宮商店
竹を産地から調達し植木屋などへ卸す会社だ。
竹の利用方法も教えてくれる。
沼津垣、竹の根っこを使った作品、釣竿などなどのお話を伺う。

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竹というモノは日本、アジアの人々にとって無くてはならないものだと改めて知る。

亀の甲羅の形をした竹が生えている場所もここにはあった。

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最後にご主人が、竹を切りながらレクチャー。
『浅宮カット』
独自の切り方のようだ。

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海のかおりがする狩野川沿いを進む。
沼津港の裏通りを走ると、産業や生活に触れてからこの港を見ると、単なる観光地という顔だけでなく、地域の食の台所的な機能を知り、この場所の面白味が増す。

小腹が減った時には
焼き牡蠣、焼きホタテ、揚げはんぺん、海産串などをつまむのもおすすめ。
干物屋も多いので、試食をしながら好みのメーカーを探しお取り寄せするのもありかもしれない。

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大型展望水門びゅうおにのぼり、富士山と駿河湾を見渡すのもおすすめだ。

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ぬま輪は3時間まで借りられる。
沼津の街と港の自転車旅は2時間半のコースが丁度いい。
時間があれば芹沢光治良記念館
で沼津に関わる文学を知ったり、千本浜で富士山に向かって自転車を走らせるのも爽快だ。

さらに今回のグループは、街中の商店街をまわり日本初のアーケード商店街でノスタルジックワールドを見たり、上土商店街の洋服屋、洋菓子屋、八百屋、おもちゃ屋などを楽しんだ。

Lot.nを起点とした沼津ツアー。
スタッフに相談すると、自然と街と食が楽しめる地元目線のおすすめコースを教えてくれる。

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≪ぬま輪≫
無料のレンタル自転車貸し出しサービス。
ホテルや施設などで貸し出しをしており約3時間使用ができる。
http://www.city.numazu.shizuoka.jp/kankou/asobu/cycle/index.htm

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つまみ食いから始まったオイルサバディン~かねはち~

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“サバ節の加工工程で他の食べ方ができるんじゃないかと思ったのがオイルサバディンの始まりです”

オイルサバディンを手掛けるかねはちの専務取締役、小松正人さんはその起源を説明してくれる。
サバ節を作る工程を知る社長のつまみ食いからオイルサバディンは始まった。
幼少の頃から工場で燻製して乾燥した出来たてのサバを食べてきた社長、沼津のサバを世に送り出したいという想いが食文化が変わっていく現在、新しいサバの食べ方として商品化したのであった。

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沼津港の水揚げのおおよそ8割を占めるサバ。
そして鮮魚として飲食店や家庭の食卓へと届けられる以外に加工品としてのサバ節がある。
日本一の生産量のサバ節であるが、消費が落ち込み生産量も減っている。
伝統的なサバ節のノウハウを活かし、燻製の途中でオリーブオイルに漬け込んだ。
伝統の技術を活かしながら新しい商品を生み出し、消費者に受け入れられることが小松さんは純粋に嬉しいという。

“かねはちはサバが一番の取扱量でサバのおかげでここまでやってきました。サバディンがここまで受け入れられるというのは本当にありがたいことです”

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前職は自動車関連の会社でプロジェクトマネージャーを務めていたという小松さん。
かねはちに入社したのは今から6~7年前。
それから毎朝のように魚市場に行き、自分の眼で魚を見極めている。
早起きには苦労したが、鮮度が重要となる仲買人の仕事に魅力を感じているという。

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もともと沼津港にあがる鮮魚の仲買を主な業務としているかねはち。
かねはちとしての最初の加工商品がオイルサバディンであった。
そんなオイルサバディンのおすすめの食べ方を小松さんに訊いた。

“個人的にはマヨネーズとあえてサンドイッチにしたり、おにぎりにしたり、シンプルな食べ方が好きですね。癖のあるお酒、辛口の日本酒にも合うのでバーに置いていただいたりもしています”

また、こだわりの物産を置いている都内のセレクトショップでも好評とのこと。
ただのサバ缶ではなく、オイルサーディンでもない。
沼津のサバ節から生まれたそのユニークな商品。
自宅用として、またお土産としても人気の商品だけに是非一度試していただきたい。

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≪有限会社かねはち≫
沼津市蛇松町18-4
TEL:055-952-0001
http://oilsabadines.com/