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沼津ソウルフード紀行~伊豆家~

どこの街にも、地元の人に長く愛されるお店がある。
そのお店には、時代を経ても変わらない看板のメニューがある。
子供の頃から親と通い、親になると子供と共に通い続ける。
その店の雰囲気、味はアイデンティティとして形成される。

沼津にも昔から続く自慢したくなるお店がありメニューがある。
そんな沼津のソウルフードを紹介していこうと思う。

今回は「伊豆家」。
沼津駅から歩いて15分、永代橋のすぐ脇にそのお店はある。
知らないと見つからないような場所。

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地元の人から支持されている天丼屋。
あの三國連太郎さんも通われていたようだ。

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暖簾をくぐると2組のおじさんたち。
女子一人で乗り込んだのでちょっと場違いだったかな?と思ってしまった。

威勢のよいおばちゃんが、
お茶の入った急須とカラの湯飲み、そして漬物を置いた。
ひとりには大きすぎる急須。柄もなんだか懐かしくかわいらしい。
きっと狙ってるわけではないのだろうけど。

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「後で注文とりにくるから」と笑顔で声をかけてくれたのでひとまずほっとする。

メニュー。
天丼しかない。

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エビ天、イカ天、魚天。
その組み合わせのよう。
エビが2~3匹乗っているという上天丼もある。

ここはオーソドックスに「天丼」にした。
エビ天、イカ天、魚天がひとつずつ。

周りを見るとみんな味噌汁を頼んでいるので
味噌汁100円も追加。

そうしているうちに、気づくと席は満席になっていた。
若い人からおいじいちゃんまであらゆる層の男女。
女一人の私がいても気にならない。

5分くらいして出てきた。

どんぶりの蓋からチラリと見える天丼に心躍る。
明けるとドーン!と、どんぶり一杯の天丼。
しっかりタレがかかっている。

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サクサクとした触感とタレのかかった部分の柔らかさが何とも言えない。
ぺろりと食べてしまえる天ぷらだ。
100円とはおもえない味噌汁。
付けて正解。

厨房の奥からは
おばちゃんたちの話声。中の良さが伺えてなんだかほっこりした。
お客さんとも、「今年もよろしくね~」なんて声を交わす。
HPもないし、自ら宣伝しているわけでもない伊豆家。

地元の人にライフスタイルの一部として組み込まれ、
沼津に来ると必ず寄るという県外の方にとっても、沼津の街の大切な一部となっている。

≪伊豆家≫
沼津市仲町20-2
TEL:055-962-2296


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古本のソムリエ~平松書店~

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【2014年の記事です。現在は記事のサービスを施設で提供しておりません】

昭和58年から店を構えておよそ30年、知る人ぞ知る沼津の古本屋、平松書店。
ご主人の平松久幸さんは古本屋を始めようと東京は神保町で6年間修行した。
古本屋で修業というと不思議と思われるかもしれないが、奥深い本の世界、広く知識を得るために修業は欠かせないと平松さんは言う。

“神保町は全国から本が集まるんです。仕入れのためにいろんなところに行きました”

日本中の本が集まる神保町で修業しなくては本を知ることはできないと平松さんは言う。
当時は休日も返上し、本を探したそうだ。そのすべてが経験となり現在の平松書店を作り上げている。

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一歩店内に入ると山積みにされた本に圧倒される。
どこに何があるのか探すのも苦労するが、そんなときは平松さんに聞けばいい。

“本のことは全部知らないといけないんです”

様々な分野の本があるなか、特に目を引くのは沼津や伊豆といった郷土史関連の本。
資料になるものはなんでも揃えているという。
井上靖や芹沢光治良など沼津ゆかりの作家の作品も多くある。
そのためか図書館や明治史料館からの注文もあるそうだ。
また、学校の先生やお寺の住職など勉強したいという人が自然と集まるようになったとのこと。
転勤などの理由で県外から来た人のためにも沼津がわかる本をそろえておかなくてはいけない、平松さんは使命のように語る。

