Author Archives: 佐伯

狩野川を下る

“狩野川って富士山に向かって流れているんだよ”
という話を聞いた。
なんとも不思議なことを言う人だと思ったのだがすぐにその意味がわかった。

狩野川は伊豆半島の最高峰、天城山に端を発し北流
沼津市付近で大きく向きを変えて駿河湾に注ぐ。
しかも狩野川のような太平洋側の大河川で北流するものは本川だけなのだ。

狩野川水系は、伊豆市の天城山に発し、さらに箱根山や富士山等を源とする柿田川、黄瀬川等を合わせ沼津市において駿河湾に注ぐ、幹川流路延長約46km、流域面積852㎞の一級河川である。
なんと欲張りなんだろうか。
伊豆、富士山、箱根のミネラルをぎゅっと集約している。

今回、カヤックタパさんの指導の下
ラフティングで狩野川中流(境川河口・長伏)から下流(リバーサイド前・上土)までを下った。
今回のクルーはタパさんとラフティング初心者3人を含む6人。

まず、ウエットスーツに身をつつむ。10月とはいえ水がかかると寒い。防寒はしっかりと。
タパさんではウエットスーツやマリンシューズの貸出しも行っているのでなにも持っていなくても安心だ。
ライフジャケットを着て街中を歩くのもなかなか悪くない。

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長伏までは車で移動。
着いたら全員でラフティングボートを膨らます。
この日は天候が悪かったのでちょっとしたお菓子と飲み物を持って。
天候が良ければガスバーナーを積んでお湯を沸かしお茶を淹れることもできる。

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準備体操をし、パドルの練習をしたら全員で川辺まで運ぶ。
草むらをかき分けてエントリー。
道なき草むらをぐいぐい進むのは冒険の始まりを教えてくれた。

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一人ずつ乗る。
そうぞうしたよりも安定感がある。
タパさんによる解説を聞きながら、ゆっくりとスタート。

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さっきまで見ていた景色とはうってかわって
大自然の中に放り込まれた感覚。
まるでジャングルクルーズ。

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川には多くの鳥たちを見ることができた。
想像以上にダイナミックな鳥たちの移動に驚き
こんなにも生き物がいることに感動する。

箱根や富士山から流れる川と次々合流していく。

柿田川には降りてみた。さすが湧水、透き通った水はとても冷たい。
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ここでちょっと休憩をしおやつを食べる。
心地よい疲労感に甘いチョコレートが染み渡る。
こういう休憩もラフティングのちょっとした楽しみである。

黄瀬川。橋の下をくぐる。
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さらに進む。
だんだん街の景色が見えてくる。

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いつもは自分たちが通っている道路を走る車を川から眺める。
川を眺める人に手を振る。

そしていよいよ到着。
約3時間のクルーズ。

のんびりと川の流れに身を任せてみたり、
仲間と話をしたり、休憩をしたり、
時には力いっぱい漕いでみる。

そこには植物、生き物、沼津アルプスなど山々、そして川の流れ。
すべてを一身に感じることができた。

当たり前のことなんだけど
いつもと違う目線で、ちょっと植物や動物たちの気持ちになると
河を汚したくないという気持ちになる。

タパさんにいろいろ解説をしてもらいながら
河川敷を整備するためにいろんな努力があることも知る。
だけどどんなに技術が発達しても自分たちが気をつけなければ一番良い状態にはならない。
川とともに暮らす私たちだからこそ、この川を愛おしく思っていきたい。
そういうとちょっと大げさかもしれないけれど。

カヤックやラフティングなどで川を下っていくと
日本で唯一富士山を進行方向に眺めることができる狩野川。

この日はあいにくの天気で眺めることができなかったが
これからの季節、うっすらと雪をまとった美しい富士山を見ながら川を下るチャンスも多いだろう。

どこをとっても楽しめる川、それが狩野川だと思う。
狩野川の可能性は大きい。
川や水を体感しそして楽しみたいという方、カヤックタパ自然学校では、川下りのプログラムが多くあるので相談することがおすすめだ。

≪カヤックタパ自然学校≫
http://tapa.ptu.jp/F055-933-1337
T 090-1283-0840
F 055-933-1337

感じるお菓子~LOTUS SWEETS~

LOTUS SWEETS (ロータススイーツ)は今年の夏に店舗を移転した。
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沼津駅と沼津港を結ぶ通り。
沼津駅から徒歩約15分。
元ひもの工場だ。

