ぶれないお茶~山二園 日本一の受賞茶を楽しむ会~

“ 日本一の受賞茶を楽しむ会”が御用邸記念公園にある東付属邸で行われた。
この会は京都で行われた第67回全国茶品評会で農林水産大臣賞を受賞した山二園の後藤裕揮さんのお茶を
煎茶道 黄檗弘風流 増田弘香先生の御手前のもと味わうことができる会だ。

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今回のこの名誉ある会に参加をした。
煎茶席、茶葉をいただく食茶、山二園レクチャーと3つの楽しみがあった。

まずは煎茶を頂く。
アテンドしてもらいながら順番に部屋に入りコの字に座る。

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御用邸の凛とした空気感が、お茶と向き合う時間をより期待させる。

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まずは香り。上品に香るすがすがしい青葉の香。
そして一口。
ふわっとしたお茶のうまみが口の中に広がる。
それは、出汁のよう。
まわりからは思わず“すごい”という声やため息が漏れる。

今回はたっぷりと堪能してくださいと、
2煎いただいたのでお茶を飲み干した。
そして5つお隣のかたと器を並べ2煎目を待つ間に
和菓子をいただく。
お茶の花をモチーフにした清光堂の上生菓子は上品な甘さが広がりお茶をさらにおいしくさせる。

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最後に二煎目をいただいた。
また一煎目とは違う味わいがあった。

次に、山二園レクチャー。
レクチャーでは今回受賞した息子の後藤裕揮さん、父の義博さん、そして東京から来られた地域食ブランドアドバイザー山本洋子さんにがお話しをしてくださった。

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今回の受賞は、普通煎茶4キロ部門。
この4キロ部門は手摘みのお茶のみエントリーできる。
もっとも優れた賞なのだ。
普通、お茶畑といえば山に段々畑になっているのを見る。
つまりお茶に適している場所は山で標高600m~250m。
だとしたら標高が低い沼津で日本一のお茶ができるというのは理論上不可能だ。
“環境がいいところに引っ越すのではなくて、自分の置かれた環境を最大限に生かす”

そこで、父の義博さんが試行錯誤をしながら、ハウスを有効利用した栽培方法を生み出した。
それにより環境に左右されない“いつでもおいしいお茶”を作ることを可能にした。

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そこまでして環境に左右されないお茶をつくるには訳があった。
“自分で育てて、自分で売るようになってお客さんの声を直接聞くようになった。
 そうすると今年のお茶はおいしい、とか今年は天候が悪いからよくなかったなどと
 天候によって不安定になことが不安になっていった。
 だからこそ毎年おいしいお茶をつくりたいと思った”
と義博さん。

“ぶれないお茶”をつくることは前代未聞。
その方法や、品評会での評価の仕方、茶畑を育ててきた想い、そして父の背中を見て育った裕揮さんの頼もしい姿を見ることができ、より煎茶のうまみを感じることができた。

そして、上級煎茶だからこそ食べられるお茶を入れた後の茶葉をいただいた。

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歯ごたえも香りもしっかり残っており、お茶が野菜のように食べられた。
それは自然仕立てだからこそ。

東付属邸という由緒ある場所に差し込む柔らかな日差し、
そしておいしいお茶。
普段なかなか味わうことのない心地よい緊張感とともに
素敵な時間を過ごすことができた。

普通、品評会用は別に栽培されることが多いそうだが
山二園のお茶は品評会に出したお茶と同じようにに育てたお茶だそう。

“品評会に出すことが目的ではありません。おいしいお茶をみなさんに飲んでもらうめに作っています。
 品評会はおいしいお茶を飲んでもらうための様々な挑戦であり試験です”

生産して、加工して、売るところまでやることで
最高のおいしいお茶を提供することができる。

山二園のお茶は山二園の店頭でしか買うことができない。
わざわざ足を運んで買うこと。
そこには作り手がいる。
おいしさを分かち合う瞬間がある。

最高のお茶は作る人と飲む人がちゃんと見えるのだ。

12月4日(水)ロットンで
義博さんとコーヒー豆の国際審査員を務めるセントベリーコーヒーの富川義之さんの特別トークショーが行われる。
その名も、コーヒーとお茶の会~極上の1杯を求めて~
なんと今回はこの第67回全国茶品評会で農林水産大臣賞したお茶をいただくことができる。