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“地味な商売ですけど、地域社会のためにと思ってやっている部分もあるんですよ”

本が売れなくなっているという現在、欲しい本はネットでも探せるようになった。
それでも昔ながらのやり方で古本の販売を続ける平松さん。
どんな本が欲しいのか、何を知りたいのか相談してくれれば一緒に探してくれるという。
それはまるでソムリエのように。専門店だからできるサービスがそこにある。
調べていることがあればそれに合わせて仕入れをしてくれる。
欲しかった本、知りたかったコアな情報を平松さんと共に調べる。
たまにはそんなアナログな方法も面白いかもしれない。

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≪平松書店≫
沼津市大手町4-6-8
TEL:055-963-3963

街角で会話とコーヒーを~mota~

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新仲見世を通り過ぎてすぐ十字路の角に店を構えるmota。
店の外にはテーブルとイス、常連さん達が仲良くコーヒーや会話を楽しむその姿にどこか外国の街角のような佇まいを感じる。
店内に入るとオーガニック素材の洋服や静岡県東部や伊豆といった地域の作家の作品が目に飛び込む。意識的に地元の作家のものを置いているそうだ。

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motaの店主、加藤健一さんはこの商店街の出身。
7年前に店をオープンしたときから、友人や両親の知り合いまで自然と多くの人が集まった。
事実、この日も様々な人がお店を訪れていた。

“席も限られた小さいお店なので、お客さん同士が自然と仲良くなるんです”

自然発生的に人と人が繋がる。
それは加藤さんが当初から目指していたもの、この場所だからできることかもしれない。
加藤さんは高校卒業後、海外に行きたいとの想いでオーストラリアの牧場で働き始める。
その後、アメリカのサンフランシスコへと行くと日本料理店やスニーカー屋で働く。

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日本に戻りお店を開こうと思った時、決めたこと。

“まず自分が興味のあるものを扱おう”

motaを始める際に詰め込んだもの、それは中学生のころに好きだったスケーターの文化や本場サンフランシスコで直接触れた文化だった。
それが店の個性となり多くの人を引き寄せる下地になっている。
個人のお店がその街の文化レベルを知る材料となる。

“意地でもお店を続けないといけない(笑)”

沼津が好きで沼津の街の変化を見てきた加藤さん、人通りが減っていると言われる現在だからこそmotaの重要性は増す。
街角でコーヒーや会話を楽しむ光景。この光景がそのまま沼津の文化になる。

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若い人からお年寄りまで誰もが立ち寄れて仲良くなれる場所、沼津の街角に忽然と現れたメルティングポット。
メルティングポットとはさまざまな民族が集まり、文化的に溶け合っているアメリカの社会を形容して言う。
個性的なお店が集まることによって、いろいろな個性の人々が集まり、その多様性が魅力的な街になっていく。

自分が自分らしくいれる場所、それがmotaという店の本質だ。

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≪mota≫
沼津市町方町2
TEL:055-963-1123

お正月の街を楽しむ

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お正月の楽しみのひとつといえばショッピング。
その主役と言えばやはり福袋ということになるだろう。
何が入っているか分からないのも楽しみのうち。
新年の運試しとしても面白い。
そんな福袋を販売するお店を訪ねてみた。

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まず向かった先は上土商店街の洋服屋、C-three。
年明けは1月2日からの営業。
用意された福袋は3種類、どれも10,000円とのことだ。

次に向かったのは大手町のりぐる。
ちょうど福袋を作っているところをお邪魔した。
こちらはほにやのバックや衣類が詰まって、値段も10,000円から50,000円と選べるようになっている。
営業は1月3日から。

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駅前のイーラdeでは1月1日より各店舗で福袋があるそうだ。
http://www.e-ra-de.com/inedx_mainpic20140101/20140101mainpic.pdf

