Author Archives: 小松 浩二

三島がゴロゴロ詰まったカレー

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三島の特産をふんだんに使用したレトルトカレーがある。
風味が違った三種類、箱根西麓三島野菜のプレミアムカレー、箱根山麓豚の旨辛ポークカレー、三島甘藷のマサラスイートカレー。
地元の食材がごろごろと入った少し贅沢なカレー、レトルトとは思えぬその味わいの深さにただ驚く。

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開発したのは田村商店株式会社。
事業開発プロジェクトチームの滝さんに話を訊いた。

“地元で商売をしてきて、やっぱり地元に恩返しをしたいと思って”

地元のものを使って何か商品化できないかと検討したところ、レトルトカレーの市場の大きさに注目した。
明治20年に雑貨小売業から創業し、スーパーなどの運営をして食と携わっていたとはいえ会社として商品開発は全く初めての経験。
試行錯誤の日々を繰り返した。
まずはレトルトカレーの実食調査、おおよそ100種類のカレーを食べ続けた。

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開発期間は半年、異例のスピードである。

“とにかくやりたいことを商品にしたので、速く商品化できたんだと思います”

開発を通じ、常にあったのは売っていく価値があるものを商品にするということ。
それは黒で統一されたパッケージにも表れている。

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ちょっと大人向けのカレー、いいものが食べたい人向けのカレー、地元のものを使った高級なカレーがコンセプトとしてある。野菜にしろ肉にしろレトルトカレーとしては一線を画する具材の量。
絶対おいしいといえるものを作るという意気込みが全て詰め込まれている。

“いいものを作ろうとするとどうしても価格設定が高くなってしまいます。会社の上の人たちには売れるわけねえって言われていました(笑)”

スーパーに行けば80円で売っているカレーがある現在。
会社の反対を半ば強引に押し切ったかたちの滝さん、そこには絶対に売れるという信念があった。

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味にこだわり続け、試食品ができたときには会社で反対する人はいなかったそうだ。

“品質を落として安いものを作るよりは結果的によかったと思います”

しっかりとしたものを作る、その想いが実を結んだ瞬間である。
地の素材の良さを引き出した商品だからこそまずは地元の人に食べてほしい、滝さんの想いは常に地元と共にある。

三種類のカレーはLot.nでも購入できる。

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沼津アルプスの麓にある温泉宿~翠泉閣~

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徳倉山の麓、下香貫に沼津唯一の温泉湧出岩風呂を備える割烹旅館、翠泉閣。
利用客の多くは観光客だというので今回は観光気分で訪れてみた。
まず、徳倉山を背に5階建ての白い外観が目に飛び込む。
そのレトロな佇まいに胸がときめく。

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玄関には歴史の刻まれた“月の湯温泉翠泉閣”の看板。
月の湯とは温泉を掘った年にアポロ11号が月面着陸に成功したことにちなみ名付けたそうだ。
玄関を入ると整然と並べられたスリッパ、ロビーには独自のセレクションが面白い土産物が並ぶ。
温泉宿らしい出迎えに旅行気分をくすぐられる。

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案内していただいたのは旅館の女将、藤井照子さん。
ここで宿を始めておよそ40年。長年宿を切り盛りしてきた名物女将である。
早速、翠泉閣自慢の温泉に案内していただくとこの辺りでは珍しい茶色い温泉にテンションが上がる。

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沼津アルプスの登山後、疲れた体を癒しに温泉に宿泊というのも良さそうだ。

そして客室へ。

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おお!この部屋も昭和感溢れていい感じだ。
5階からの眺望は良く、御用邸の松林や牛臥山、びゅうお、沼津の市街地、そして富士山まで一望できる。
夏には沼津の花火大会も見れるとのこと。
女将さんの話によると昔は一面田んぼが広がっていたそうだ。

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ここで夕食が登場!
板前さんによる新鮮な駿河湾の幸たっぷりのごちそう。
アワビのステーキに刺身、カサゴの唐揚げ、カニ、さざえ、鍋、このボリュームである!