開催日:12/4(火) 19:30~21:00
※19:15より受付開始
場所:ロットン コミュニティースペース(沼津市上土町60)
参加費:2000円(コーヒー・お茶の試飲、お菓子付き)

お申し込みはお電話、店頭、またはホームページで→http://lotn.jp/events/lotntalkshow/

≪山二園≫
沼津市中沢田349-1
TEL: 055-922-2700

和音を奏でる花~アコルト~

大岡にある小さなお花屋さん“Akkord(アコルト)”
小さな白い壁にかわいらしい窓。
どこか海外を思わせるようなたたずまい。
中に入ってみるとさらにかわいらしい空間が。
小さい中に詰め込まれた
騒々しい現実から離れて、ふと絵本の中に入ってみたような“世界”

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実は築50年。
もとはスナックだったそう。
古くて貸出をしてなかった物件だったが独立するならココ!と決めていたそう。
大家さんに直談判をし、ちょっとリメイクをし
素敵なお店が出来上がった。
まるで音色を奏でるようにアコルト色に染まっていく。

それはお店の名前にも現れている。
Akkordとはドイツ語で『和音』という意味。
植物や人が出会い、奏でる和音。
ライブ感あふれる瞬間がアコルトにはある。

オーナーの土屋聡美さんは
高校時代に偶然出会った本がきっかけで花の世界を目指すことに。
それから周囲の反対を押し切って“花一本”となる。
高校卒業後、地元のフラワーショップで経験を積み
2005年ドイツに渡る。

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近所のおばさんが花瓶を持ってきて“今日お客さんが来るからこれに活けて”だったり
なじみのおじさんが連日のように花を買いに来たりと
ドイツでみる花との生活はとても親しく、日本育った土屋さんにとって新しかった。
そんなドイツだからこその授業を多く受講した。
その時、1日中森を歩く授業や
アーティストのための森の授業。

日本では“材料”としか見れなくなっていた花に
“命”を見ることできた。
そんな植物との生活の中で自分の店を持つとう夢ができた。

”生花は枯れてしまう。
だが枯れるからこその良さもある”

たった1本でもいい。
たった1本のお花でも楽しみ方は充分にある。

そんなお花を生活に取り入れる方法を聞いた。

初めはその長さで、
その後は少しずつ茎を切っていき、
花瓶にしたり、コップにしたり。。。
楽しみ方は幾通りもある。と。

使う花、使う花器、花の数、、、
その時その時で奏でる和音で変わっていく。
だからお花はこころを豊かにして、癒してくれるのだろう。

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ドイツで学んだだけあって、クリスマスには人一倍の思いがある。
クリスマスまでの時間を楽しむことも大切にする。
そんなアコルトで開催されるのがクリスマス市。

12月1日(日)2日(月)の二日間。
アコルトはクリスマス一色になる。

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《アコルト》
沼津市山王台9-12
TEL:055-960-9577
http://akkord.jimdo.com/florist/

アコルト~クリスマスを彩るアレンジの会~
・参加費:1000円 +材料費3000円~(容器をお持ちの場合はお花代のみ)
・日時:12月8日(日) 1回目:10:30~ 2回目:15:00~
    12月10日(火) 1回目:10:30~ 2回目:19:00~ (所要時間:約1時間)
・申し込み締め切り:各日2日前の18時まで
※材料手配の関係上、必ずお申込みをお願いいたします!!!
・定員:各回10名

詳しくはこちら★
8日の申し込み→http://lotn.jp/events/akkord/
10日の申し込み→http://lotn.jp/events/akkord2/

日本のいいところを、山に教わる2日間

11月9日10日、東京からやってきたグループに2日間Lot.nを利用して頂いた。
『日本のいいところを、山に教わる2日間』をコンセプトに、
東京のloca-rise productionが考えるアウトドア&ローカルの体験企画、
loca-rise mountain experience”が今回沼津で行われた。

山遊び・山学びを通じた地域理解の機会として、
今回選んだ舞台は「沼津アルプス 香貫山~横山~徳倉山」
テーマは「沼津まちなかアウトドア(カヤック&登山)とお祭り」。

