おいしい魚のある生活のために~魚仲買商協同組合~

5月10日に行われる沼津水産祭。
今年で42回目にあたるこのイベントはどのような方たちの想いがあり開催をされているのか知りたく取材をしてみた。

このイベントは3団体が運営をする。
・沼津魚市場‥・競りをする場を運営
・沼津魚仲買商協同組合‥・競りに参加できる仲買人の組合
・沼津魚小売商買受人協同組合‥・競りに参加できる飲食店や小売業の組合

今回は沼津魚仲買商協同組合に行き鈴木さんに水産祭のことを伺った。

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この組合は89の仲買人によって構成される。
鮮魚、干物用、煮干用と用途が別れる。

これら産業の普及のため、水産祭では特徴あるプログラムが用意されている。

《鮮魚の部》
 魚の特別販売が行われる。カツオ、キンメ、マグロ、さば、貝類など。
お値打ち価格などで、宅急便で各地に送れる。
またボイル甘エビすくい、海鮮鍋も販売をする。

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《煮干の部》
かつお節パックつかみどりが行われる。

《沼津ひものの会》
干物の試食を用意している。
食べ方の提案として、素揚げした干物も販売をしている。

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お客さんとの意見交換の中からニーズを汲み取ればと
これらのプログラムは若手が中心になって行われる。

「このようなイベントを通じて組合員にやる気がでる環境を作るサポートをしていきたい」
と鈴木さんは語られた。

そして魚仲買商協同組合の通常の業務を教えて頂くために魚市場を案内していただいた。
この日、サバが大量に水揚げされいた。

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ここで魚仲買商協同組合の調達した容器が活躍する。
倉庫に行くと在庫を切らさないために置いてある木の箱や大量の容器。

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積み上げられた発泡スチロールの箱を運ぶ容器事業部の斉藤課長のバランス感覚は職人技だ。
こうして容器や、木の箱など魚の流通を影で支える。

そして冷蔵事業では2つの冷凍倉庫を持つ。
市場から少し離れた所にある第一冷蔵庫に行くと、サバが木箱に詰められ急冷凍されている所だった。

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この時は指定された数量を木箱に入れて冷凍する細かい作業だった。

そこからまた北側に向かうとBIG BOXという立体自動倉庫がある。
工場長の村上さんに案内して頂いた。

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この施設は、-35℃で魚を保存し干物などの原料の安定供給をするために平成8年に完成した。

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コンピューターで作業され、出し入れをしても温度の変化が出ないように設計されている。

倉庫の中はまさにBIG BOX。
約3800のパレットが収容できる。

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このような施設のおかげで沼津は全国有数の水産物流通拠点の基盤となっている。

水産業は以前に比べ厳しい環境にある。
魚の水揚げは天候により不安定であり、食生活のなかで魚を食べる量も減ってきている。

供給の課題はハードで解決をしていく。
そして需要の開拓は水産業全体で消費者に価値を提案していくかが重要になっていく。

水産祭は魚のある食生活を楽しんでほしいというメッセージがプログラムに込められている。
そして市場、組合、各水産会社の次の世代への想いも知れるであろう。

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‘’漁師めし‘’を堪能できる宿~内浦:とさわや旅館~

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【2014年の記事です。】

内浦漁港を目の前に立つとさわや旅館。
夏休みや春休みには多くの大学生でにぎわう場所だ。

20人~30人泊まれるとさわや旅館は
民宿よりもちょっと大きく旅館よりもアットホーム。

大学のサークルで1棟貸しをすることも良くあるそう。

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どこか懐かしさ漂う客室は
漁師町の親戚の家に来たような感覚になる。
畳が敷かれ、ちょっとした鏡台。
アルミサッシの窓から見える港。
決して派手さはないが“素のまま”が安心感を与える。

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大浴場は貸切。
波の音を気の知れた仲間や、家族とゆっくりお風呂につかるのは至福の時だろう。

