Author Archives: 佐伯

ぬくもりをつくる~クリエート太陽~

愛鷹山の麓にクリエート太陽という場所がある。

障がいを持つ方たちが働く喜びを感じ、働く意欲を持ち、労働習慣を身につけて
生き生きと充実した地域生活が送れるよう支援する場所だ。

今ここでは20歳から58歳まで幅広い年齢の方が、
知的障がいや就労が難しくなってしまった方など様々な理由でここに通っている。

施設の中に入ると、木のいい香りが広がる。
檜の香はなんとも心地よく、自然のアロマだ。
ここでは愛鷹山などで伐採された木を使用してプロダクトを制作している。
実際に利用者と一緒に間伐材をもらいに行く。

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その木を乾かして使えるようになるまでは1年半~2年半かかる。
また、市内の建材会社さんから廃材を譲り受けている。

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これらを加工し椅子やテーブル、マグネットからブランコまで色々なものを作る。

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ロットンでも販売しているこの椅子は組み立てるところから仕上げるところまで約2週間かかるそう。

木を加工する作業はいろいろな工程がある。
木を切る補助、ひたすら磨く、小さな穴をあける、形にあわせて切る。
一人ひとりの力量によって作業を決めていき、
皆の力を合わせて完成させる。

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長年勤めるとより高度な技も出来てくる。

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壁にあるのは本人たちの目標。
日常のことだったり、就職のことだったり。
そうした中で、作業を通して“働く”ことだったり“生活”することを学んでいく。

“私たちがやっていることはかっこいいものを作りだすのではなく、
木のぬくもりを大切に、時間をもってどれだけ関われるかなんです”
そう答えるのは施設長榊原さん。

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実際に丁寧にゆっくりと時間をかけて何度も何度も
職員と利用者とで確かめながら作りあげていく。

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単純作業かもしれない。
ある人にとっては単純は同じことを繰り返すだけかもしれない。

けれど、彼らは同じ作業に同じだけ、同じ丁寧な気持ちで臨める。
その特技と時間が木にぬくもりを与える。

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時間をかけただけ、
彼らの作業、つまり丁寧さが詰まっている。
決して納期が早いわけではないが
その時間も楽しんで、今彼らが育ててくれているプロダクトを心待ちにする時間は
自分自身の時間=生活にもぬくもりを与えてくれるだろう。

そんなぬくもりをロットンでも体感出来る。
クリエート太陽で作られた椅子や雑貨、そしてブランコなどの製品を1月中旬から展示、一部を販売している。

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ぬくもりのある製品を自分の目と手で感じてほしい。

≪クリエート太陽≫
TEL:055-923-7917
http://www.a-taiyou.jp/03_shisetsu/taiyo.htm

移りゆく沼津の街中で使命を果たす~松浦酒店~

約70年近く続く酒屋、松浦酒店。
駅から歩いてくるとマンションの1階にある。
時代の流れとともに街の風景は変わる中、
松浦酒店は同じこの場所で沼津の街を守っている。

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地元の酒蔵やブルワリーとの信頼関係も強くベアードビールや髙嶋酒造など地酒も豊富だ。
ベアードビールは季節限定ビールも含め種類も豊富。
白隠正宗もワンカップからあるのでちょっとしたお土産にもぴったり。

松浦酒店の70年の歴史は沼津の歴史を反映している。
実は最初の何年かはかつての沼津の繁華街、千本浜に近い八幡町にあった。
駅が動くとともに一緒に店を移動させて今の場所に。
そして長崎屋というデパートが現在のこの場所にできることになった。
そんな事で松浦酒店は長崎屋の中で営業する時期もあった。

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そして街中から相次ぐ大型店舗の撤退。
長崎屋もなくなり、跡地にマンションが建つ事になり三園橋近くの平町の倉庫で仮店舗を構えた。

少し離れたところに仮店舗を持つことはお客さんの流れも変わってしまう。
だが、その間もお客さんとつながってた。
長崎屋時代、松浦酒店には販売部門とコップ酒部門、いわゆる気軽に飲める居酒屋があったのだ。
“昔からのお客さんもたくさんいる。それも多くは酒屋じゃなくて居酒屋で飲んだ思い出。
酔っぱらった楽しい思い出よ”

4年後、マンションができると今度はこのマンションの1階に。そして今に至る。

そんな時代を沼津の街中と一緒に駆け抜けてきた松浦酒店。
もともとコップ部門があった松浦酒店。
皆でお酒をおいしく飲む場、おいしいお酒を知ってもらう場としてコップ部門を復活させたいと、
3代目の青木元美さんは
イベントを3年前より不定期に開催するようになった。

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レストランを貸り、料理を出してもらうことも。
お酒は松浦酒店の選りすぐりのお酒を飲み放題で。
多いときで60人集まる。