奥さんがLOTUS SWEETS を担当、旦那さんはギター教室をこの場所を行っている。

自分たちでこの空間は作られている。
現在も改築は続けられて、今は入口の戸を作っている。

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移転先でも前の場所と変わらずロータススイーツどこかショートムービーでも見ているような
ちょっと非日常的なゆるやかな空気に包まれる。

店主のあづささんはナチュラルな雰囲気。
この工房やイベントなどでも販売している。

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LOTUS SWEETSはどうやって誕生したのか。
10年前、カフェをやっていた時
必要に迫られてお菓子つくりを始めた。

技術がないところから始めたお菓子作り。
実は苦手だったそうだ。
試行錯誤をかさね、あづささんらしいお菓子の形が出来上がっていった。

その後カフェ閉めたが、あづささんのお菓子を求める人が多数いた。

その時、お客さんや今までおせわになってきた人に
仕事を通じて、そして社会的に恩返しをしたいと思うようになった。

お菓子作りを続けよう。

そうしてLOTUS SWEETSとしてお菓子作りは今日までつづいている。

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“私、なんか足りない感じが好きじゃないの”とあづささん。

みんなに喜んでもらおうとLOTUS SWEETSのお菓子はどれも大きくて食べごたえがある。
ちょっとした軽食や朝食にもぴったり。

“基本的に薄利多売なのよね”
と笑顔で答えるあづささん。

みんなのために。その想いを伝えるために。
出来るだけお手ごろな価格で、大きくて食べごたえのあるお菓子。
パッケージは一つずつ白いペンで手書きで書いてある。
いつもLOTUS SWEETS のまわりには人があふれているのがなんだかわかる気がした。

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LOTUS SWEETS (ロータススイーツ)

​静岡県沼津市下河原488
定休日  水 .土曜日
営業時間 10:00−17:00
TEL:055-956-4267

シンプルに食と向き合う

牛山ベーコン、
これは東京ミッドタウンにあるDEAN&DELUCAのSelect shopの
お肉屋さんで一流のハモンイベリコ等々と一緒に売られている。
燻製の香りも高く、肉自体の質が良いので非常に美味。
業界では美味しいことで特に有名なのだ。

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牛山ベーコンは、沼津の三園町にログハウスの店構えの牛山精肉店で作られる。

“ただ買ってもらうだけでなく、
まず私たちがお客さんを知って、
お客さんが私たちが売るお肉を理解して買ってもらう。”

お肉を大切に想い売る姿勢に
こだわりがあるように感じたので
こだわりはなんですか?と問いかけた。

“こだわりはありません”

驚きの答えがかえってきた。

この言葉に秘められた想い。
それは自分が食べたいものしかうらない。
こだわりというよりも当たり前のことをお客さんを想いやっているだけなのだ。

店にはお肉だけではなく各地から取り寄せられた調味料も置いてある。
それもすべて、自分たちが食べたいものなのだ。

食べたいものを食べてみる。
そして納得をして、これは自分も食べたいからお客さんにも売る。
食べ物だけではなく応援したいものは雑貨でも絵でもなんでもお店の中にある。
ログハウス調の店舗では音楽ライブも開催される。

牛山精肉店店舗

“要するに、こういう商売をしていると神様がいるな~と思うんです”

その言葉には誠実さが伝わってくる。
いいものをいいと認める。
だからこそ、無駄をださない、ゴミをださない。
食べ物を、命、自然を大切にしているのだ。

決して特別なことではない。
普通のこととしてそう思っている。

ここに仕入れられたお肉は骨まで大切に扱われる。
ガラスープ、ドックフードのおしゃぶり用の骨など
本当に余すことなく全部使う。

牛山精肉店では店長が肉の解体をする。
大切に、大切に解体されていく。
その光景は美しい。
熟練の技は体に染みつき
今や感覚で解体することができる。

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素材を大切にする。
最後は心が宿る。
気持ちが入る。

この気持ちを理解せずに金額だけを見て買いに来るお客さんはほとんどいないという。
正直言って、一頭一頭じっくり時間をかけて育てていく牛山さんのお肉は
生産効率が悪いので少し値段も高くなる。