今回お話しを伺った太田幸一さんの祖父が始めた旅館。
隣には大衆食堂もあり、食堂だけの利用も可能。
宿泊客の中には夜ご飯を食堂でアラカルトで頼む人もいるそう。

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メニューには、うつぼなど地域ならではのものある。

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店の前には生簀があり、食べるぎりぎりまで活きの良さを保っている。
“こだわりは生きたアジを使うこと。同級生に漁師の先輩や後輩もたくさんいますし、港も目の前なんでうちの料理はこじゃれたものではなくて「漁師めし」って感じですね”
材料もほとんどのものを地元で調達。旬のものを新鮮に味わえるように努力している。

地元の人にも利用してもらいたいと旅館を始めたころから食堂はあったそう。
“実はおじいさんはアイスクリームやをやったりお米屋をやったりチャレンジ精神旺盛な人。
最終的にこの形にたどり着いたそうです”

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その想いをお父さん、息子へと。
幸一さんは湯河原で調理の修行をし戻ってきた。
そして今は弟の祐司さんに教えながら兄弟で経営、家族みんなで切り盛りしているそう。

長年続く旅館だからこそ、思い出も残る。
毎年サークルで使ってくれる学生さんたちで顔見知りになったり、
何年か越しで来てくれたりするお客さんもいるそう。

自慢の漁師飯とアットホームな客室。
決して新しいわけではないが、無機質ではない
“あったかさ”がある場所で、自分だけの田舎をつくってみるのも良いだろう。

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≪とさわや旅館≫
沼津市内浦三津 88-15
TEL:055-943-2002
http://www.izunumazu-tosawaya.jp/index.html

●海の幸プラン~お料理グレードアップ!豪華海の幸に舌鼓!お一人様1匹の伊勢海老付
11,550円/人 【2人利用お部屋】和室8~10畳/バス・トイレ無
12,600円/人【2人利用お部屋】和室12畳(海側)/バス・トイレ付

●素泊まりプラン~自由気ままな海旅満喫お得な素泊まりプラン。
4,200円/人 【2人利用お部屋】和室8~10畳/バス・トイレ無
5,250円/人【2人利用お部屋】和室12畳(海側)/バス・トイレ付

写真:川上千絵

劇場型移動式写真館~行貝写真館~

行貝写真館が沼津のcafe Su-Haで4月14日まで開催されている。

写真家・行貝チヱさんによる移動式写真館は従来の写真館とは異なる新しいタイプの写真館だ。
通常のポートレイトの他、会場のイメージを膨らませたテーマでちょっと変わった撮影体験ができる。
今回のテーマは『王室の人々』。

行貝(なめがい)さんは会場の印象を見て感じそのテーマを決めている。
今回の会場となるcafe Su-Haの壁の雰囲気や、店主の持つどこか“王妃”的な要素を感じこのテーマをを選んだ。

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そしてこのテーマは日常から非日常の世界へスッとマインドも変えてくれるそうだ。

会場に着くと親子の撮影が終わった後だった。

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もう間もなく結婚をするお嬢さんとお母様、二人の撮影。
「結婚式前に一つの思い出を残したかった」
そうお嬢さんは言われた。

このお二人のテーマは妃と王子の肖像画(王子になったお姫様)。
撮影前にお話を聞き、物語、設定、そして衣装を決めていくそう。

「始めはちょっと恥ずかしかったけど、途中からとっても楽しくなった!」
とお母様が笑顔でおっしゃった。

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行貝さんはお客様と一緒に世界観を作っていき撮影をする。
そこには、被写体になる人の雰囲気、二人の関係の本質がくっきりと現れる。

「撮っている方も楽しくて、こんな事ができる職業で本当に嬉しいです」

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行貝さんは東京生まれ千葉育ち。
東京での生活を経て2年前に函南町に移住した。

‘移住’したという言葉はどこか違和感があるようだ。
‘新しい土地を手に入れた’という方がピンとくるそうだ。
「本当にいい土地にやってきた」
とこの土地の感想から、この移動式写真館ができるまでのエピソードを教えてくれた。

引越しをしてきていい仲間と出会った。
そしてすぐに天城、吉奈の「東府や」旅館で前身である出張・行貝写真館を中村園芸さんのGReenPeopleと一緒に開催する事になった。

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それから2年間、様々な所で実験的な写真館を行い、多くの人に出会い笑顔を切り取っていった。
来店された方々の喜びの声を反映させ今回の本格始動に至った。