それだけではない。
地域で行われるイベントに合わせ、ゆるりと店内や店舗前でちょっとした角打ち(かくうち )的なイベントも。
そんなことで沼津ナイトマーケットにも参加。

イベントに参加した人がまたお店に来たり、
店先で飲んでいるときは新しい人が飛び入りで参加したり
今までの常連さんや新しい人たちが緩やかにお酒でつながり
お酒をおいしく飲んでいる。

さらに酒屋でお酒を買うならではのうれしいこと。
例えばホームパーティー。

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どのくらい必要かちょっと不安な時は相談に乗ってくれる。
更にラベルが汚れたりしない限り返品可能。
そのほか、もちろんギフト用にラッピングも行っている。
おいしいお酒を飲むためのサポートはばっちりなのだ。

“お酒をおいしく飲んでもらう。
それが酒屋の使命”
そう笑顔で答える青木さん。
時代が変わっても松浦酒店の使命はシンプルだ。

お酒を楽しむだけではなく、
酒屋でお酒を買うことも楽しみの一つになる。

≪松浦酒店≫
沼津市大手町3-9-1
TEL:055-962-0538
http://www.11sake.com/


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伊豆縦貫自動車道開通パレードと沼津の奇祭

国土交通省が進める東駿河湾環状道路の三島塚原―函南塚本の6.8kmが2月11日に開通した。
これで東名から修善寺付近まで約33キロが一本に結ばれた。

高速地図

これからさらに、下田まで道路は伸び、この道路を総称し伊豆縦貫道路と呼ぶ。
この道によってどのような効果が地域にはあるのだろうか。

地元の生活向上、観光客へのアプローチ、企業の物流の効率化。

この道路への様々な人の希望も込められ、函南町文化センターで国や県、沿線市町の関係者ら約550人が出席するで式典が開かれた。

その後道路へ移り各市町村のパレードが行われ、車にデコレーションや、ゆるキャラと来賓がトラックの荷台から手を振ったり“車でのパレード”。

沼津市も参加した
この企画を任されたのは沼津市役所観光交流課の平田さん。
1ヶ月弱という短い期間の中で最大限“沼津”をアピールすることを考えた。
そこに同部署の荻野さんが加わり二人のプロジェクトは進む。

今回は4月4日に毎年行われる、沼津の奇祭“大瀬まつり”を再現することに。
このお祭りは、内浦港と大瀬崎で行われる。
東名を降りこの道路を使い、伊豆長岡インターで降りて、会場の内浦や大瀬崎に行ける。

大瀬祭りは毎年4月4日は駿河湾の漁師の信仰を一身に集める大瀬神社の例大祭。
この祭りの最大の見どころは、女装した青年達が華やかに飾り付けられた漁船の上で繰り広げる
「勇み踊り」「♪チャンチャラおかしー、チャンチャラおかしー」のお囃子(はやし)に合わせ、
踊りながら大瀬崎の大瀬神社に参拝。
奇抜なメイクと、その今にも落ちそうになりながら踊る姿を一目カメラに収めようとする人も多い。

休日出を勤し、集められた市役所職員15名。
全員男性だ。

今回のパレードも車の中から全員が女装をし踊った。
ちなみに、バスの装飾30分。
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メイクと踊りのリハーサルに1時間かかった。

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ほかの地域の人や関係者がびっくりしながら横を通っていく。
奇祭の世界観に突き進む職員たち。
なんだかかっこいい。

そしていよいよパレード。人々が見守る中、踊りながら歌いながら大いにアピールをした。
その時間およそ30秒!

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まさかの短い時間に驚いたが一瞬にかける情熱はどこよりも強かったのではないだろうか。
いつも沼津は全力だ。

準備に時間がかかったので、片付けも時間がかかった。
市役所の作業着に着替え片付けをするメンバー。顔はそのままに。

“なんにでも一生懸命”な沼津市役所職員。“楽しもう”という気持ち、アピールしようという気持ちを自分たちに考え、実行する。
ゆるきゃらにも負けない、癒しと地域の魅力を具体的にアピールしていた。

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今年の4月4日(金)に内浦漁港で大瀬まつりが開催される。
本物の大瀬まつりは今回以上に迫力がある。
もちろん市の職員も参加。

ぜひ本物を見て、奇祭を体感してもらいたい。
お祭りの帰りは同じ道路を戻るのではなく、海沿いのカフェで春霞の富士山と駿河湾を眺めたり、香貫山の桜を眺めながら沼津の街を楽しむのもおすすめだ。

様々な場所にアクセスがしやすくなった伊豆。
魅力的な場所やイベントの情報をうまく入手し、伊豆の中央を走る縦貫道を有効に使い点と点を結ぶと多様な旅ができるはずだ。
そして、地元ではしっかりと点と点を結ぶ線を意識し魅力を発信することがより重要になりそうだ。

 