「ロットン」を現地のベースとし、
山あり・川あり・祭ありの企画を実行。

日程は、
10時にに沼津駅集合。
まずはロットンへ。
ロットンのコミュニティースペースで、主催者からこの旅の説明や、Lot.nスタッフによる沼津アルプス、狩野川、そして沼津のおすすめスポットを紹介をした。

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レクチャーの後、狩野川カヤックを体験。
パドルの使い方を習い、乗り方、漕ぎ方のレクチャ。

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そのあとは交代で体験をした。
一人30分。初心者の方も2人乗りを経験者と一緒に利用するなど楽しめたよう。

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この日上土商店街の道でよさこい東海道が行われていたので少し見学。
商店街がきらびやかな衣装に包まれたよさこいダンサーたちで埋め尽くされる、年に一度の光景を見る。

13時半頃、バスを使って沼津御用邸記念公園へ移動。整理券を取って後払いのバスも東京では珍しい。
270円。約15分で御用邸前の停留所で降りる。
御用邸につくと、松籟の宴の中のひとつのイベント“松間の饗宴”にてランチ。
※松間の饗宴についてはこちら→9日10日

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愛鷹山麓の野菜と石塚豚のソーセージ、トロール漁のパスタ、料理人や生産者とも話しながら沼津近郊の食を堪能する。

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カヤックあとの腹ペコのおなかに沼津の幸が嬉しい。
そして、お待ちかねのベアードビール。
外で飲むベアードビールは一段とおいしい。

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御用邸でのランチというなかなかない機会と運動した後のおいしいランチとなった。
食事後、海辺を散歩し、午後の駿河湾の穏やかな波と風を感じた。

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この日は宿へ向かい次の日の登山にそなえ、ゆっくりと。
2日目はメインの沼津アルプス登山。

バスで沼津市役所下車。
徒歩で香貫山へ。

9時半から登山開始。
登山開始。香貫山、横山、徳倉山へ。

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山道で見ることができる看板も撮影ポイントの一つ。
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あいにくのお天気で厳しい登山となった。
山登り初心者には少し大変だったよう。
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だが全員無事3つの山を3時間で登り切った。
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13時半頃、ロットンへもどり、お昼休憩やお土産を見たりとしばしの休憩。
今回は雨が降っていたので、山頂での昼食をロットンで。

そして最後、また感想を発表。

東京から少し足をのばすとそこには豊かな自然、食べ物がある。
山でも海でも遊べる沼津。

1日でももちろん楽しめるし、1泊すればもっと面白い。
おいしいものを食べたくなったり
面白いことをしてみたくなったら沼津がおすすめだ。
伊豆や富士山麓の情報も入手できる。
その際はロットンで情報を集めるのも手だ。

観光案内+α。

アウトドア目線で集められた情報、
沼津ジャーナルで集めた街の情報などロットン独自案内をする。
ツアーの相談についても受け付けている。

今回ご利用して頂いたグループはこちら!
ローカライズ プロダクション
『アウトドアとローカル』をメインに、イベントやワークショップ等の企画を主催。
日本中の自然を楽しむことが得意なローカライズプロダクション。
今回2回目の沼津アルプス登山となり、今回でアルプスをコンプリートしたそう!
今後も楽しい企画が目白押しとなっているので要チェックだ。

沼津から世界へ発信し続ける理由

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獅子浜にあるタムタムギャラリーは目の前に海が広がる絶好のロケーションだ。
ここは2009年に沼津市出身のアーティスト、田村映二さんが開いたギャラリー。
お茶や食事をいただきながら田村さんの作品を鑑賞することができる。

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“ここにギャラリーを作りたいっていうのが夢だったんです。自分が求めていれば夢はかなうのかなと思います”

31年前にそれまで勤めていた東京のグラフィックデザイン会社を辞めフリーとなる。
現在のような立体の作品を作り始めたきっかけはブリキのおもちゃ博物館などの館長を務める北原照久さんにある。北原さんと親交があった田村さんは北原さんの持っているおもちゃが欲しくなり、だったら自分で作ってしまおうと考えたのが理由だ。
1988年、日本テレビ「美の世界・アートナウ・田村映二の世界」に出演したことにより一躍人気アーティストとなる。国土交通省のポスター、百貨店のポスター、愛知万博招致のポスターなど多くの場所で田村さんの作品を目にすることに。オファーが殺到し、仕事しているか寝ているかという状態がしばらく続いたという。
そんななか、もっと人間らしく生活したいと考えたときに故郷である沼津にアトリエを開いて生活したいと考えるようになる。