だが類は友を呼ぶ。
質に対してわかってくれる人たちがこのお店に集まる。

そのお客さんの気持ちを裏切らないように
沼津産だから売るということは絶対にしない。
産地にはこだわらない。

さらにここではすぐにお肉は売らない。
まずお客さんとのコミュニケーションをする。
そしていつ、どういう料理をするかを聞く。
そして頭の中でイメージし、
カットする。

牛山精肉店

お客さんが買ってよかったと、悔しい思いをせずにすむことは
お店の責任という。

責任感、そしてコミュニケーションがあるからこそ
おいしいものにありつける。

その前には生産者がいて私たち(精肉店)がいる。
地域の生産者と精肉店がもっとコミュニケーションをとることができたらいい、とのこと。

牛山精肉店でコミュニケーションと
真摯な思いが食卓をおいしく彩ることを知った。

牛山ベーコンはLot.nでも買うことができる。

牛山精肉店
〒410-0833 沼津市三園町10-21
営業時間:9:00~19:00  火・水曜定休(祝日は営業)
TEL:055-932-7007 FAX:055-932-7010

学校の向こう側

今年の沼津自慢フェスタでは、多くの方の協力がある。
高校生も参加。

そんな高校生の昨年の活躍をレポートする。

特別支援学校の皆さんは地域のために何かをしたいと申し出て、先生と生徒が裏方となってイベントを支えてくれた。
川に並べた干物の箱を使ったスタンディングテーブルの設置、

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アンケートの集計なども
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センターテーブルでは飛龍高校の食文化コースに通う2,3年生20名が
サービスボランティアとして参加。

センターテーブルは3日間かわるがわるシェフたちが腕によりをかけて料理を作った。
そしてお客様との懸け橋として高校生たちがサービスを。

高校生たちはまず初めに説明を聞き、テーブルセッティングに入る。
周りの方々に指導をしてもらいながら真剣に力を合わせて整えていく。

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いつの間にか高校生たちは自分たちでリーダーを決め、
指示仕合い今から始まるセンターテーブルに向けて集中していく。
その様子は緊張感と期待に満ち溢れていた。

そして本番。
今回から温かいものも出したいとオープンキッチンを導入。
それに合わせて料理を出していく。
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料理の説明やお皿を下げたり。
緊張しながらもシェフやお店の方と一丸となってサービスをし成功へ導いた。

20時になると高校生の業務は終了。
3日とも全員前にならびお客様へ挨拶。
会場ではその一生懸命な姿に大きな拍手が沸き起こった。

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これから未来にはばたく高校生とシェフが固い握手を交わし、
これからもがんばってと激励を受けた。
この姿に涙する人も。

そんな素敵なイベント終え、反省会が行われるということで参加させてもらった。
お菓子とジュースをお供になごやかに開催された。

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“とても良い機会でした”
という声が多く聞けた。

“地元に貢献できたことがよかったです”
これからはばたく高校生たちが
また沼津にもどって何か素敵なことを起こしてくれるようなそんな気がした。
地元でみるかっこいい大人。

その中で
“料理についてうまく伝えられなかったのが心残り”
など反省点もちらほら。

ここで学ぶこと。
学校だけでは見えない“世界”
いいことも悪いことも糧になる。

“シェフはたくさんのひとの料理を作っている。
 だけどお客さんにとっては特別な1枚。
 それをちゃんとシェフはわかっていて想いを込めて作っているのを感じました”
など、一皿にかける料理人の想いも感じたようだ。

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高校生たちの満足に満ち溢れた笑顔。
敏感に、そして純粋にこのイベントを通じて学んでいた。
活躍する大人の姿、それは言葉よりももっと力強く胸に響いたのではないだろうか。
もし、この機会がなければこの時期に見ることができない
背伸びをして見る大人の世界。
これから進学や就職をひかえた高校生たちへのギフトになったのではないだろうか。
その箱を開けるのはそれぞれ。
来年かもしれないし、10年後かもしれない。
でもいつかこの経験が彼らにとってかけがえのないものになるだろう。

そして、大人たちにとっても
自分たちが若かった頃を思い出し初心に帰れた場所になったのではないだろうか。
高校生の若いエネルギーに満ちた力がこのイベントに彩りを与えてくれた。

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HAIRock

“曲がる棒に人生をかけている”