この地域のみなさんの事を聞くと、
実はノリがいい、いい意味で調子にのりやすいそうだ。
まずは否定する傾向があるそうだがスウィッチを見つけると、そこから加速していく。

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今回の王室のテーマの作品を見られ、始めは恥ずかしそうと言ってた方が行貝さんと話していると
「楽しそうでやってみたいわねぇ」
と言われていることが印象的だった。

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写真は楽しかった時間を切り取り生き様を残していける。
この事を定期的に継続していくと人生の物語をみんなと共有していける。

それが遺影で使われたら嬉しいと、お年寄りの写真もたくさん撮っていきたいそうだ。

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「作品と生活のバランスを取りながら、これからいろいろな事をしていきたい。
いろいろな人に出会いたい。
そして長く生きてきた人に出会い、お話を聞き残していきたい。」

行貝さんは、これからも様々な場所で移動写真館を開催される予定だ。
そして、素敵な開催地も探している。

6月は沼津のカフェ、ミッションベイで開催される。

この機会に非日常のスウィッチを見つけてみると、人生がまた面白くなるかもしれない。

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行貝写真館【王室】
場所:cafe Su-Ha
 沼津市下香貫前原1477-1 沼津石材店 2F
日程:4月8日~14日
時間:10時・12時・14時・16時・18時 1日5組限定
料金:1撮影 15,000円
(台紙入りプリント・基本スタイリング込み)
予約:会場Su-Ha 055-931-0956
受付からおはなし、スタイリング、撮影、セレクト、プリントまでの所要時間は1時間半程度(撮影人数により前後あり)
プリントはその日にお持ち帰りいただけます。
焼き増しプリント、額装など別途ご相談承ります。
※週末は予約でいっぱいとなりました。

行貝写真館
https://www.facebook.com/namegai

5月10日/沼津水産祭

沼津水産祭が5月10日に行われる。

水産業のことを多くの方に知って頂こうという趣旨のイベント。
様々な体験イベントが行われる。

【昨年の様子】

今年もプログラムがいっぱいだ。

・体験さかなセリ市
・朝獲れ生しらす試食
・あじの釣堀
・大漁輪投げ
・Car☆Ring
・駿河湾の珍魚と巨大魚の展示
・鮮魚の特別販売
・おさかな作り方教室
・カツオ節パックつかみ取り
・シラスの釜揚げ
・アジのひもの素揚販売
・ボイル甘エビすくい
・ひもの試食・販売
・大漁うしお鍋
・2014年 子ども達が描く『魚の街 沼津』!
・クイズ深海王
沼津港深海水族館石垣館長・やるせなす石井ちゃんによるトークショー
第1回目:午前8:30 第2回目:午前11:30
・漁船乗船体験

沼津ジャーナルでは、このイベントに向けて関連する組合や団体に取材する予定だ。

沼津水産祭
5月10日(日)
8:00〜

着物をもっと身近に~しらかべ衣料百貨店~

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創業95年のしらかべ衣料百貨店は昭和34年から現在の上土町で営業している。
当時は着物に限らず、婦人服や紳士服などの洋服や服地などフロアごとに販売をしていた。
4階建ての建物はまさに百貨店と呼べる様子であったが、10年前から呉服専門店として営業している。

“専門店として力を集約することによって生き残っていこうと思ったんです”

副社長の白壁忠孝さんは語る。

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着物は安い買い物ではない、だからゆっくり考えてほしい。
ただ着物を売るのではなくて、店員との会話を楽しんでほしい、分からないことがあればなんでも聞いてほしいと白壁さんは言う。

“着物という性格上、人生の節目に購入されるお客様も多い。だから、長いお付き合いができたらいいと思うんです”

しらかべには家族で訪れるお客さんも多い。
七五三や成人式などといった人生の節目に着物を購入する。
それは親から子へ、祖父母から孫へ、愛情の表現として家族の絆の証として一生残るものである。
そういったある種の記念日に立ち会うこと、一緒に祝うことを白壁さんは自身の喜びと捉えている。

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“着物が好きという方は結構いるんです。そういった方のためにも入りやすい店づくりをしていかないといけないんです”