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“東京のオシャレなお店とかも好きなんですけど、釣りやバーベキューとか趣味がアウトドアなので沼津のほうがあってるんですよ”
創作の原点は子供の頃の記憶。子供の頃に感じた風や空気の匂い、五感に訴えてくるもがベースになっている。沼津から発信したいという想いが沼津での制作に繋がる。
作品を発表することによって沼津に目が向くように、そんな役割を担えたらいいと田村さんは言う。
今年、台湾でタムタムミュージアムがオープンした。
世界でもそんな作品は注目される。

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駿河湾や狩野川、そして富士山という沼津の環境は世界を旅した田村さんからみても誇れるものだそうだ。
だから、地元の自然をもっと楽しんでほしい。おにぎりを持って海に行ったり、そんな光景が当たり前であってほしい。そういう楽しむ心をみんなが持つことで魅力的な街ができる。
タムタムギャラリーからも様々な海から見る景色が広がる。

雲間の陽光が海を照らす。

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海に太陽が沈む時、その世界は一面に紅くなる。

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海に暗闇がやってくると、対岸の沼津の街が輝きだす。

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それはそのまま田村さんの作品の世界である。どこか暖かく魅力的な場所。

2013年の冬、そんな田村さんの世界観を伝える作品が海沿いのタムタムギャラリーから、沼津の街に移された。

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お店に搬入していると通りがかりの方が足を止める。
作品のストーリーを丁寧に伝える田村さん。

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あげつち商店街にイルミネーションの期間中、タムタムドリームストリートが登場した。
商店街に田村さんの創造の世界が街に溶け込んだ。

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≪タムタムギャラリー≫
沼津市獅子浜22-28
電話:055-933-2030
土日のみ営業
http://www.tam-tamgallery.com/

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おだしのある生活~おだし香紡~

おだし。
日本が誇るべきうまみの文化。
でも地味で目立たない存在で、料理の過程で一番最初に省かれることが多い。
毎日の食事の準備でどこを削るのか。
時間もお金もかかるお出汁。

でもおだしのある生活はより豊かな食生活を与えてくれる。
削るなんてもったいない。
そう思えたのは実際にお出汁をとってみたから。

三島にある“おだし香紡”で手に入れた“だし煎”

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おだしをとったことがなかったので一番使いやすい粉末になったカツオだしが入ったパックを選んだ。
沸騰させたお湯にパックを入れる。
そこからじゅわ~っとお湯が金色になっていく。
そしてキッチンにはやさしいカツオの香り。

火を弱め煮出した後、パックをとりだした。
一口。やさしい味が広がった。
印象は思ったよりもしっかりと味があるということ。
そのおだしを使って味噌汁を作った。
いつもより少なめの味噌でもしっかりと味があり、深みが増した。

おだしを実際にとってみること。
広がる香はとても贅沢な時間だった。
そしていつもよりも大切に感じるお味噌汁。

なんだか日常を特別に感じた。

“おだしにスポットライトを当てる”
そう語るのはおだし香紡の沼田さん。
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使うおだしから贈るおだしへ。

盛り付けられた料理におだしの姿は見えない。
だけど縁の下の力持ち。
素材がぐっと引き締まりおいしくなる。

だからこそ、この日本の良き文化を伝えたいと
店舗を構えることにした。

もともと約80年続く老舗。
カツオなど海産乾物を旅館や日本料理店などに卸している。

沼田さんは全国から煮干しや焼き干しなどを集め
実際に試食。
こだわりぬいたセレクト。
若い人にも使いやすいようにパックタイプ(今回私が使用したもの)も作った。

”贈るおだし”からわかるように
パッケージもおしゃれで
大きさも小さめのものが多く選びやすい。

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ちょっともらったらうれしい。
おいしいから人に贈りたい。

めんどくさく思えることも。
敷居が高く思えることも、
それ以上の楽しみがあることを教えてくれる。

~ちょっといいかもおだしレシピ~
☆普段ブイヨンやコンソメをつかっているものをおだしにかえるとやさしい味に大変身!
・かぼちゃのスープ
・クリームシチュー(ビーフシチューは赤ワインなどを使うことがあるのでおすすめできないそう)
・カレー