HAIRock。
それは彩どりの糸をまとった曲がる棒。

使い方は自由自在。
髪留めの代わりにしてもいいし、
カーテンをとめるものにしてもいい。

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キャンプなどアウトドアでも活躍しそうなこのアイテム。
ただとめるだけでなくカラフルな色が目でも楽しめる。

“おすすめは猫の頭に丸めておくことです”
おちゃめにかつ真剣に話を聞かせてくれたのは工場長の中伊豆太郎さん。

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10年前、ドレッドヘアだった太郎さん。
ドレッドヘアは自分の髪の毛で縛るか針金でしばるしかなかったそう。
その時、針金を装飾して使い始めるようになった。
それをみた友人たちがほしがり、プロダクトとしてちゃんと作るようになった。

こわれにくく、よりロスを減らして作れるように追及をし改良を重ねた。
ハサミ1本。接着剤はつかわないとてもシンプルな構造だからこそ
突き詰めるためへの努力をしてきた。

ハサミ1本、それとテクニックとセンス。
それだけでできるのがHAIRock。

“一点もののクラフトではない”
より気軽に、いろいろな人に手に取ってもらえるように
効率よく、そしてほぼ同じものが作れるようにしたかった。

パッケージにもこだわり
現在の形になったのは2年前。

とにかく
“手に取って見てほしい”
そう語る。

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丸くHAIRockがくるんとおさまるパッケージ。
思わず手に取ってしまう。
約ひと月でお店の商品を変えて回る。
色とりどりのHAIRock。

いつかはそのパッケージに想いを届けられるような
何かができたらと夢は膨らむ。

曲がる棒は可能性に満ちている。

副工場長の兼崎香さんは北海道出身。
縁あって住むようになった街。

“気候がいい。それにいい音楽、お店、自然。
本当に住みやすい街”

二人が地元のお店にHAIRockを置くこだわり。
地元で頑張っているお店と一緒に頑張りたい。

週末にはイベントや展示にも参加。
活動的なHAIRockに込められた
“ただ見てもらいたい。見たことによってその人の何かになれば”

可能性を秘めた曲がる棒に期待ができる。

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色とりどりのHAIRockはLot.nにも1600円で販売している。

お気に入りのHAIRockをお気に入りの使い方で。

地元を映すカクテル

9月沼津中央公園で行われたTHIS IS NUMAZUにてカクテルショー(フレア)が行われた。
普段は見ることのできないカクテルショーを間近でみることのできる特別なショー。

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その一人が元日本チャンピオンである
BAR THE PINE(バー・ザ・パイン)森俊­文さん。

BAR THE PINE(バー・ザ・パイン)は沼津駅北口にあるHOTEL MIWA2階にお店を構え、
宿泊者をはじめ、地元沼津にも­ファンが多い。

なぜフレアを始めたのか。
“10年前、たまたまフレアのショーを見に行った。
カクテルを“見て”楽しむことを初めて知った”

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それから独学でビデオをまわしながら
何度も何度も練習し、大会に出るまでになった。

お店ではやることのないフレア。
今回は沼津自慢フェスタのために特別に披露してくれた。
沼津には素晴らしいバーがあることを知ってもらうため。
子供たちにも驚きと感動を与えていた。
もしかすると森さんがバーテンダーになったきっかけのように。

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そもそも森さんがバーテンダーになったきっかけには
沼津のバーがあるからだ。

高校卒業後に社会勉強のためだと母親に連れて行ってもらったのが
「ヴィクトリー」
もちろんジュースだったが、
カクテルを作ったりお客さんと接するバーテンダーに目を奪われた。

その後、バーテンダースクールへ通い、
「フランク」で7年間修業した。

沼津のバー文化を支える名店にきっかけと技術を学び、今沼津でバーを開いている。
たくさんの先輩方に学び、努力を惜しまず新しいことにチャレンジしているのがわかる。

それはメニューにも表れている。
メニューには地元の特産を使っているものが多くある。

世界大会に日本代表で出た時に
自分の実力不足を感じ、作品にも日本のものをもっと使えばよかったと思ったそう。
その後悔は日本へ持ち帰った。

“地元”
それは森さんにとってバーテンダーとしての道を与えてくれた場所。
沼津には素晴らしいバーがあり、出会えたからこそ。

BAR THE PINE(バー・ザ・パイン)の名前にも千本浜の「松」の意味を持っている。
さらにオリジナルの手法を加えて、五感で味わえるカクテルを提供する。
まるで遊園地のよう。
メニューを見るだけでわくわくする。

