Author Archives: 小松 浩二

研いて沼津の食を支える

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町方町はアーケード名店街にある正秀刃物店。
ここには水産加工業や飲食店など沼津の食を支える道具がある。
オーソドックスな出刃や牛刀から刺身包丁、アジの開き包丁まで刃物に関してならすべておまかせだ。
この日も持ち込まれる刃物のメンテナンスで大忙しのご主人、大野隆久さんに訊いた。

●以前、マルハチ金龍丸水産に取材に伺ったとき、大野さんの話になったんです。
開き包丁ひとつにしても工夫を重ねてできていると。
「沼津型の開き包丁って薄いのよ。出刃包丁だと厚いから魚への入りが悪いわけ。
で、回転式の機械で研ぐものだから幅が広くなる」

●いつぐらいから今の形になったんですか?
「40~50年前かな?もともとはカネトモさん(西島町)のオヤジが、
うちのオヤジに作ってみろといったのがはじまり。開き包丁ってフラットじゃなくてすいてあるの。
片刃の包丁っていうのはそうなんだけど。空気が入って、身離れがよくって、切り口が光るの」

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漁師町の相撲大会

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“子供たちは大きくなってもおぼえてくれている”

笑顔でそう語るのは地域の体育委員を務める沼津市議会議員の岩崎英亮さん。

我入道、浜町にある八幡神社はこの地域の氏神様だ。
八幡神社の例大祭に合わせ、奉納こども相撲大会が毎年夏休みのこの時期に行われる。
参加するのは我入道の九つの地区、南条町、一本松、林町、
津島町、稲荷町、秋葉町、江川町、東町、浜町。

土俵は堤防の外側、野球グラウンドの片隅に作られる。
岩崎さんによるとこの相撲大会は、80~90年前から行われているそうだ。

“昔は漁師が多かったから、子供に限らず青年も参加した。
漁師の若者だったから結構激しくてね。
今は漁師も減って子供の数も減った”

時代の流れとともに青年の部、中学生の部はなくなり、
今年は沼津第三小学校に通う小学生57名がエントリーした。

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この歴史ある相撲大会には、かつて伝説的な選手もいた。
男子ハンマー投げのメダリスト、室伏広治選手のお父さん、
“アジアの鉄人”こと室伏重信さんはここ我入道の出身。
幼いころ、やはりこども相撲に参加したそうだ。
当時を知る岩崎さんによると“周りとは体つきが違かった、強かった!”とのこと。

大人たちが地域の子供の成長を見守る。
“小学校1年から参加して年々大きくなっていく、そういうのを見ているとこちらも嬉しくなる”
という声を聞いた。

こども相撲大会が地域の振興、はたまた教育を担っている。

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8月25日、あいにくの空模様の中(例年はよく晴れるそうだ)
八幡神社の神主さんによる祝詞奏上から大会は始まる。
開会式中もおしゃべりに夢中だった小学生もいったん試合が始まればみな真剣だ。

試合は“豆力士”と呼ぶにふさわしい1年生からはじまり6年生まで順に行われる。
子供が一生懸命ならば自然と大人たちの応援に熱が入る。

こうして会場にある種の一体感が生まれる。

地域のつながりが希薄になっている現代において、ここには相撲という共通言語がある。
お父さんもお爺さんも、みんながやってきた相撲。
それは時代を超え共有する想い、なくなりつつあるコミュニティを支えるみんなの気持ち。

“細々とですが、そういった地域の伝統を守っていくことが大切なんです”

子供たちを見守る岩崎さんの眼はやさしさで溢れていた。

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朝5時から営業するおにぎり屋の想い

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“基本の丁寧に握るってことを大事にやってます”

沼津港から橋を渡り西伊豆の玄関口に朝5時から営業する松風軒がある。
手作りのおにぎり、から揚げ、お弁当など地元の人から観光客まで人気のお店だ。
種類豊富なおにぎりのなかでも、あじの干物やあしたか牛など地元食材が目を引く。
食材へのこだわり、人気の理由を二代目の浜村直洋さんに訊いた。

●浜村さんはお店を手伝うようになってどのくらいになるんですか?
「僕は高校卒業して大学に行ってそのまま東京で就職したんです。10年前に沼津に帰ってきたんです」

●サラリーマンだったんですか?
「そう、まあいろいろありますよね(笑)」

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香貫山を歩く

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“とにかく体験していただきたい”