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この食事を楽しみに毎年訪れる常連客がいるのもうなずける。
素泊まりも可能だが、せっかくなら女将さん自慢の料理を味わいたい。
料金は1泊2食付で10,000円〜。

食事のあと、旅のワクワクは止まらない。
旅館の夜を華やかに飾るパブハウス、ポンツウ。
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この何とも言えぬ絵に描いたような昭和の空間。
アポロ11号で湧いていた時代を思い浮かべながら歌謡曲を歌いたくなった。

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パブハウス ポンツウは宿泊客以外のお客さんでも利用可能とのこと。

“うちは小さな旅館ですが、その分お客様の都合に合わせることができるんです”

食事の時間であったりお客さんの要望に融通をきかせてくれるのも翠泉閣の魅力。
翠泉閣に宿泊すること自体を目的に訪れる方も多いそうだ。
昭和から変わらず続く“おもてなし”が魅力満載の旅館と女将さんの人柄、沼津の隠れた名所に心躍った一日であった。

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≪翠泉閣≫
沼津市下香貫林ノ下2031-5
TEL:055-932-1325
http://www.j-mn.net/suisenkaku/

ロードバイクが好きだから~プロショップナカムラ~

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沼津でロードバイクの販売、修理を手掛けるプロショップ・ナカムラはロードバイク好きの集まる店として知る人ぞ知る店である。
ご主人の中村健さんは東京出身。奥様の出身である沼津に店を構えたのは33年前。
当時はロードバイクを趣味で乗るということはほとんどなく、あくまで競技用のものだった。
ロードバイクの専門店というと都内でも4~5軒くらいしかなかった。
そんな専門店を沼津でオープンさせるといったときに周りからの反対も多くあったそうだ。

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“東京で自転車とは関係ない実家の仕事をしていたんですけど、子供のころから自転車が好きだったんで沼津に来て自転車屋をやろうと思ったんです”

小学校のころから自転車をいじることが大好きだったという中村さん。
学校から帰ってくると意味もなく自転車を分解しては組み立てたりしていたそうだ。
お店をオープンする頃には一通りのことは自分でできるようになっていたと中村さんは言う。

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“昔はお店が少なかったから全部自分でメンテナンスができなくてはいけなかったんですよ”

自転車の流行を長年見続けてきた中村さん、今は健康のために自転車に乗る人が増えたそうだ。
それまでの競技目的から現在の健康志向へ、ロードバイク人口もここ数年で飛躍的に増えた。
初心者がロードバイクを購入するとき、何を買っていいのか迷ったときにはその使用目的に応じて一緒に選んでくれる。専門店ならではの安心感、中村さんの自転車に対する確かな技術が可能にするアフターサービス。

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ロードバイクはメンテナンスが大事、だから近くの専門店で買ったほうがいい。
そうやってナカムラには多くのロードバイク好きが集まるようになった。
沼津は平坦な道が多く自転車も走りやすい。駿河湾の海岸線や富士山など走るロケーションも抜群だ。

“沼津に来て知り合いもいなかったけど、ロードバイクが縁になっていろんな人と知り合うことができました”

好きなことを仕事にし、それを信じて商売をやってきた。
ここにはロードバイクが好きという共通の意識で繋がる幸せな人間関係がある。

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≪プロショップ ナカムラ≫
沼津市双葉町5-19
TEL:055-925-1722
http://web.thn.jp/ProShopNAKAMURA/

街中を駆け抜ける~静岡県内初のクリテリウム~

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11月24日、県内で初となるクリテリウムの大会が清水町で行われた。
クリテリウムとは、他の交通を遮断して街中に作られた周回コースで行われる自転車のロードレースのこと。
清水町の町制50周年を記念して行われたこの大会。参加者は県内外から351名。
県内の参加者がおよそ7割。茨城、群馬、大阪など遠方からの参加者もいる。
会場になった卸団地には特設の周回コースが設けられた。

“卸団地地区と道路を使用してイベントをしようというのは長年の夢だったんです”

答えていただいたのは企画を担当した清水町役場の太田雅明さん。

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当初は踊りのイベントであったり様々な企画があがったなか、
平坦でコンパクトな清水町の特徴を活かしたイベントとしてクリテリウムを行うに至ったそうだ。
レースは1周約930メートル。
ロードバイクを使用した本格的なロードレーサーの部以外にもママチャリの部や小さな子供を対象としたキックバイクの部などもあるため、参加した年齢は2歳から70歳までと幅広い。

“鉄道駅もない街ですし、自転車を使った街づくりのきっかけになればいいかなと思ってます”

スタート前、この日が来るのを待ちわびていたであろう参加者の笑顔でスタートラインは和やかなムード。

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だが、レースが始まれば一気に真剣モードに切り替わる。
ロードバイクのスピード、迫力に観衆も驚きを隠せない。
普段の卸団地とは全く違った新鮮な風景、街中をロードバイクが走り抜けるその光景。

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参加者も観衆も誰もが喜びに満ちた空気に包み込まれる。

“参加いただいた方からは好評いただいてますので、今後定期的に行えていけたらいいなと考えています”

レースの結果ではなく、参加することに喜びを感じる。
自転車が好きという共通の意識がここにはある。

“いい経験になりました。またチャレンジしたいです”