≪大瀬祭り≫
4月4日(金)
http://www.osezaki.jp/osematuri.html

ふたつの顔を持って街をあたたかくする~六軒町~

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昔、沼津の新仲店商店街を越えると六軒お店があり
活気にあふれていたという話があった。
今でもタクシーを呼ぶときに“六軒町”というそうだ。

その話をオーナーが聞いて
またその活気を取り戻したいと昨年オープンしたお店がある。
その名も“六軒町”

何年も空いていた物件を借り
通りに明るい雰囲気を作り出した。

六軒町は夕方17時まではおにぎり専門店、
夜はお刺身や天ぷらなど和食がメインの居酒屋となる。

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昼と夜の顔は一転、
同期の昼間の店長井口さんと夜の店長真野さんは親子ほど年が離れているが
仲が良く、時間帯が違い会うことも少ないのだがお互いをフォローし合っているそう。

昼間のおにぎり専門店はなかなか珍しい。
お米もお米屋さんに相談し一番おにぎりに合うものを、
そしてガスのお釜で炊き上げ、保温にも注意を払っている。
お持ち帰り用ののりはぱりぱりになるように巻かないという徹底ぶり。

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メニューも約30種類。
中には塩からバターなど珍しい具も。
全部試したくなるような具はオーナー自ら色々な店を周りおにぎりを食べ
試作を繰り返し考えたもの。

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オーナーの山田さん、
おにぎりという日本のソウルフードを選んだ理由。
“おいしいおにぎりを食べるとほっこり幸せな気分になるじゃないですか”
シンプルだけどとっても優しい答え。

コンビニにはない、だれが握ったかわかるおにぎりは安心感がある。

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さらに
プラス200円でお惣菜をセットにできる。
味噌汁やお漬物、小鉢がつく。
スタッフには主婦の方が多く、メニューもみなさんで考えて作るそう。
家庭のあたたかな味が楽しめる。

スタッフの人数も多めなのだが
主婦が多い職場。お子さんや家庭で何かあった時にみんなでシフトを回していけるようにしています。
それもスタッフにお任せ。

女性オーナーならではの気配り。
おにぎりを握る手はいるもあたたかい。

そして夜。
沼津のレストランで料理長を務めていた真野さんが
本格的な和食を提供。

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奥の座敷はゆっくりとくつろいでもらえるように1日1組、時間制限なし。
おいしい料理をリーズナブルな価格で気軽に楽しんでもらいたいとのこと。
バリエーション豊かなメニューはただ今考案中。
ゆっくりと仲間たちと楽しむ空間はまた昼とは違うあたたかさを持つ。

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昼夜、二つの顔を持つお店“六軒町”
そして昼も夜もこの通りを明るく照らす。

≪六軒町≫
沼津市町方町35 鈴佐本店ビル1F
TEL:055-963-8839


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photo by chiye

食堂からカフェに想いをつなげて~Cafe&Gallery Fran~

沼津駅北口から徒歩5分。
ビルの2階。
エレベータを降りると真っ白な廊下が現れる。
どこか昔懐かしい学校の廊下のよう。

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中に入ると奥にギャラリー、
真ん中に雑貨、そして窓側にカフェスペースが広がる。

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真っ白な壁にコンクリートの床。そこにあたたかな明るい木の家具が並ぶ。
窓から差し込む光も心地よい。
まるで北欧のカフェに来たような錯覚に陥る。

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机の上には小さな花がそれぞれ置いてあり、
床にドライフラワーや動物の置物、壁には絵。
気付きにくいところまできめ細やかさが光る。

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ここは、2人の姉妹が運営している。
両親の持っていたビル。
証券会社が入っていたのだが退去した。
そのスペースがもったいない。
空きスペースの有効活用にギャラリーをやってみようということになり、
それだったらお茶をするスペースも!ということで今の形になった。
ただの雑多な事務所は素敵な場所へ。

3つの顔を持つお店。
もともと雑貨が好きだった姉の加藤睦美さんが雑貨や洋服などをセレクト。
妹の今野智子さんはコーヒー修行に出た。
妹の智子さんにお話しを伺った。

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ここはお茶だけでなくランチやカレー、パスタなどのご飯を楽しむこともできる。
おいしいものだけを出したい。グルメなお二人、素材にもこだわり
パスタは淡路島のものを使用している。

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というのも実はここでご両親が40数年食堂をやっていたのだ。
70歳近くになり両親は引退した。
その姿を見て育った二人。
“ちょっとカフェごはんって感じよりも定食に近いのかしらね”
と。ボリューム満点で、しっかりとした味はオシャレな空間と相まってほっと癒される。
今もお母さんも一緒にキッチンに立っている。
お母さんのこだわりがちゃんと引きがれた味は
若い人からご年配の方まで引き付ける。

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それまではそれぞれお堅いところで仕事をしてた。
“楽しいことを好きなことを仕事にしてみたいと思ったの
 母は料理が好き。その仕事をしてる姿をずっと見てたから。
 大好きなことを仕事にできることは幸せ、もちろんそれには努力も必要だけどね”