☆水を使っていたところをおだしに変えてみる!
・餃子を焼くとき
・目玉焼きを焼くとき
ふんわりとしたやさしい味になる!1さじでもあなどれない。

~おだし香紡セミナー~
おだしを知り尽くした沼田さんによるセミナー。
日本人のDNAを呼び起こして、おだしライフをより豊かに。

「第10回お米日本一コンテストinしずおか」同時開催
本物はおいしい!基本のおだしとごはんセミナー
日時:11月28日(木)10:30~12:00(おだしセミナー)
場所:プラザヴェルテ(キラメッセぬまづ)
内容:出汁とりの講義、実演、試飲(カツオ、昆布、煮干しなど)
詳しくはこちら→http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-350/odashi-gohan.html

≪伊豆沼田 おだし香紡≫
〒411-0000 静岡県三島市西旭ケ丘 4041-2
TEL:055-981-7762
http://odashi-koubou.com/

もうひとつの台所~daidocoro~

仲見世商店街の脇道に表れるおしゃれな空間がある。
外を眺めるとおじいちゃん、おばあちゃんが井戸端会議。
なんだかほっとする景色がそこにあり、このおしゃれな空間と相まって心地が良い。

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横幅は2メートル弱。
コンクリートがむき出しとなった壁にスタッフのあるあったかみのある黒板に書かれたメニュー。

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“たまたま美大を出たスタッフがいるんです。ぱぱ~っと書いてくれて。
僕も書いたですけど、全部却下になったんっす”
おちゃめに答えるオーナーの山田時範さん。

女性客が多いdaidocoero。
彩の野菜たちがきれいなバーニャカウダや
実家の蜂蜜を使ったピザ。
そしてパスタ屋で修業を重ねた自慢のパスタ。

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→この日の日替わりランチのパスタ“自家製スモークのプッタネスカ”この他ランチには前菜とドリンクがつく。980円~

どれもこれも彩鮮やか。
伊豆の名産“潮かつお”を使用したクリームパスタや
沼津のサバを使用して作ったアンチョビなど地のものを工夫して使用している。

このお店を始めて3年目になる。
デザイン事務所ケンブリッジの森さんによる設計なのだ。
daiocoroという空間がオーナーとデザイナーさんによって生まれた。

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実は将来の夢はバイク屋さん。
バイク屋にカウンターをつくって珈琲や軽食をだして、バイカーの集う店にしたかった。

そんな山田さんがなぜ?

高校を卒業してから
自衛隊で働いているときに、上司に料理の道へすすめと自衛隊を辞めた後のために調理の専門学をすすめられ調理師となる。
だがあきらめられなかったバイクの道に。
そこで命を預かるバイク屋の現実を知り夢破れた。
”あきらめがあったんです”
素直にこう答える山田さん。
最終的に料理の道に入ることになったのだ。
だが、命の重みを知ったからこそ
縁や食材を大切にしその想いをdaidocoroに詰め込んだ。
それは、店の前に置いた燻製の機械で地元の豚肉を燻製したり
地元ものもをふんだんに使うところにも出ている。

大事にしていた縁のひとつが空間にも表れる。
10代のころから自分を知っているケンブリッジ森のデザイナーの藤原さんに相談。
(余談だが藤原さんのお父さんのやっていた飲食店で友達がバイトしており
一緒にまかないをもらうようになったりと藤原家と縁があったそう)

厨房のレイアウトだけは山田さんが考え
後は店舗全体のレイアウト、家具も食器もメニューもなんとお店の名前もすべて藤原さんが担当。

“daidocoroという名前も最初はえーと思ったんだけど
藤原さんがぱぱぱとノートにロゴを書いたんっす。
もうかっこいいんすよ”

その藤原さんの作り出す洗練された空間と山田さんのおいしい料理は若い女性に特に人気となった。

お店にはもう一つの大切な縁。
実家の養蜂所のはちみつを味わえること。
メニューのいつくかにはその蜂蜜が使われている。

”親孝行も兼ねてつかってたんすけど、今は蜂蜜自体も売れて料理で使う分だけとりよせています”
苦労を掛けたご両親への愛情は
ひとつひとつ丁寧に作られる料理にも表れている。