いずれにしても数量限定のため、早めの購入をお勧めする。
西武が無くなって初めてとなるお正月。
やはり沼津は商業の街、
福袋を探してお店めぐりをするのもいいだろう。

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≪C-three≫
沼津市上土町78
電話:055-952-6893

≪りぐる≫
沼津市大手町3-5-22 日専連ソニックビル1F
電話:055-962-0981
 

≪イーラde≫
静岡県沼津市大手町一丁目1番6号
http://www.e-ra-de.com/index.html

八百屋が街に帰ってきた!~きただ青果店~

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【2013年の記事です。現在は記事のサービスを施設で提供しておりません】

今から15年前、それまで続いた千本緑町での店を閉め、大手スーパーのテナントに入った。
この地で八百屋を始めたのは祖父の代、戦中だという。
この界隈には八百屋や魚屋などの個人の商店がいくつかあり、買い物客で賑わっていた時期もあったそうだ。

“夫婦でできる範囲でやりたいなと思っていたんです。あとは買い物がてら話をしに来るというお客様のためにもいいかと思いまして”

そう語るのは3代目の北田正直さん。

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今年11月、きただ青果店は一度閉めた店のシャッターを再び開けた。
15年振りに帰ってきた街の八百屋さんを多くの住民が歓迎した。
北田さんは専門学校卒業後、東京で八百屋の修業をしたとのこと。
商店街にあったそのお店は、駅から近く電車が着くたびに人が降りてくる。
その人々の呼び込みをしたりと昔ながらの八百屋だったそうだ。

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“いまでも昔の八百屋のやり方です。段ボールの裏に品名や値段を書いたりとか”

時代の流れと共に姿を消していく個人の商店。
その流れと逆行するかのような北田さんの決断、それを待っていたかのような住民。
そこにはどこか懐かしい店と人との繋がりがある。

“お客様に助けられています。お年寄りも若い人もみなさん懐かしがってくれます。15年前とお客様は変わらないです。お互い若干歳をとったぐらいですよ(笑)”

店内の通路は広めに作られている。
それはベビーカーが通れるように、そしてカートを引いたお年寄りもゆっくり買い物ができるようにと考えてのことだ。若い夫婦が営む店、その心配りが嬉しい。
また、買い物の際には一言添えてくれるのも嬉しいところだ。

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“スーパーの青果コーナーではなくて、八百屋なんです”

その一言に北田さんの八百屋としての誇りを感じる。
質問には全て答えられる、それが専門店の強みだと北田さんは言う。
街には24時間営業の大型店ができ、商店街がなくなっていく現在、実に羨ましく魅力的な話だ。
そこには利便性や合理性では割り切れない、顔の見えるコミュニケーションが存在する。
何よりも若い店主を見守っていこうという地域の心意気のようなものがあるのではないだろうか。

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≪きただ青果店≫
沼津市千本緑町3-1
TEL:055-962-1929

地域が作家を育てていかないと~千松庵・千松窯~

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“陶芸に限らず若い作家はいっぱいいる。そういった作家を地域が育てていかないと”

満面の笑みでそう語るのは千本緑町に工房を構える陶芸家、内村実さん。
嫌味を感じさせない快活な言動、その豊かな人間味に魅了される人も決して少なくはない。
そんな内村さんに助言を求める地域の若手作家も多数いる。

若い作家から内村さん自身も常に新しい刺激を受け、作品へのインスピレーションとする。

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陶芸を始めて23年、その前はグリーンサウナという男性専用のサウナのオーナーであった。
当時はサウナ自体珍しく駐車場に車が止まりきれないほどの盛況ぶりだったそうだ。
そのころから大好きだったお茶か陶芸の道で生きていこうと考え、下香貫にある杉山昇さんの陶芸教室に通い基礎を学ぶ。

“本気で陶芸をやったら終わりがないから大変だよ”

粘土から釉薬、陶芸に使うための道具まで全て自作。

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試行錯誤を繰り返し、ようやく自分らしい陶器を作れるようになったという。
それでも同じものはできないというから陶芸は奥が深い。