戸田塩をムース上にし、滑らかでやさしい味わいの戸田塩を最後まで味わうことができるソルティエドッグ。

コーヒーリキュールを燻製したカルーアミルク。
これは静岡茶で燻製することによって、やさしく香ばしく仕上げる。

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そのほかにも三島のバラや西浦のみかん、自家製のトリュフウォッカやシナモンブランデーなど素材と味、そして手法にこだわったカクテルが並ぶ。
もちろんおつまみにも地元のものが多くある。
森さん自身が生産者をまわり、メニューに取り入れている。

カクテルはわかりやすく写真つき。
初めて来た人も安心して利用できる。

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他県の人も地元の人も分け隔てなく利用できるのは
森さんの柔らかく気さくな雰囲気と、心遣いからだろう。

カクテルがコミュニケーションツールとなり
他県の人と地元の人が盛り上がることも。

“カクテルっていろんな可能性があると思うんです。
だからこれからもいろいろなカクテルを作りたいです”

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≪プロフィール≫
森俊­文
BACARDI MARTINI GRAND PRIX優勝
同イタリア世界大会 日本代表
スコッチ文化研究所 会員
ANFA静岡ブロック所属

BAR THE PINE(バー・ザ・パイン)
OPEN 17:00~2:00
定休日:日曜日

沼津市高島町7-2ホテルミワ2F
TEL:055-922-2377

きつねの嫁入り行列

昭和32、3年頃
あげつち商店街はかつて上土センター街と呼ばれていた。

ものがない時代。
その中で上土センター街は活気にあふれていた。
その中で、街の若い男性がきつねのお面をかぶり
御殿場、富士、そして伊豆までを
その当時珍しかったバイクやオープンカーを走らせ
セールやお歳暮の宣伝をして回っていた。

狐の嫁入り

そんなユニークなこともやってきた上土(あげつち)。
あげつち商店街と名前をかえた今。
5年前から新しいイベントが始まった。

上土(あげつち)にある由緒正しい上土朝日神社と
毎月15日に開催しているいなり市、
そして50年前の出来事を合体させて出てきた案。
それが“きつねの嫁入り”である。

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我入道から渡し船で花嫁がやってくる。
上土で待つお婿さん。
二人は出会い、上土朝日神社の前で結婚式を行う。
そして人力車に乗り街中をまわり皆に祝福される。

お嫁さんもお婿さんも行列に参加する人も
みんなきつねのメイク。

記念すべき第一回目。
このイベントの実行委員長で紳士服店ノーブルを営む内田さんはこう振り返る。

“一回目は2月14日に行われた。
寒さも厳しく、西風が強かったがこの時ばかりはぴたっと風が止み、
とてもいい天気になるという不思議なことが起きたよ。
そして、川を渡し船に乗ってくるお嫁さんはそれはもう本当にきれいだった。”

最初は商店街のメンバー20人くらいでやろうといっていたが
周りの人の協力もあり、子供会の子供たちも参加し200人近い参列者。
新聞など各メディアにも取り上げられるほどの好評で終わり、
今年は5回目の開催となる。

このきつねの嫁入りのすごいところは
ただみんながきつねのメイクをしてお嫁さんが川をわたってくるからだけではない。

本当に結婚するカップルを募集し、
本当に宮司さんを呼び、
結婚の儀式を行い町中で祝福する。

フィクションとノンフィクションのはざまに私たちが参加している
なんとも不思議なイベントなのである。

終了時にはケーキカットや撮影会、
いちばんきつねらしかったで賞、
写真コンテストなども行われる予定。

今年も10月6日(日)に行われる。
きつねのメイクをして参列したい人は
12時に集合。
メイクをして行列に参加できる。

きつねになって参加してもよし、
行列をながめるのもよし。
1年に一度、きつねの花嫁を祝福する。
川と街が不思議に包まれるのを味わってもらいたい。

去年の様子

キツネの嫁入り行列 沼津 2012 from REFS on Vimeo.