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女子会でもデートでも一人でも。
自分の家ともう一つの“台所”。
縁を大切にするこの地域ならではの“食”が存分味わえる。

≪daidocoro≫
沼津市大手町5-7-21
TEL:055-963-6500
http://www.daidocoro.net/index.html

30年間 水辺での挑戦~カヤックタパ自然学校/上野裕晃さん~

狩野川の魅力を発信し続けるカヤックタパ自然学校のタパさんこと上野裕晃さん。
牛臥海岸近くの事務所を拠点にカヌーインストラクターとして狩野川や駿河湾をより身近に感じられるよう活動を続けている。

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タパさんがカヌーに出会ったのは30年前、26歳のとき。ディンギーと呼ばれる小型ボートこそやっていたがカヌーに触れたのはこの時が初めて。
それまでは住宅用のサッシを販売していたが、会社員と並行してカヌーのショップを始めた。

42歳のとき、会社員を辞めカヌーだけで食べていくことを決意。
決意を込めメキシコへ旅に出た。このとき、鍋のふたの意味を持つ“タパ”をフィールドネームとした。

“鍋のふた”をあけるとそこには美味しいものがある。
スペイン語のふたを象徴とし、自分の使命として名付けたのだ。
川という場所でカヌーに出会うと素晴らしい自然に出会える、そんな機会をつくる存在になる。

だから、上野さんことタパさんははじめてカヌーをする方にやさしく自然の事を教えてくれる。

最初は不安だらけだった。
沼津リバーサイドホテルの目の前で、狩野川を使いカヌー体験を始めるようになった。
それでも、最初は年間20名しかお客さんはいなかった。

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いろいろな場所で水の可能性を確かめた。情報がまったくない。
静岡東部の様々な川や海で、ひとつひとつ体を動かし可能性を確かめていった。
開拓の日々。

タパさんの想いとは反して、川に浮くカヌーを異質な存在を捉えていた方も多かったようだ。
川に対する意識がなく、川に近付きバーベキューをやる人は川を汚す。
河川管理者の行政からもタパさんの活動も同様に見られていた。

そんな中でもカヌーフェスティバルなどを催し、川に多くの方に親しみをもって頂きゴミを拾うイベントを12年おこなった。
長くやっていると世代に受け継がれていき、想いは文化となっていく。
そして、行政もお互いに歩み寄っていった。

そんなタパさんの原風景ともいえる少年時代のことを訊いた。

“アウトドアというか外で遊ぶのが当たり前でしたね。
学校終わったら外に遊びに行って、夕暮れに家に帰るのが通常のパターンでした。
怪我したら自分の責任。そういうのが当たり前の時代でした”

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今は怪我をしたら誰かの責任になってしまう、それは親が遊び方を知らないからだとタパさんは言う。
火を見たことがない子供に火は熱いということを伝えていくこと、それが自然の中での応用力を生む基礎になるそうだ。

“大人になってからの遊びはお金を出せばいくらでもできる。子供のころに他愛もないことでいいから野外で遊ぶことが必要なのかもしれない”

カヌー体験やスクールなどを通じて自然体験の大切さを伝える。
2~3時間の体験で大人も子供も笑顔になる。その笑顔を見れるのが一番うれしい。
20代の頃、漠然と思っていた狩野川をカヌーでいっぱいにしたいという夢。
30年経った今でも変わらないモチベーション。

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タパさんは、昔の大変だった頃を改めて思い出した。
“川は楽しい!自分が楽しいと思うからみんなも楽しもうよ”
一方的な想いだったかもしれない。
“川を通して笑顔が溢れる時間を提供するには……”
相手の立場にとっての川という存在を意識するようになった。

そして、沼津ビーチフェスというイベントも4年前から始め、海の使い方も提案をしている。

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まだまだ市民の認知度は低いがタパさんの夢は変わらない。
“自然をもっと身近に”
タパさんの想いは常に水辺と共にある。

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≪カヤックタパ自然学校≫
沼津市下香貫柿原2814-20
電話:090-1283-0840
http://www5a.biglobe.ne.jp/~uenohiro/