しらかべでは定期的に着付教室やお手入れ無料相談会などを行うなどして着物全般のフォローをしている。

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店内の一部を使い着物にちなんだ版画やパッチワークなどの作品を展示しているのもより身近に着物を感じてほしいという想いからだ。
目指すは敷居の高い呉服屋ではなく、もっと気軽に着物の相談ができる店。

“ここだけの話ですけど、男性も着物を来て飲み屋とかに行くんですよ。そうすると女性の反応が全然違いますからね。一度試してみてください(笑)”

笑顔でマル秘テクニックを教えてくれる白壁さん。
なるほど、一度試してみようかという気分になるから不思議である。
特別な日から普段使いまで様々な用途に応える着物とその専門店。
日本の文化は思った以上に身近なところで支えられている。

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≪しらかべ衣料百貨店≫
沼津市上土町48
TEL:055-962-1995

沼津の磯を楽しむ場所~磯料理伊豆海~

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【2014年の記事です。】

富士山と駿河湾を横目に車を走らす。
沼津の街から30分ほど走ると、のどかな漁村風景が広がる。

昼時この景色を見ていると無性においしい魚が食べたくなる。

淡島のちょうど真ん前にある磯料理屋“磯料理伊豆海”に入ってみた。

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40年以上続くこのお店。
今は2代目のお父さんと一緒に
3代目の伊海正利さんがお店を仕切っている。

車で三津浜は約5分、内浦漁港は約10分という新鮮な魚が手に入る好立地。

看板メニューのおまかせ丼はその日に仕入れた魚によって変わる。
金目鯛の煮つけも人気だ。

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7年前から通っている地元三島のお客さんは毎回金目鯛の煮つけを食べるそう。
アジの養殖をしている内浦漁港から仕入れたアジのたたき定食はアジの新鮮さが伝わる。

立地条件から、釣りやダイビングに来た人、観光客も多く来るとのこと。
“ダイバーさんはよくいらっしゃいますよ。刺身定食の上を食べてきますね”

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刺身定食並みでこのボリューム。上を食べていくのも分かる。
定食につくあら汁も魚がしっかりと入っていて食べごたえがある。
カニ汁も人気だそう。
この他、山かけ丼や生シラスなどその時旬の海の幸をシンプルに味わえる品が並ぶ。
守り続けられた料理はもちろん時々新メニューを増やしたりもしているそう。

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“海がきれいで自然が多い。そこがいいところですね”
小さい時からこの地で生まれ育った正利さん。
口数が多い方ではない正利さんらしいシンプルな答えには
シンプルに海の幸を楽しむことが出来る“伊豆海”そのものに感じた。

4~6人が座れる座敷席とテーブル席はファミリーにも向いている。
落ち着いた雰囲気と、家庭的なアットホームな雰囲気が心地よい。
猟師町に来た感じを味わうことが出来る店内だ。
家族総出で店を切り盛りする姿、ひとなつっこい娘さんもかわいい。

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美味しい旬の魚をしっかりと味わえる場所、
そしてどこか懐かしい場所は地元の人にもダイバーや釣り人にも愛される場所だ。

≪磯料理伊豆海≫
沼津市内浦重寺18
TEL:055-943-2020

●営業時間
[月~金]
11:00~14:30
17:00~19:00
[土・日・祝]
11:00~18:00
●定休日:月曜の夜、火曜日(祝日の場合営業)

沼津ソウルフード:愛され続ける惣菜パン~桃屋~

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“もともとはお肉屋さんでメンチなど販売していたのを主人がパンにはさんで売るようになったんです”

インタビューに答えていただいたのは桃屋の内田耀子さん。
沼津に欠かせないソウルフード、桃屋の惣菜パンは東京オリンピックが行われた昭和39年に生まれた。
その発想の原点は映画だったという。

映画館が多かった当時の沼津で少年時代を過ごしたご主人は大好きな映画の中に出てくるターザンやロビンフッドといったヒーローたちが焚火にあたりながら食事をとる風景を観て、惣菜をパンにはさめばアウトドアでも食べることができると思ったそうだ。
初めはハンバーガーのバンズのような形のパンを使っていたが学生のお腹をいっぱいにさせてあげたいと思いコッペパンに変えた。