そう語るのは御用邸やびゅうおなどを無料でガイドしている
ぬまづ観光ボランティアガイドの会長、笠井幸子さん。

この日、伊豆半島と香貫山の生い立ちを学びながら、
駿河湾に沈む夕日を眺めるといった趣向で香貫山夕暮れウォークが行われた。

市民文化センターを出発し芝住展望台を目指すのは総勢80名。

リュックさえ持たない身軽さが香貫山の魅力でもある。

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標高は193m、伊豆半島の付け根、静浦山地の最北端に位置し、

登山愛好会が命名した沼津アルプスという名称も定着している。
市民文化センターから歩いて15分もかからないうちに、周囲は自然に囲まれる。

しばらく歩き、中腹に差し掛かると原田濱人(はらだひんじん)の句碑がある。

“玉麿りて いにしへの日は 永かりき”

濱人は旧沼津中学(現沼津東高)の教師をする傍ら、高浜虚子の弟子として活躍した人物である。

パーティは香陵台で休憩しつつ伊豆半島の成り立ちを聞く。その香陵台に歌人、若山牧水の歌碑がある。

“香貫山 いただきにきて 吾子とあそび

ひさしくをれば 富士はれにけり”

大正9年、東京から沼津に移住してきた牧水がまず気に入った山こそ香貫山である。
パーティは沼津の自然と文学に触れつつ展望台を目指す。

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その道中、話していただいたのは東京出身のボランティアガイド大山さん。

“沼津は海も山もある、気候もいいし食べ物もおいしい。

交通のアクセスがいいから東京の郊外といった感じ”

大山さんも牧水と同じように東京から沼津に来た。
それからおよそ50年、沼津を愛し暮らしている。
このあたりは昔も今も変わらない人情といえるだろう。

あたりが夕方の優しい光に包まれるころ、芝住展望台に到着した。
出発から1時間強、眼下には駿河湾、牛臥山、沼津港、狩野川、千本浜が広がる。
もちろん天気のいい日には富士山も姿を現す。
沼津市中心部から南東に2.5km、この景色を知らないのはなんとももったいない話である。

現在、日本生命のCMでこの香貫山からの景色が使われている。
たった1、2秒なのだが、海・川・山・街が同じ画にあるこの風景はとても印象に残る。
日本人にとって身近な景色。
そしていつでも香貫山には日本の美しさがある。
春の桜、秋の紅葉、そして駿河湾に沈む夕日。

“とにかく体験していただきたい”

すべてはこの言葉に集約される。

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五重塔までは車でも行け、ここからの景色も絶景だ。

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CENTER TABLE

沼津自慢フェスタ、今年のテーマは“食の祝祭”。

祝祭に向けて準備も着々と進んでいる 。

CENTER TABLEでは、今年も料理人のコラボで美食を提供する。
一日60席限定で予約制となる。

■9月12日(木)
○ラセール(フレンチ)× ○中国料理 王味(中華)

■9月13日(金)
○山正(和食)× ○サンテラスキッチン(イタリアン)

■9月14日(土)
○美食倶楽部 蓮(和食)× ○SHORE ショア(フレンチ)× ○Ninoe(フレンチ)

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今年はオープンキッチンから料理人が祝祭をより艶やかに演出する。
料理人チームのリーダー美食倶楽部 蓮の伊藤さんに今年の意気込みを聞いてみた。

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お店のカウンターから狩野川や沼津の街を見ていると
“とてもここがいい場所でありもっとこの地域の良さを多くの人に発信しないといけない”
と思うそうだ。
伊藤さんは料理人として“食”を通じて地域のお役に立ちたいとそんな想いからこのイベントに参加する。

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沼津港からの鮮魚、愛鷹山麓の農産物、畜産物、海沿いで育った柑橘。
そして富士山麓や伊豆からの食材。
この恵まれた食の資源は日本に、いや世界に誇れるものだと思う。

そして、沼津にはその資源をさらに活かし、食卓に幸せをもたらす料理人も多くいる。

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食を通じて地域を想う気持ちが料理人に伝わり様々なジャンルの方たちが参加する事となった。
和・中華・フレンチ・イタリアン。
沼津ジャーナルでは参加する料理人の想いも順次紹介していく予定だ。