取材に行ったこの日はちょうど智子さんは雑貨の買い付けに出ていた。

“ここって決まりがないのでなんでも対応がきくのがいいところかな”

だからいろいろな人とつ繋がってお店ができていっている。
ギャラリーで個展が開かれかれたり、
その中で、お店に作品を置くようになったり
お客さんの提案で新しい企画が出来たりするそう。

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12月にオープンしたばかりのCafe&Gallery Fran。
未来はどうなるのか、誰もがその一つのつながりになれるような場所だった。

≪Cafe&Gallery Fran≫
沼津市高島町3-4 加藤ビル2F
TEL:055-941-7338
http://fran0511.jimdo.com/


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絵が教えてくれた自然の美しさ~ギャラリー木耳~

焼き肉やの看板の横にもう一つ
ギャラリーの看板がある。

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何ともアンバランスな看板の先を覗くと無数の絵が並ぶ。
張り紙を見るとどうやらこちらは入口ではないようだ。

店の横の狭い通路を覗くと“ここから”という文字が見える。

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その文字に導かれ進むと普通の玄関が。
チャイムを鳴らしてみたが壊れているようなので
おそるおそる開けてみる。
すると奥から人が出てきた。
拍子抜けするほど明るく迎えてくれた。

どんな人が出てくるのだろうと身構えていたのでほっとした。
このギャラリー木耳の画家、本田照男さんだ。
室内には沢山の絵と画材が所狭しと置いてある。

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もともと焼き肉店だった店内の一部なので
換気扇カバーがついたまま。

友人が送ってくれた画集をきっかけに
60歳になって急にどうしても絵を描きたくなり
焼き肉店を辞めた。

そこから8年間、365日絵を描き続けている。
細いペンを中心に、アクリル絵の具、油絵具、そして鉛筆やパステルなど子供も使うような画材を使い

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細かい線が特徴の絵を多く書く。
モチーフは自然が多い。富士山も多く描かれていた。

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“人は生きていると不安やつらいこともあります。でも私は絵を描くと心が落ち着き静かになる。
 そうすると絵を描く対象をじっと見る。昆虫の模様の美しさ、山々の壮大さなど自然ってすごいな~と思う。
 それが楽しい”

絵を描くことで季節の移ろいを敏感に感じることが出来る。
43年間続いた焼肉店。
沢山の人に支えられ人気店だったそう。
今もまだ間違えて予約の電話が来るほど。
その看板とともに新しい視野が広がる画家活動。

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繊細で、でも力強く、カラフルな色が心を躍らせる本田さんの絵は
恵まれた自然がある沼津にいることを教えてくれる。

“ここ”というランプが光っている日はアトリエにお邪魔することができる。
もちろん絵の購入も出来るそうなので気になる絵があったら相談してみるとよい。

嵐の日は嵐の日らしく美しい。
春の日は春の日らしく美しい。

60歳から始めた絵は歳なんて関係なく
来る日も来る日も発見し、敏感に美しさを感じている。

≪ギャラリー木耳≫
沼津市旭町42-6
TEL:055-962-9800


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川を眺めながら心地よい音を愉しむ日~THE BLUE WATER~

窓の外には流れる川。
そこには気持ちよい風が流れる。
その川に面するように“ブルーウォーター”というお店がある。

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オーナーの天野さんは
新卒で洋服屋で働きはじめた。
今でいうセレクトショップのようなお店。
とてもよく売れる店だった。だが、お客さんたちからこんな声を聞くようになる。

“たくさん買うのはいいけれど着て行くところがない”

服は人を意識するところから始まる。

それから月一で近くの飲食店を借りパーティーを開く事にした。
ネクタイやジャケットなどドレスコードを決めて。

そんな時、毎回場所を探してやるのではなく新しいお店を作ろうということになった。
だったら、飲食店もやってしまおう!
ライフスタイルを提案する場をつくっていくことに。

その決意から会社を辞め飲食店にノウハウを学びに修行に出た。
そして1年後、仲間とカフェとアパレルを融合した店をオープンさせたのだ。
今でこそカフェとアパレルや雑貨が同じ場所にあるスタイルはなじみがあるが
その当時はそんな店はなかった。

そんな中、シェフは雇っていたのだが
ある日突然シェフが来なかった。
だが予約は入ってるし、お店を開ける限りお客さんは来てしまう。
そこで天野さんがメインでキッチンを担当することになる。
飲食店に修行に出たとはいえコックになるためではない。

その時に、魚屋に魚のさばき方を習いに行ったり、八百屋に野菜のことを聞きに行ったりした。
そうして2年くらいがったたのだが、もともとコックになりたかったわけじゃないということで、その店から離れ自分の店を創る決意を持つ。