≪お問い合わせ≫
あげつち商店街振興組合
TEL:055-962-3812

緑をつなげる

Lot.n 店内の真ん中に立つ木。
カットされた木がいくつも重なり合い形を作っていく。
そこに数種類のグリーン。種類も形も色も違う植物が協調しあい素敵な空間を作り出す。
中にも入ることができ、小さな椅子とテーブル。
店内で販売しているベアードビールを片手に木の中でおしゃべりも。

この作品は函南で中村園芸を営む中村さんによって「大地からの愛」というテーマで作られた。

“植物を売って終わりではありません。売ってお客様の手に渡った時が始まりです。”
中村園芸のモットー。

根の付いた植物を販売する中村園芸では販売するときも販売した後も“何度でも”
グリーンアドバイザーの中村さんが質問に答えるという。

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根の付いた植物は手をかけて育ててあげないと死んでしまう。
だけどどう育てていいかわからない、枯らしてしまって残念に思うことがある人も多いのではないだろうか。
そこに愛着をもって大切に育てることを教えてくれるのが中村さんなのだ。
中村さんの持つ専門的な技術をわかりやすく私たちに教えてくれる。

中村さんは洋物の植物を盆栽の技術と組み合わせることを得意としている。
それは“盆栽のバランスを使って植物を形作る”こと。
植物をただ植物として飾るのではなく空間を作り出す一部として手間暇をかける。
そうすることで自分の部屋の一部になり、愛着が湧く。自分だけの植物、自分だけの空間。

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中村園芸として、緑を販売する商人としての中村さんにはもう一つの顔がある。
植物を育てる技術は一見何をやっているかわからない。
そのことを“中村康宏”として個人を売ることで知ってもらう。

その一つとして“Green PeoPle”がある。
その都度テーマがありそのことを考えながら作品をつくっていく。
作品は中村さんのテーマへの感性、植物、会場とあいきわまって誰もが見入ってしまう。
中村さんは作品を生み出すために毎回何日も悩む。
そして毎回違う顔の作品が出来上がってくる。

“同じものは2つと作りたくない。”
2つとして同じものがない植物を扱う中村さんだからこそ。

中村園芸インタビュー

今回Lot.nの真ん中にも作品を作っていただいた。
中にはかわいい椅子が。
この中に入って時間を過ごすこともできる。

どうしてこの作品をつくったか。

Lot.nは町の中心となり人や物を結び付けていく。そのお店の幹を表しているそう。
“木の下ってみんな集まるじゃん。”
そう優しくおちゃめに答える中村さんの想いがLot.nに彩りを与えてくれている。

中村園芸
〒419-0124 静岡県田方郡函南町塚本575

営業時間 9:00~17:00
定休日
1月~3月 7月~9月は火曜日
4月~6月 10月~12月は無休
TEL:055-978-9424  FAX:055-978-1276

≪開催予定のイベント≫
2013年11月22日~25日
Green PeoPle vol.4 at cucurucu(三島市)
 

昼でも食べられる餃子

うなぎの名店、沼津うなよしで餃子が食べられる。
しかも沼津の特産“鯵”を使った餃子。

不思議だと思うが
半年前にデビューした“あじ餃子”はうなよしの代表するメニューの一つとなった。

そもそもなぜうなぎ屋で餃子なのだろうか。
沼津うなよしの大将、名古谷さんにお話しを聞いた。

「沼津の特産を活かせないか。と思ったのがきっかけです。
うなぎにはこだわらずにね。」

静岡県飲食業衛生同業組合の中ではじまったプロジェクト。

かつてアジによっても栄えた沼津。
そのアジに注目した。

ひものというイメージを一変してまずはつみれ団子をつくった。
さすがはプロ。とてもおいしくでき
ピーマンやしいたけに詰めて焼いたり、ハンバーグにしたり
いろいろ試行錯誤をしたうえにたどり着いたのが“餃子”だった。

なぜ”餃子”にたどり着いたのか。

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「味はもちろん、子供からお年寄りまで人気が高いのが餃子。
だけどお昼に食べるにはちょっと・・・ためらってしまうのが餃子。
だからお昼にも食べれる餃子にこだわりました。
私自身も餃子が大好きなのに昼に食べられないのをなんとかできないかとおもっていたんだ。」
と古谷さん。このあじ餃子を作ることで自身もより楽しめるようになった。
ニンニクなしでもしっかりとした満足感と、魚臭さがなく肉のようなジューシー感。
ヘルシーに仕上げる野菜。どれをとっても研究し尽くされている。
さらに、もうひとつのこだわりが“タレをつけないでも食べられる”ことだ。
ひとつひとつ手作りで丁寧に作られている。