沼津アルプス最大の難所へ<南ルート:志下山⇒大平山>

鷲頭大平山

前回の横山~徳倉山ルートに引き続き、沼津アルプスを堪能する。
今回もLot.nからスタート。
香貫台入口から登り、志下山、小鷲頭山、鷲頭山、大平山までが今回のルート。
9時42分、上土バス停から沼津登山東海バスの下香貫循環に乗り、香貫台入口を目指す。

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バス停から10分ほど歩くと徳倉山の登り口に。そこから香貫台の分岐点まで急坂を登ること20分。

<高低差MAP>
沼津アルプス標高MAP

登る前に全体の高低差を確認しよう。
こう見ると低山ながら標高差が激しい事がわかる。
沼津アルプス最大の難所は小鷲頭山手前のグイッと登る斜面である。

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天気はいいものの海からの風が強く、山の尾根に差し掛かると体を押されるような風を受ける。
象山の背中は比較的なだらか、しばらく歩くと岩に千金岩の文字。
視界は開け、眼下に淡島と江浦湾、そして伊豆半島という眺望を眺めることができる。
この景色は横山~徳倉山ルートにはなかった景色だ。
志下山周辺はさざなみ展望台や奥駿河パノラマ台などビューポイントも多く、海沿いならではの景色を楽しむことができる。

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ふたつ連続して見えるのが小鷲頭山と沼津アルプスの最高峰、鷲頭山だ。
道中はぼたもち岩や中将宮など見所も多い。
ゆったりとした気持ちから、気を引き締め最大の難所へ。
小鷲頭山に差し掛かると急な斜面が待っている、ロープを頼りに何とか体を持ち上げる。

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標高330mの小鷲頭山に到着、ここからは牛臥山と御用邸の松林を見下ろすことができる。
難所を征した達成感と共に小鷲頭山山頂でランチがおすすめだ。
Lot.nで買った山桜カッティングボードの上にパンを並べ、オイルサバディンをサンドして食べる。
やっぱり山メシは格別だ。

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しばしの休憩後、鷲頭山を目指し再スタート。
山頂では休憩するいくつかのグループに遭遇。皆さん、それぞれに沼津アルプスを楽しんでいるようだ。
鷲頭山から10分ほど下ると多比峠に差し掛かる。
その先から多比口峠まで、沼津アルプスのハイライトとも言われるやせた岩尾根が続く。

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多比口峠から大平山までの往復は20分ほど。
大平山山頂は眺望こそないもののベンチなどがあり、休憩するにはうってつけの場所だ。
再び多比口峠に戻ってきたら、そこから下山ルートを進む。
山道を抜けるとミカン畑が広がる。

冬場はミカンの収穫時期である。
この辺りは無人のミカン販売所も多く設置されているので
ジューシーなミカンで喉を潤すのもおすすめだ。

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柔らかい光、優しい空間で写真を撮ること

夜にビルの3階でなにやら怪しく光る部屋があるので気になっていた。
入り口は美容院の中、特に表札もでていない。
何だろうと部屋に入ると真っ白な部屋、そしてデスクトップのパソコンが並ぶ。
殺風景な景色の用で柔らかい光が入り、優しい空間がそこにはあった。
すこし特別な隠れ家的な場所を見つけた気になるここは写真スタジオだ。

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※駐車場側から撮影

オーナーの梁さんにお話を聞いた。
どうして写真屋になったのですか?という質問に
“横文字の仕事に憧れてたんだよ。その当時、大学の写真科は実技がなかったから行ってみた、それだけ”
と照れくさそうに答える。

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自分のやりたかったことをやりながら暮らしていくのはそう簡単ではない。
ただ、人の縁を大切にし、やってみようという一歩を踏み出せるのかどうか。

写真屋になろうと思い、
九州の大学を卒業した後、いくつか地元の写真スタジオで修行をした。
その一つのスタジオでオーナーがスタッフの独立を応援していたこともあり、
その第一号として、会社に間借りをし一人で写真スタジオを始めたそう。

その後、縁あって通っていた美容院の3階のスペースが開いているので写真館にしようという話になり
今の場所が始まった。
今年で3年目となる。

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リノベーションをし空間は太陽の光が多めに入るスタジオになった。