“陶器は脇役だからね。花瓶だって花を目立たせるためにある。陶器は目立っちゃいけないんだよ”

奥深い陶芸の世界をわかりやすく伝えるため、陶芸教室も開いている。
千松庵陶芸教室と名付けられた教室には20~30人の生徒さんが通う。
なかには10年間通っている方もいるそうだ。

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生徒集めに苦労したかと思えば、教室を始めてすぐに口コミで人が集まったという。
これもまた内村さんの人柄であろうか。

100円で食器が買える現在、それでも本物の陶器を求める人々がいる。
茶碗や湯呑みなど毎日使うものは使えば使うほど愛着がわく。
持ったときの手触り、口をつけたときの口当たり、作家の個性は細部に表れる。

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そんな内村さんの個展が魚町のひねもすcafeで現在行われている。
意外なことに沼津市内では初となる個展。約170点の作品が展示されている。
この機会に是非手に取って触れていただきたい。
陶器の持つ温かみ、ふたつとない個性を感じることができるだろう。

≪千松庵・千松窯≫
沼津市千本緑町3-15-11
TEL:055-962-4526
http://www2.tokai.or.jp/green/kyousitu.html

≪ひねもすカフェ 内村実 うつわ展≫
12月29日まで開催
沼津市魚町20番地
055-951-7812
http://www.geocities.jp/hinemoscafe/

居酒屋から街を元気に~あした葉~

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“この店から沼津の街を元気にしていきたい”

アーケード名店街と沼津駅北口に店を構える鉄板焼あした葉。
沼津ブランドにも認定されているキャベⅡなどアイデア満載のメニューと店員さんの元気な姿が印象的なお店だ。インタヴューに答えていただいたのは代表取締役の望月大樹さん。

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もともとは人情屋台という屋台村だったものを13年前、望月さんが現在のアーケード名店街の場所に移転、あした葉としてオープンさせた。アットホームな雰囲気にファンは多く、いつも賑わいが絶えないお店である。

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また、望月さんは近隣の飲食店と飲み歩きのイベントを行ったり、数軒の居酒屋さんと復興のチャリティーイベントを行い街に賑わいをつくる中心的な役割をしている。
望月さんのまわりには、気持ちがよく元気な人が集まる。

“やっぱり自分たちが楽しまないとね。元気と笑顔を与えることでお客様にそして地域の人たちに喜んでもらえたらいいです”

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望月さんは飲食業の前には大手工場で働いていたそうだ。
製造業とは違い多くの人と接することのできる飲食業に魅力を感じているという。

“やっぱりお客様と直に接することで自分をどうアピールするか、覚えてもらうかによってまた会いに来てくれる方もいますからね”

飲食業の魅力を知るためのすべてがここには詰まっている。
オープンキッチンならではの見られているという意識が見せているという意識に変わる。
その意識の変化が自信になりその人の表情を変える。

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働き始めればみんないい顔をするようになる、望月さんは嬉しそうにそう語る。

“うちで働くとかっこよくなったねとか可愛くなったねって言われますよ。自己の成長なくしては成功はあり得ない”

その成長のための環境を作る望月さん。
経営者と従業員の出会いは、いわば縁である。
従業員とすればどれだけいい経営者に出会えるか、それにより全ては決まるといってもいい。

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現在、あした葉はスタッフを募集している。

“今ある現実に対して退屈だなとか何かやりたいなと思っている人に応募してもらえたらうれしいな。
厳しさの中で共に成長できる人材が望ましい
そして一緒に街を作って行こう、10年後の沼津を作るのは自分たちだ”

望月さんは自信を持って答えてくれた。
お客さんにとって魅力的なお店が集まればそこは賑わいのある街に。

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≪元祖あした葉≫
沼津市町方町94
TEL:055-962-7784