CENTER TABLEでは料理人の技と想いがつまった“食”を是非とも堪能して頂きたい。

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自然のサイクルの中で

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魚の放流と聞くとなんとなく可愛いイメージが湧くが、その数が10万匹(!)となるとそうも言ってられない。
場所は内浦、江梨中間育成場。
通常の漁を休み、コストをかけてまで放流をおこなう理由を静岡県漁業振興基金の影山さんに訊いた。

マルハチ金龍丸水産

“やっぱりどこかで誰かが本物をつくっていかないと”

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沼津の干物といえば全国に通ずるブランドである。そこには生産する“人”がいて、その人の“想い”がある。
その声を届けたい、そんな気持ちで志下にあるマルハチ金龍丸水産にお邪魔した。
応対していただいたのは代表の濱道本臣さん。一見強面だが(失礼!)干物に対するこだわり、熱い気持ちがビシビシ伝わってくる。

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●まずどうして沼津で干物が発展したのか教えてください。
「沼津は干物が発展するのに立地条件がいいんです。
日照時間や湿気、あとは浜風!僕が調べたところ、技術的には小田原から伝わったそうです。
家内生産みたいな感じでやっていたものを改良して、いかに効率をあげるかやったひとが沼津にいたんです」

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スタッフ募集

地域を見つめなおす。

といってもそんな難しいことではないような気がする。

畑のあぜ道でお年寄りから昔のお話を聞く。
漁師さんから魚の美味しい食べ方を教えてもらう。
喫茶店で井戸端会議に参加し街の事を知る。
海と富士山を見て、日本の素晴らしさを感じる。

そこから見えてくる、地域の面白さ。

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その面白さを伝えたいと思い
『Numazu Journal』が始まった。

この地域の魅力をまずは周りの人に伝えていく。

『食、自然の豊かさ、ライフスタイル』

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面白い素材を見つけ記事を書き企画する。
それはイベントという形だったり、商品という形だったり。

日本一深い湾から日本一高い山という自然拠点の沼津。
富士山からの湧き水と、天城の山々の水が海にたどり着く沼津。

そんな自然の中で楽しむ事の実践。

狩野川を拠点に、沼津アルプス、駿河湾でのアウトドアライフ。

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これらの活動を通し沼津の魅力を発信して頂く方を、沼津市の委託事業として募集する事になりました。

8月からの事業です。
地元の方、また移住されたいと思っている方、
一緒にNumazu Journalをつくりあげ静岡県東部を発信し
面白い企画を考えそして実践して頂ける方、

ご興味のある方はお問い合わせください。

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募集職種  / 企画スタッフ/取材スタッフ/アウトドアコーディネーター
雇用形態 契約社員
雇用期間 平成25年8月1日〜平成26年3月31日
給与 24万円〜 社会保険加入

勤務地 沼津市上土町オフィス および 周辺地域
勤務時間 9:00-18:00 フレックスタイム
休日休暇 週2日交代制

応募資格
普通自動車免許、【Microsoft】Officeが使える方
※緊急雇創出支援事業

募集期間 7月17日〜7月31日
採用予定人数 4名

お問い合わせ
シー・ツー・ディ
055-962-4700
info@c2d.jp

Film:沼津自慢フェスタ

今年の沼津自慢フェスタは9月12・13・14日に開催。

昨年の映像です。
『ぬまづ 食の祝祭』

沼津ナイトマーケット2013開催

今年も沼津ナイトマーケットがスタートした。
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上土商店街界隈の飲食店舗でテイクアウトをし、商店街に並べられた机でゆったりと夏の夜を過ごすそんなゆるいイベント。

6時に近づくと会社帰りの人たちが、ベアードビールを目指し少しづつ会場に集まる。

センターモールと言われる物販スペースには、静岡東部選ばれた魅力的なお店が集結。
昨年に引き続き雑貨屋、家具屋、
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今年から古本屋も出店。
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障がい者施設の製品を並べるハチエイチも登場。
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魅力的なモノが集まり、人と人が集まり”街”ができていく。
ナイトマは昔の沼津が持っていた“街”の機能を思い出す、なんか懐かしい昭和な感じのイベント。

今回のライブのアーティストは樽木栄一郎さん。
狩野川からの風にのせて、やわらかい声が街に響く。

樽木さんから曲の使用を快諾して頂き、今回のナイトマの映像が作られた。

6,7,8月の第二木曜日に開催
次回は7月11日(木)
http://n-night.info/