自然光で撮影するときもあるし、ストロボで撮影することもある。
そのときそのときの時間帯でかわるベストな方法で写真を撮影していく。

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毎回その都度、撮り方を変えるのは大変だからいつもストロボで撮ればいいのにと聞いてみると
“目的はきれいに撮ることだから”と。

その日その日によって変わる。
自分だけでなく環境もその日その日で変わり
沼津の自然がおりなす空気で写真を撮っていく。
それは“ちゃんと写真をとってもらう”ことをする特別な想いに+αの楽しみがある。
その日の気分で狩野川で撮影なんてことも。

学校の記念写真やウエディングフォト、家族写真、七五三など
あらゆる記念日にも対応。
出張もしてくれる。
1階にある美容院を利用することもできるのでスタイリングからお任せできる。

写真を記念日にとるのもいいし、
ちょっと天気がいい、いいことがあった、気持ちを切り替えたい、髪を切ったなど
自分で特別な日をつくってもいい。

さまざまな要素が相まって一番自分らしい表情が撮れる場所。

それは梁さんのこんな言葉にも現れている。
”地元に想い入れがあるなら、仕事は自分で作るしかない”
そのやりたいことをやりたい場所で素直にすることで縁も集まってくる。

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梁さんが生み出す沼津のリズムと一緒に
自分らしい写真をとってみるものいいと思う。

ミノリフォトワークスタジオ
沼津市魚町21 植松ビル3F(入り口は1FのADESSOと同じ)
tel:055-919-5871
fax:055-919-5872

親子三代、86年間鶏一筋

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沼津市本町は東海道、沼津宿の本陣があり大いに賑わった場所だ。
かつて沼津映画劇場があった場所は江戸時代、杉本旅館という旅館だった。
また、芝居小屋なども立ち並んでいたそうだ。
本町の歴史を丁寧に説明していただいたのは鳥佐商店のご主人、泉勝久さん。
鳥佐は昭和2年から本町で鶏肉の専門店として営業している。

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“もともとは沼津駅前に鳥丑という鶏肉専門店だったんです”

鳥丑から泉さんのおじいさんにあたる佐一郎さんが独立、鳥佐商店として開業したそうだ。
専門店としてこれまで続いたのはやはり鶏肉に対するこだわりがあるからだ。
主力商品のひとつである鳥のもも肉は先代の頃から変わらず岩手県のあべどりを使っている。
あべどりは鶏肉特有の臭いが少なく、肉はピンク色で脂肪が少ないのが特徴だ。

“炭火で焼くと一番美味いですよね”

家庭で調理する場合はフライパンにオリーブオイルをひき、鶏肉に塩コショウして皮面からトロ火でじっくり20分ほど焼く。焼き色がついて火が通ったなと思ったらひっくり返して1分ほど焼き、あとは余熱で仕上げる。そうすることで皮はパリッとして中はふっくら出来上がる。
専門店だからこそ言える鶏肉のおいしい食べ方を教えていただいた。

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“こだわりをもってるお客さんがいてくれるから成り立つのかもしれません”

時代の変化とともに客層も変わっていった。
買い物の効率を求めるとスーパーなどで他のものと一緒に買ったほうがいい。
わざわざ鶏肉だけを買いに来る必要はないのかもしれない。
それでも、鳥佐には鶏肉だけを買い求めにお客さんが来る。
近所だけに限らず三島や函南、遠くは戸田や修善寺からもここの鶏肉を買いにやってくる。

“牛や豚を扱おうと思ったことは一度もありません。うちは鶏肉だけで勝負しています”

専門店として決してぶれないスタンス。
スタッフの活気あふれる店内に今日も客足が途絶えない。
商品もクリスマスにぴったりなひなどりを1羽まるごとだったり、
人気の焼き鳥はハツ、せせり、軟骨など常時10種類以上あり、産地が違うもの、鳥のあらゆる部位がある。
また調理方法によってはその場で切ってくれる。

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Lot.nの提供するバーベキュー食材は専門店から仕入れている。
鶏のもも肉は鳥佐商店からだ。

専門店を巡って買い物をすること。
厳選した鶏肉と教わった食べ方、食材の話を食卓で披露する。
その食事はまた美味しさを増すことだろう。

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鳥佐商店
沼津市本町21
電話:055-962-1241

鳥佐