≪鉄板あした葉≫
沼津市高島町21-1
TEL:055-922-7784

勤務時間:17:00~25:00(時間内で応相談)、週2日からOK!
時給:850円~(高校生800円)

生まれ変わる自転車 ~Re:Cycleing~

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毎月第2火曜日、市内の自転車販売店が香貫山の麓に集まる。
目的は放置自転車のリサイクル。
沼津市では保管期間が過ぎても引き取りに来ない自転車のうち、再生可能な自転車をリサイクル自転車として再生する事業を今年4月から始めた。
この日もあいにくの天候のなか、自転車販売店の皆さんが集まった。

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全員が集まるとくじ引きにより順番が決められ、その順番通りに各々選んだ自転車を持っていく。
持っていく台数に制限はないが、そこは自転車のプロ、再生できるものとそうでないものが瞬時に振り分けられる。こうして引き取られた自転車はそれぞれの店舗で再整備、防犯登録をし、TSマークを付け販売される。

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放置自転車の行方が気になったので販売店のひとつ、サイクルショップマスダを後日訪問してみた。
サイクルショップマスダは三枚橋町に店を構える老舗自転車店。
その始まりは戦前という。

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放置自転車は3代目である増田克彦さんの手にかかりキレイに店頭に並んでいるではないか。
その新車に見劣ることもない出来栄え!さすがプロの仕事である。

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“お店によっては色を塗ったりもせずに販売したりしますが、うちはほとんど整備してきれいにしてから販売するんです”

悪いところは全て直さないと気が済まないという増田さん。
鍵やかごは完全に新しいものに取り換える。ネジ一個も気になると交換するというこだわり。
一台あたり一日かけての作業になるそうだ。
こうして放置自転車として眠っていた自転車に新しい命を吹き込む。

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“整備に時間をかけているせいか、うちの場合リサイクル自転車はよく売れますね”

新車の値段が上がる現在、10,000円で買えるリサイクル自転車を買い求めるお客さんも多いという。
各販売店によって整備の具合から価格まで違うとのこと、自分の求めるものを探し各店舗を回ってみるのも面白いかもしれない。

リサイクル自転車の取り扱い販売店の一覧は沼津市のホームページで確認できる。
詳細はコチラ

放置自転車、中古と敬遠せず一度自転車屋さんで実物を見てみることをおすすめする。

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≪サイクルショップ マスダ≫
沼津市三枚橋町6-7
TEL:055-962-1526

ロードバイクが好きだから~プロショップナカムラ~

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沼津でロードバイクの販売、修理を手掛けるプロショップ・ナカムラはロードバイク好きの集まる店として知る人ぞ知る店である。
ご主人の中村健さんは東京出身。奥様の出身である沼津に店を構えたのは33年前。
当時はロードバイクを趣味で乗るということはほとんどなく、あくまで競技用のものだった。
ロードバイクの専門店というと都内でも4~5軒くらいしかなかった。
そんな専門店を沼津でオープンさせるといったときに周りからの反対も多くあったそうだ。

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“東京で自転車とは関係ない実家の仕事をしていたんですけど、子供のころから自転車が好きだったんで沼津に来て自転車屋をやろうと思ったんです”

小学校のころから自転車をいじることが大好きだったという中村さん。
学校から帰ってくると意味もなく自転車を分解しては組み立てたりしていたそうだ。
お店をオープンする頃には一通りのことは自分でできるようになっていたと中村さんは言う。

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“昔はお店が少なかったから全部自分でメンテナンスができなくてはいけなかったんですよ”

自転車の流行を長年見続けてきた中村さん、今は健康のために自転車に乗る人が増えたそうだ。
それまでの競技目的から現在の健康志向へ、ロードバイク人口もここ数年で飛躍的に増えた。
初心者がロードバイクを購入するとき、何を買っていいのか迷ったときにはその使用目的に応じて一緒に選んでくれる。専門店ならではの安心感、中村さんの自転車に対する確かな技術が可能にするアフターサービス。