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最初は飲食店から、そしてそのうち物販をしようと決めていた。
店舗を探すとき、一番大事することを“環境”と決めた。
普通だったら人通りや設備などを第一優先にするかもしれない。

そうではなく“自分の家を探すような感覚”で。

一瞬いる場所ならいい。でも長居をする場所だからこそ気持ちの良い空間でありたい。
だから何よりも窓から見える景色など環境を重視した。

場所探しは神奈川を中心に1年以上かけた。
なかなか見つからない中、親戚の紹介で今の物件を紹介された。
沼津もあんまりピンとこないし、親戚の紹介だし、でもとりあえず見ることに。
案の定、建物はボロボロ、天井は低いは階段は錆びている。
だが、中に入っていくと大きな窓の外に川がドーンと。
その景色を見た瞬間“ここでやってみよう”と思ったそう。

狩野川のようにゆらゆらと水が湛えている川は数少ない。

川が見え、空が抜ける。
マーケティングは一切しなかった。
地元の人たちがその良さを共感してくれなかったら辞めよう。
そうして、15年前ブルーウォーターが出来上がった。

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名前の由来は、沼津の川の近くで店を構えたからではない。
身近にある自然で子供が覚えられる英単語にしたかったそう。
水辺で、ブルーにイルミネーションされた川のほとりに店を構えることになったのは素敵な偶然だ。

ブルーウォータは、家具や人そしてモノが出来るだけシンプルな内装から始まった。
15年経つ今では数多くの商品やおいしい料理、そして働くスタッフの皆さんで彩られている。

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その中でひときわ目立つ木がある。
夏の間は窓を開けている。
正直暑い。だが風はある。
夏らしい空気感と時折涼しく癒してくれる風を感じれる。
風は何かがなければ見えない。
葉っぱが揺れることで風は見えるようになる。
“何かを置くと見えるようになる。そういう発想が好きなんだ。
人もそうでしょう。自分だけで頑張るよりほかの人と協力したりすることでその人の功績が見えてきたり”

風、そして川、山の景色。
それはぼーっとすることを許してくれる。
本を読むでもなく、心地よいBGMとともに。

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ブルーウォーターでは12年前から毎月ライブを開催している。
心地よい生活に必要な条件。
それは“おいしいもの” “人” “モノ”
そして“いい音楽”。

その音楽を天野さんセレクトで全国から呼んでいる。
評判や下調べは必要ない“心地よさ”が約束された音楽だ。
東京でもなかなかチケットの取れないアーティストも来る。
天野さんの人脈や今までの経験、そしてなんといってもこの“場所”
に素敵なアーティストや作品が今月も集まる。

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5/9(金) ライブLaika came back open19時start20時¥3500
10(土) 映画:Canta!timor上映会 open19時 start20時¥2000
11(日) ライブ:オグルスノリヒデ open19時 start20時¥3500

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『かけがえのない時間に、「今度」や「また」や「そのうち」はないと思います。
新しい価値体系や新しい目線を手に入れることが、日々の充実感や充足感を作るんだと信じています。
少しだけ手を伸ばす、少しだけ踏み出す。
そんな行為の先に、未来を作るピースが待ってると思います。』
と天野さんは今回のライブに想いを持たれていた。

こんなにも恵まれた場所だから
こんなにも自分を大切にする時間があってもいいような気がした。
それはブルーウォーターという場所が教えてくれる。
“未知の未体験のものも取り入れようとする勇気を身に着けてもらいたい”
川を眺めながら、おいしい食事と音楽を聴きに行く日が
生活の一部になるともっと自分の生活に愛着を持てるかもしれない。

≪THE BULE WATER≫
沼津市魚町15
TEL:055-951-0001
http://www.the-bluewater.co.jp/


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phot by cyie kawakami

豊かな人生の一部に~沼津フィッシュマーケット タップルーム~

沼津の港の目の前に“タップルーム”というところがある。
一歩中に足を踏み入れるとそこは
海外のフィッシャーマンマーケットにあるブルワリーパブだ。
オーナー自らも手を動かし作った店内は
レンガをモチーフにした壁に、
木を活かしたテーブル。
外を眺めるように大きな窓。
魚市場を眺める事ができる。

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そこに並べられているのはミャンマーの農工具をリメイクしたスツールで同じものは一つとしてない。

カウンターでクラフトビールを選んで購入し、
席に着く。
すべてキャッシュオン。
常時約15種類のビールが並ぶ。

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そこには季節限定も。
現在の限定は「大工さんのみかんエール(アルコール度数 6%)」
フルーティーな香りが口に広がる。
実はベアードビールでは季節限定で数えきれないほどのフルーツエールがある。
みかんをはじめ、ビワ、いちぢく、ブルーべりー、いちごなどなど。
どれも地元のものや、つながりのある人のこだわりのフルーツたちを使っている。
その一番最初に作ったフルーツエールが戸田の大工さんがもってきてくれたみかんを使った
「大工さんのみかんエール(アルコール度数 6%)」なのだ。
以来12年間、毎年この季節に現れる歴史ある季節限定ビールなのだ。
12年前の出来事、
“にこにこしながらね、戸田の大工さんが自分ちで取れたみかんを持ってきてくれたの。
 これビールにならないかな?って”
そう語るのはベアードさゆりさん。