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“コロッケをパンにはさんだだけだとむせてしまうので和風の甘いたれを作ったんです”

こうして現在まで変わることない桃屋の惣菜パンが完成した。
一見・・・、いやよく見ても素朴。

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その人気は幅広く、地元の沼津市民はもちろんなぜか県外からのお客さんも来る。
桃屋の惣菜パンを持って狩野川や千本浜へ行くというシチュエーションは沼津ではよくある風景である。

小さいころに親に連れられてよく食べていた、学生時代お腹が減ってはよく買っていた、そんな思い出をそのままに大人になっても通う常連客も多い。
親子三代に渡って桃屋のファンという方もいるそうだ。
カツサンド、メンチカツサンド、お好みサンドなど人気はやはりお店独自の甘いたれ。
これが病みつきになるから不思議だ。

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“週末とか多い時は1000~1100個売れます。もう油まみれになりますよ”

耀子さんもまさか自分が桃屋に嫁いで、惣菜パンを作るとは思っていなかったそうだ。
近所のデパートガールとして働いていた耀子さん、桃屋の惣菜パンが好きでよく買いに来ていたところ、ご主人から猛烈なアプローチを受けたという。

“あまりにもしつこくて、とうとう断りきれないで、お嫁に来てしまいました(笑)”

家族で守る桃屋の味、決して変わらないその味には多くの思い出が詰まっている。

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桃屋の惣菜パンを持って沼津の街を歩く。

それは沼津の“今”の物語につながる。
そして、良き時代の物語を多くの人は思い出す。

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≪桃屋≫
沼津市町方町5
TEL:055-962-7824

街と港をつなぐ~我入道の渡し~

沼津港と反対側にある我入道、そして上土をつなぐ連絡船として明治時代に生まれた。

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“昔は我入道から反対側まで泳いで行って、帰りは船に乗ったり、
街の方に材木屋があって、木の皮をはがしに行くのによくこの船に乗ってたんだよ”
と船頭歴17年の川口さんが言っていた。

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昭和43年に港大橋が出来てからは客足が減りついに昭和46年廃止となった。

それから26年の時を経て平成9年に観光用に復活した。
それから17年続く“我入道の渡し”

今ではあゆみ橋までの運行もしている。

そして冬季は運行をお休みしている。
今シーズンの我入道の渡し船は3月22日(金)から始まった。
この、渡し船の就航を祝い、1年の安全と盛況を願うセレモニーが開催された。

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”1年間しっかりと運行できるように今年もよろしくお願いいたします”
市から業務を任されている我入道漁協会長からの挨拶。

そして市長からの挨拶。

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それだけ期待されている我入道の渡し。

ある時期から川と街は遠くなり、
泳いでいる人はいなくなった。

“小学生になったらよく先輩に川に突き落とされてさ、もう泳ぐしかなかったんだよ。
先輩怖かったな~(笑)
でもこの辺は川でものを運搬していたから、誰かしらいてね。
あと、釣りもしたな~”

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まるでセーヌ川のように川は暮らしの一部であり愛着のある場所だったことがよくわかる。

思い出を話す船頭の川口さんや鈴木さんの顔には笑顔がこぼれる。

“乗ってきなよ、気持ちいいぞ。
街はいつの間にか高い建物ができたけど川は今も昔も変わんねえな、ほらあそこのでっぱりは台風が来たらなくなる”

確かに変わりゆく街。でも変わらないであろう景色、そして昔ながらの船はタイムスリップをさせてくれる。

子ども達のおみこし、掛け声。

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無料でふるまわれるお汁粉やカニ汁。
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我入道漁協の自慢のたちうおの春巻きなどの販売も。

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そして我入道音頭を踊るお母さんたち。

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最後には餅なげも行われた。
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今回特別に先着で乗船券と干物などの記念品が配られた。

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参加者はみな笑顔で降りてきた。
“川から見る景色は素晴らしかった。普段見ることない水面からの景色、
箱根や南アルプスなどの山々、富士山、本当に素晴らしいですね”

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お孫さんと毎回乗船する方も来ていた。
黄色い旗をふり船をとめる(沼津港・我入道乗り場)のも面白い。