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地域と経験をいいバランスで。
あじぎょんには地域を超えた良さが詰まっている。

ネーミングを募集したり、
イラストを従業員に書いてもらったりと
周りを巻き込んでできたこの餃子。

静岡県飲食業衛生同業組合に加盟している店舗で出されている。
沼津うなよしでつくられた餃子は沼津のいろんなところで食べられている。
加盟しているスナックでも人気メニュー。
アレンジバリエーションの多い餃子は冬は鍋に入れたりと
各々の店で工夫されているものおもしろい。

地域にあるお店としてジャンルを超えた活動。
一流のお店だからできること、
組合での協力や盛り上げ力。

今回、このあじ餃子のあじぎょんは
沼津自慢フェスタ2013に登場した。

さらに今回はうなぎライスボールフライも。
沼津うなよし秘伝のたれがしみ込んだおにぎりにはしっかりとウナギがはいっており、
崩れないようにパン粉をまぶして揚げてある。
はじめはコロッケのサクサク感、そしてあとからうな丼を食べているような
満腹メニューである。

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自慢できるものを提供したい。
だからこのためにいろいろな努力をしている。
うなぎ屋として街に対してできること。
それを全力でやっている。
ひと手間を惜しまない、街に対しての想いが伝わってきた。

「沼津で安心して食べられる店を目指していきたい」
とのこと。
きれいにしてある厨房からは見えないところからもまごごろが伝わる。

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沼津うなよし
AM11:00~2:30 PM4:30~8:30 火曜日休み
〒410-0822
下香貫樋ノ口1712-3
tel:055-931-2131

恩返しのうた

各メディアでもおなじみとなった
沼津ご当地ソングを歌うミュージシャン、飯田徳孝さん。

飯田さんの抜群の歌唱力とわすれられないメロディー、そして沼津港のいろんなものが含まれた歌詞。
この絶妙なバランスがたまらない。
ニュースからお笑い番組まで全国のメディアに取り上げられ今や全国区。
各地から飯田さん目当てに沼津港に来る人もいるほどの人気ぶりだ。

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飯田さんは昔、ミュージシャンを目指していた頃もあったが
うまくはいかず会社員として働いていた。

転職した先が、ここ沼津魚仲買共同組合。

沼津魚仲買協同組合は沼津港の仲買人が中心となりできた組織。
組合事業として、保冷容器の開発・供給、冷蔵庫保管、トラック輸送協約等を行い、
仲買人の流通業務を支えている。
また、新鮮館や旬彩街など沼津港を中心とした港湾再開発プロジェクト等にも積極的に取り組んでいる。
ここで経理として働く飯田さん。
だが経理だけにとどまらない。

魚のことなど何も知らない飯田さんに
色々と親切に教えてくれたのが組合や商店街のみなさん。
温かく迎えてくれたみなさんとのつながりを大切に、
そして恩返ししたいという気持ちが
得意の「音楽」と結びつき、ご当地ソングが生まれた。

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一番最初にできた、「BIG BOX~沼津ひものの歌~」は
当初ひもの屋にたえずおいていたそうだ。
干物と一緒にCDをプレゼントしていた。
喜んでくれる人もいたが、そうでない人もいたそう。
だけど、自分には歌しかないと頑張って続けてた。

今も変わらず店先においてある。
ご飯やお土産を買った後、通りかかった時
自由に持ち帰れるように。
さらに、隅々まで沼津港を楽しんでもらいたい
その想いから、今は旬彩街の各店においてある。

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配布しているCDは
すべて飯田さんの手作業。
1枚1枚音源を入れたCD、コンビニのコピーで印刷したジャケット、
歌詞カードまで自らホッチキスでとめている。
これほどにも手間暇をかけてつくられたCDからは飯田さんの熱い思いが伝わってくる。

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少しでも気軽に、得した気分でお土産にしてほしい。という気持ちで
今までずっと無料で配ってきたCD。
現在はベスト盤が店先に並ぶ。
こちらももちろん無料。

「沼津だけが元気になるんじゃなくて、沼津から全国を元気にしたい。
なのでまだまだ歌います!」
と飯田さん。

今やいろいろなところから依頼もくるそう。
自分の夢をかなえながら、周りの人たちに支えられながら
飯田さんらしいこの町への恩返し。
これからも楽しみです。

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