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この大切なみかんをブルワーの皆で皮の表皮だけをピーラで剥き、
手絞りで果汁を絞っていく。
こうしないとえぐみが出てしまうのだ。

ベアードビールはこうした丁寧な作業の上で成り立っている。
そんなビールに惚れてたくさんの人がこのタップルームには来る。

ベアードビールは現在、修善寺の工場で作られているが、当初このタップルームの奥で日本一小さなブルワリーとしてビールの製造を始めた。

開店当初から、禁煙。
ビールは冷たくないし、今までの日本のビールとはちがう味。駅からもちょっと距離がある。

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当時はダメと言われることをやってきた。
だから最初の4年くらいはまったく相手にされなかった。
それでも、自分たちが好きで自信が持てるものを作り、
そして想いを伝え続けたら、次第に常連さんが出来、
その常連さんが人を紹介していった。
想いが詰まったビールは大切な人にしか教えたくない。
そんな連鎖もあってタップルームには面白い人が集まるという。

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そして、カンパニーの皆の気持ちがこもっているからか、
恋人に出会ったり、告白が成功したり、結婚したりとうれしい出来事もあるそう。
“ある人に豊かな人生の一部になったらうれしいな
 そして人生に厚みをもたせられたら。そういう役目をベアードビールができたらと思っています”
おいしいビールは人生も豊かにする。

ベアード ブライアンさんが言った。
“ここはあんまり会社じゃないんだよ、好きな人と好きなことをやる。好きな人と協力してね”

“好き”が詰まった空間は、自然に心が豊かになり
おいしいビールがさらに手助けをしてくれる。

そこにはもう一人の、マネージングパートナーのジョン チェセンさん。
実はブライアンさんとジョンさんはワシントンの大学院時代から続く親友なのだ。

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(左がジョン チェセンさん 右がベアード ブライアンさん )

そこで出会って10日もしないうちに飲みにいったそう。
しかも、ワシントンで有数のビールバーに。
“もしかするとブライアンはビールの仕事に就くってその時感じていたのかもね。
 僕は想像もしてなかったけど”
とジョンさんはおちゃめに話した。

その大学院で二人とも日本のことを勉強していた。
卒業後、別々に日本で仕事をしていたが
ブライアンさんがビールの製造を始めた時、ジョンさんは資金をだして応援をした。
ブライアンさんとさゆりさんの情熱をジョンさんが受け止め更なる成功へ導いた。

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始めは沼津と東京を行き来していたそうだが、
3年前正式にカンパニーの一員になり沼津へ移住。
21年。今でも一緒にビールを飲み語らう。
時に真剣に、時に笑いあう。
三人の様子は20年経っても変わらない。

ベアードビールを作る人自身も豊かな生活や素敵な仲間といるからこそ。
一人でも、国籍も年齢も関係なくおいしいビールがあれば楽しめる。
そんな場所なのだ。

≪沼津フィッシュマーケットタップルーム≫
沼津市千本港町19-4
TEL:055-963-2628


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若い力で繋いでいく沼津のぐり茶~五十鈴園~

あまり知られていないが沼津は全国でも有数のぐり茶工場が密集している地域だ。

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ぐり茶は、一般的な煎茶と違い荒茶製造工程で茶葉を傷めることなく 「ぐりぐり」とした丸みのある形が仕上げるために、
フォークや歯ざらいなどは無く、優しく茶葉を傷めることなく風と熱風を送り乾燥させる。

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そのためお茶の成分が浸出しやすく、「甘さ」と「まろやかさ」と「味の濃さ」が、口の中に残り柔らかく広がるとても美味しいお茶だ。
更に、ぐり茶は蒸す時間を煎茶の2倍から3倍にすることにより、豊富なミネラルなど健康には欠かせない成分を、
急須に注いでから短時間で取り出すことができる。

手に届く価格帯のぐり茶。
独特の手法で作られたくるんとまるまった茶葉は熱いお湯を注いでもおいしく出すことができるし、
3煎、4煎目までおいしくいただくことが出来る。

このぐり茶を専門としている五十鈴園の代表を務めるのが鈴木崇史さん。
若干25歳の鈴木さんは今年でお茶作りを初めて3年目だそう。

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今はお茶のオフシーズン。
だが毎日畑に行って整備をしているそう。