大人も子どもも楽しめる“我入道の渡し”

街と港を移動するのに利用してみるのも面白い。
ゆっくりと川の空気を味わってほしい。

≪我入道の渡し≫
【乗り場】
我入道のりば:沼津市我入道東町地先
沼津港のりば:沼津市蓼原町地先
あゆみ橋のりば:沼津市大手町4丁目地先

【料金】中学生以上100円、小学生50円
【お問い合わせ】
沼津我入道漁業協同組合 TEL:055-931-1395
NPO法人 沼津観光協会 TEL:055-964-1300
観光交流課 TEL:055-934-4746

http://www.city.numazu.shizuoka.jp/kankou/sisetu/ganyudo/index.htm

就航予定表はこちら→http://www.city.numazu.shizuoka.jp/kankou/sisetu/ganyudo/img/2014haru.pdf

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蔵に住み着いた酵母菌が創り出す生きた調味料~天野醤油~

御殿場の富士山のふもとにある小さな醤油工場。
それが天野醤油。
静岡県東部の学校給食にも採用されている天野醤油は
品質、味ともに細部までこだわっており、地元の人たちに愛されている。

3代目天野栄太郎さんに天野醤油について伺った。

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昭和12年、祖父福太郎さんが三島で醤油作りの修行をした後
御殿場で蔵を構えたのが天野醤油の始まりだった。
何にもないゼロからのスタート。
だが、富士山の湧水がそこにはあった。

その後、お父さんの泉太郎さんの代に変わり、醤油を使う人から要望のあった無添加の醤油をつくることを始めた。
その時、蔵には醤油の味を豊かにする自然の菌が住み着いていた。

今では静岡県東部の学校給食に“本丸亭”が使われている。
安全で安心して使えるお醤油を作るために受け継がれてきた伝統は今、じっくりと時間と愛情をかけて
天然醸造という形で丁寧に守られている。

工場のを見せてもらうと
想像していた以上に限られたスペースで全工程が行われていた。

この場所に大分の一等の大豆、北海道の麦、鳴門の塩、そして富士山の水。
選び抜かれた素材が運び込まれる。

大きな機械で大豆が蒸されている横では小麦が炒られていた。

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そしてその奥には小さな扉。

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そこでは3日間かけて大豆が麹へ。
メガネやレンズが一瞬で曇ってしまうほどの室内は一定の温度と湿度で保たれている。

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その後、麹と食塩水を混ぜ合わせ発酵熟成させる。
そして天野醤油の味を決めるのが蔵に住み着いている菌、
黒ずんでいるところにいるそう。
運命とでもいうのだろうか、伝統を守り真剣に作る醤油の蔵にはおいしくしてくれる菌が住み着いて離れない。

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こうして発酵熟成されたもろみを布に包んで絞る。
ゆっくりとじっくりと絞り出される“なましょうゆ”

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そして火入れをして、色、味、香りを整える。
さらに品質検査をし味だけでなく安全も。

出来上がったばかりの醤油を口にしたときに“んっ?”と思った。
ちょっと“抵抗感”を感じた。
この“抵抗感”は生きた醤油だからだ。
それはすぐにおいしさに変わる。
発酵食品の大切な要素を体に運んでくれる。

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そして、工場長の天野幸吉さんが大学を卒業後日本一の醤油を作りたいと
始めたのが山口県発祥の“甘露醤油”
これはもろみを作る際の食塩水を生醤油で行うことによって塩分が控えられると同時に深みのある味になる。
2年以上の歳月と2倍の原料を使用した、醤油の中の最高級品。
2000年度には農林水産大臣賞を受賞。全国の甘露醤油の基準にもなっている。

“今の大きさのままこの場所で醤油を作り続けていくこと”
そう栄太郎さんは言う。

住み着いた酵母菌は宝だ。
醤油は調味料だからと侮ってはいけない。
生きている醤油は素材をさらに活かしてくれる。
そして体も活かしてくれる。

愛情と歴史が作り出す醤油が食卓を支えてくれる。

≪天野醤油≫
御殿場市御殿場139-1
TEL: 0550-82-0518
http://www.gotemba.or.jp/i/amano/