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ロードバイクはメンテナンスが大事、だから近くの専門店で買ったほうがいい。
そうやってナカムラには多くのロードバイク好きが集まるようになった。
沼津は平坦な道が多く自転車も走りやすい。駿河湾の海岸線や富士山など走るロケーションも抜群だ。

“沼津に来て知り合いもいなかったけど、ロードバイクが縁になっていろんな人と知り合うことができました”

好きなことを仕事にし、それを信じて商売をやってきた。
ここにはロードバイクが好きという共通の意識で繋がる幸せな人間関係がある。

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≪プロショップ ナカムラ≫
沼津市双葉町5-19
TEL:055-925-1722
http://web.thn.jp/ProShopNAKAMURA/

空間を変える~hal/後藤由紀子さん~

沼津駅から歩いて5分、路地裏に全国から注目されるhalという雑貨店がひっそりと佇む。
「お母さん、旅はじめました」「ほどほど収納が心地いい」などの書籍も書かれる店主の後藤由紀子さんのお店だ。
2人の子どもを育てるのに無理をしない15時までの営業。
店内は後藤さんのセンスで集められた雑貨でなんとも心地のいい空間、そしてそのモノの物語を聞くのもとても心地がいい。

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後藤さんはオープンをした12年前を振りかえる。

飲食から雑貨屋をやろうと決断するまで1日。
朝送り出すときは「私、子供が中学生になったら飲食店をやりたいの」と言っていた妻が
「雑貨屋をやることにしたから」という具合にそれは突然だった。

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その決断は、その中心にはいつも家族がいる。

子供が風邪を引いたとき、
子供のそばにいたいけど飲食店でそれをやってしまったら食材が腐ってしまう。
大好きな食。それに付随して食器も好きだった。
そうか食器なら腐らない!じゃあ雑貨屋をやろう。
そう思いついた時に不動産屋に電話をして6つの物件のファックスをもらっていた。

商店街から少し外れたところにあるhal。
入口はアルミサッシ、で外観も何の変哲もない。
むしろ雑貨屋さんだということが不自然なくらいのシンプルさ。

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入口にある椅子の上の「hal」という文字がやさしく店内へ誘い込む。

中に入るとその外観からは想像がつかないくらい所狭しと並んだ雑貨達によってわくわくする空間がある。
食器、洋服、鞄、長靴、お茶、本。。。
おいてあるものはほとんどお友達の作品など“縁”あるもの。

たくさんの本があるのも印象的だ。

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“本もね、知り合いが書いた本なの。この人はハワイが好きすぎるの。でこの人は鹿児島ばっかり行く人。あ、この人は台湾が好き。
 この焼き物もお友達がプロダクトデザインをやっていて・・・「縁」でつながっているものばかりなの。私は深く狭くっていうタイプだから”

そう一品一品大切そうに解説をしてくれる後藤由紀子さん。

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あったかくゆるやかな空気。
やさしく包み込む由紀子さんの空気感に思わずおしゃべりをしてみたくなる。

もともと店舗ではなく事務所だった場所。
お店にするにはちょっと味気ないかなとおもう壁や床。

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なんでこの場所にしたのですか?という問いにきっぱりと
“大家さんがいい人だったから”

お金もなかったらからまったくリノベーションはしていないという。
電気を外したりはしたが基本はそのまま。

“床もはがして打ちっぱなしにしようと思ったけどめんどくさいからやめちゃった”
おちゃめにそう答える。
手の込んだリノベーションをすることなく、できる範囲と持ち前のセンス、そして由紀子さんの雰囲気で居心地の良い空間を生み出している。

なによりも“縁”で選んだ物件。
大家さんとも仲良しだそう。

大切にしている“縁”
雑貨も物件も人も。

“hal”は、私たちが持つ日常にあふれる“縁”を見つけ大切にすると
何の変哲もないことも特別なものに変わることを教えてくれる。

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hal
沼津市添地町124
TEL:055-963-2556