大学は工学部に進学。
お茶の機械については多少分かることもあるそうだが
お茶づくりについては何もわからなかった。

そんな鈴木さんがこのぐり茶園に携わる事になった理由。

そこには最愛の父の死があったそう。
両親は3人の息子に自由に好きなことをして継ぐことにするかどうかも自分で決めていいよと言っていたそう。
そのため三男である鈴木さんも家を継ぐことは考えず進学をし、就職をしようとしていた。
だが突然の不幸。
その時、祖父や父が守ってきたものを見つめなおし、
このままなくなってしまうのは嫌だと思い、就職はせず実家に戻ることにした。
父が亡くなる前日、たまたま畑を手伝っており一緒に茶葉に触れ合っていた。
今、父のいない畑で一生懸命、周りの人たちに教わりながら、そして助けてもらいながら5.5丁もある畑でぐり茶を作っている。

農業離れがすすむ中、2代目、3代目としての役割を果たそうと、
農業へ若者が入りやすくするため色々な取り組みを始めた。

その1つとしてスタッフの採用は自分のホームページ上で行った。
求人サイトはお金がかかるからということもあったが
それ以上に自分の言葉で人を集めることにした。
そのかいあって、頼もしいスタッフが入った。
星さんだ。

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星さんは山小屋で働いていたり、海外を旅していたりとアグレッシブな方だ。
四国か靜岡に移住したい、そして農業をしたいという気持ちがあったそう。
そんな中、五十鈴園を見つけ、靜岡に移住することにした。
実際やってみて思っていたよりも重作業が多くびっくりしたそう。

そして、五十鈴園ではお茶を作る過程、そして工場を持っているの加工、さらには車にお茶っ葉を積んで全国へと売りに歩くところまで
鈴木さんを中心に星のサポートの元、みんなで力を合わせて取り組んでいる。

茶摘みの忙しい時期には仲間たちが手伝いに来る。
同年代の若い人たちが茶摘みをする風景はなんも清々しい。
自分たちが見える世界を、お茶の世界を記録に残し、伝えるべく
映像作りの準備もしているそう。
やっている人だからわかる目線。

”自分の場所で繋がりが出来てくることが嬉しいんです。
 僕は農業がカッコイイものだと思ってなかった。でもやってみるとつらいけど楽しい。
 同世代や若い人たちがやってみたいなと思うようなことをやっていきたいです”
と鈴木さん。

お茶も急須にお茶っ葉を入れて2煎、3煎と飲むことも減ってきている中、
家庭でも手に取りやすいお茶を作るように広い面積でたくさんのお茶を作っている。
ご飯の時、お菓子を食べる時、喉を潤す時など様々なときに活躍するぐり茶。
お茶を淹れる時間が守られるのも次世代の力にもかかっている。

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そんな頼もしい笑顔がこのぐり茶にはある。

《五十鈴園》
沼津市東原491
TEL:055-966-1975
http://guricha-isuzuen.jp/


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ランドネ佐々木編集長×国交省大儀所長~トークライブレポート~

1月のスペシャルトークライブはなんと人気山雑誌、ランドネ編集長と私たちの暮らしを守る国土交通省沼津河川国道事務所所長の対談だった。
「山と川の魅力を知ろう!地域がもっと楽しくなる」
普段、お二人に会う機会もめったにないだろうし、このお二人が対談することもなかなかないだろう。
約30名の方に参加して頂いた。

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狩野川活用研究会メンバーの沼津ジャーナル編集長、小松がナビゲーターとなり、3人の知識や経験をもとに参加した全員で地域をもっと楽しむための話で盛り上がった。
そして、今回は立場をあまり意識せずお話しして頂く事に。
なのでもちろん呼び方も編集長や所長ではなく、「●●さん」とさせて頂いた。

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【お二人のこと】
はじめにお二人のバックグラウンドを簡単に説明して頂いた。

千葉県出身の大儀さんは学生時代に山岳サイクリング部に入っていた。
奥多摩などマウンテンバイクを担いで山に登っては下りる。
長期の休みは自転車に乗って旅するサークルで地方を回った。
その時、様々な道や川を見て
“国造り”に興味を持ち、そして建設省に入省した。

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一方、対照的なのが佐々木さん。沼津の隣、清水町出身。
中学時代は朗読部。文系を地で行くような学生で、文学が好きで出版社に入った。
フランスに取材に行った時、平日はバリバリ働いている女性が週末全然違う格好で登山に行く姿を見て、素敵だと思いそのことを社内で話したところ、ランドネの立ち上げを受ける事になってしまったそう。

ランドネという山雑誌は、これから山を始めたい方、始めてから3年目の方が楽しむ情報を発信している。
山での過ごし方をおしゃれに提案しており、今まで山に興味がなかった人にも楽しめる内容。

だがはじめは従来登山をしている人たちに山でスカートを履くなんて!などお叱りを受けたことも。
アウトドアは厳しい歴史のある世界。
言わんとすることはもっともだ。
愉しむのは安全の上に成り立っている。
ランドネは山以外の部分ファッションにもちゃんと光を当てており、本当に山を楽しみたい、始めたい、そういう人に支えられた。
だからこそ安全面をちゃんと伝えるようにしているそう。

また、驚いたことにランドネでは“山ガール”という言葉は使っていない。
一人歩きした言葉はやがて消費されてしまう、ブームにしたくないという思いがある。
ランドネの本来の目的である登山が盛り上がってほしいということを大切にしている証拠だ。

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【この地域の山のこと、川のこと】
佐々木さんは“沼津アルプス”に対して“ミニアルプス界のスター”だとおっしゃった。
都内からも、駅からも近く、海、そして富士山を眺めることが出来る。
さらには、麓に沼津港などおいしいもの沢山ある。

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参加者のある方が経験談を話してくれた。
沼津アルプスに行き、おばあさんに会いお話をすると、その方は名古屋から新幹線で来ていた。
地元の人間にとっては身近な山“なんでこんなところにそんなわざわざ?!“と思ったそう。
車のないおばあさんにとって駅の近くで富士山と海が見える沼津アルプスは大切な山だそう。
だからこそ地元の人には大切にしてほしいと言われた。
身近すぎて気づかない裏山にはだれもが羨む素敵な要素がいっぱいなのだ。

他県から来たからこそ分かること、それは大儀さんもだ。
全国各地、いろいろなところで業務をしてきた。沼津の前は長崎だったそう。
沼津に来て、沼津アルプスはもちろんのこと狩野川の良さにも感動した。
山と川が近く、上流から脈々ときれいな水が流れており、こんなにもきれいな一級河川は全国でも稀。

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だが、川には“近づくな危険”の看板。
大儀さんと同じ機関が建てた物だが、とてももったいない事だと感じたそう。

参加者の方から意見を聞くと、昔の狩野川を知る人もおり、原体験として狩野川で遊んだり、高校の部活でボート部のため狩野川が青春時代の生活の一部だったり、様々な思い出を思い出を持っていた。

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果たして、今の子供たちは?
昔の思い出も語れなくなってしまうとまったくそこは意味のない場所になってしまう。
子供にも川が楽しいと伝えていくことが、10年,20年後も地域の魅力にもつながるのではないだろうか。
楽しさを知るには、川の危険を知らなくてはならない。
だが川に触れなければ危険はわからない。

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【現在の取り組みのこと、これからのこと】
昨年から川に関わる取り組みが大きく始まった。

大儀さんは子供たちに川に親しんでもらうきっかけを作ろうと思い、沼津河川国道事務所では狩野川で生物調査やカヤックに乗るなどのイベントを行う狩野川わくわくクラブを始めた。

沼津市、国交省、商工会議所、そしてあげつち商店街で狩野川活用研究会を立ち上げ、来年度は協議会となる。
昨年から社会実験事業として、試験的に河川敷でリバーサイドカフェ、水辺のステージ、オープンテラス、BBQを行い、Lot.nでは体験カヤックを行った。

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イベントだけでなく、日常にどう返していくか。
イベントは入口、そこから日常に戻す出口をちゃんと作っていくことが大事だ。

大儀さんから“長崎さるく”という取組について紹介があった。
長崎の良さを味わうのは、まちを歩くのが一番。そのために観光地から路地裏までを街の皆で紹介するような取り組みだ。

まず、自分たちの地域の良さを知ること。
川のある街の魅力を地元目線の地図にしていこうという提案も。

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ランドネは、山登り初心者の方にもきっかけという入口を作り、さらにはもっとファンになってもらうためランドネ山大学などコミュニティーを作り出す。
佐々木さんからその真意を伺った。

入口の作り方は雑誌の強みである写真の力、ビジュアルが重要だそうだ。
さらにイベントを使いキャッチー面を見せつつも実際そこで楽しんでいる人がいることを伝えていく。
実際これだけの力が集まっているんだっていう事を示すのも大事な事のようだ。

そんな話の中で面白い提案が佐々木さんから挙がった。
それは“全国ミニアルプスサミット”を沼津アルプスのある沼津でやること。
狩野川で前夜祭として川遊びや地元の食材を集めたり、水辺のステージをやってみたり。
そして次の日はみんなで沼津アルプスにチャレンジをするという、想像しただけでもわくわくする企画だ。

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最後にお二人の未来を伺った。
大儀さんはこれからも狩野川をはじめ川や道路を通じて地元をより魅力的にするために、行政として、そして皆さんと一緒に頑張っていきたいそう。
佐々木さんはランドネで今後もやってきいたい事は“山だけでなく、山周辺にある文化など総合的に楽しむことをもっと発信していきたい”とのことだ。

トークライブでの3人の意見交換、そして参加者のみなさんの経験の発表やご意見は川のある生活の面白さ、山から海へと狩野川がつなぐ静岡東部の自然の多様性を改めて知り、この地域がさらに面白くなる可能性があることを共有する時間となった。

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