ロードレーサー男子一般の部に参加した裾野市の庄司浩将さんは笑顔でコメントしてくれた。

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県内で初となるクリテリウムの大会。
街中を駆け抜けるロードバイクに魅了された一日だった。

沼津から世界へ発信し続ける理由

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獅子浜にあるタムタムギャラリーは目の前に海が広がる絶好のロケーションだ。
ここは2009年に沼津市出身のアーティスト、田村映二さんが開いたギャラリー。
お茶や食事をいただきながら田村さんの作品を鑑賞することができる。

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“ここにギャラリーを作りたいっていうのが夢だったんです。自分が求めていれば夢はかなうのかなと思います”

31年前にそれまで勤めていた東京のグラフィックデザイン会社を辞めフリーとなる。
現在のような立体の作品を作り始めたきっかけはブリキのおもちゃ博物館などの館長を務める北原照久さんにある。北原さんと親交があった田村さんは北原さんの持っているおもちゃが欲しくなり、だったら自分で作ってしまおうと考えたのが理由だ。
1988年、日本テレビ「美の世界・アートナウ・田村映二の世界」に出演したことにより一躍人気アーティストとなる。国土交通省のポスター、百貨店のポスター、愛知万博招致のポスターなど多くの場所で田村さんの作品を目にすることに。オファーが殺到し、仕事しているか寝ているかという状態がしばらく続いたという。
そんななか、もっと人間らしく生活したいと考えたときに故郷である沼津にアトリエを開いて生活したいと考えるようになる。

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“東京のオシャレなお店とかも好きなんですけど、釣りやバーベキューとか趣味がアウトドアなので沼津のほうがあってるんですよ”
創作の原点は子供の頃の記憶。子供の頃に感じた風や空気の匂い、五感に訴えてくるもがベースになっている。沼津から発信したいという想いが沼津での制作に繋がる。
作品を発表することによって沼津に目が向くように、そんな役割を担えたらいいと田村さんは言う。
今年、台湾でタムタムミュージアムがオープンした。
世界でもそんな作品は注目される。

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駿河湾や狩野川、そして富士山という沼津の環境は世界を旅した田村さんからみても誇れるものだそうだ。
だから、地元の自然をもっと楽しんでほしい。おにぎりを持って海に行ったり、そんな光景が当たり前であってほしい。そういう楽しむ心をみんなが持つことで魅力的な街ができる。
タムタムギャラリーからも様々な海から見る景色が広がる。

雲間の陽光が海を照らす。

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海に太陽が沈む時、その世界は一面に紅くなる。

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海に暗闇がやってくると、対岸の沼津の街が輝きだす。

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それはそのまま田村さんの作品の世界である。どこか暖かく魅力的な場所。

2013年の冬、そんな田村さんの世界観を伝える作品が海沿いのタムタムギャラリーから、沼津の街に移された。

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お店に搬入していると通りがかりの方が足を止める。
作品のストーリーを丁寧に伝える田村さん。

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あげつち商店街にイルミネーションの期間中、タムタムドリームストリートが登場した。
商店街に田村さんの創造の世界が街に溶け込んだ。

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≪タムタムギャラリー≫
沼津市獅子浜22-28
電話:055-933-2030
土日のみ営業
http://www.tam-tamgallery.com/

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30年間 水辺での挑戦~カヤックタパ自然学校/上野裕晃さん~

狩野川の魅力を発信し続けるカヤックタパ自然学校のタパさんこと上野裕晃さん。
牛臥海岸近くの事務所を拠点にカヌーインストラクターとして狩野川や駿河湾をより身近に感じられるよう活動を続けている。

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タパさんがカヌーに出会ったのは30年前、26歳のとき。ディンギーと呼ばれる小型ボートこそやっていたがカヌーに触れたのはこの時が初めて。
それまでは住宅用のサッシを販売していたが、会社員と並行してカヌーのショップを始めた。

42歳のとき、会社員を辞めカヌーだけで食べていくことを決意。
決意を込めメキシコへ旅に出た。このとき、鍋のふたの意味を持つ“タパ”をフィールドネームとした。

“鍋のふた”をあけるとそこには美味しいものがある。
スペイン語のふたを象徴とし、自分の使命として名付けたのだ。
川という場所でカヌーに出会うと素晴らしい自然に出会える、そんな機会をつくる存在になる。

だから、上野さんことタパさんははじめてカヌーをする方にやさしく自然の事を教えてくれる。

最初は不安だらけだった。
沼津リバーサイドホテルの目の前で、狩野川を使いカヌー体験を始めるようになった。
それでも、最初は年間20名しかお客さんはいなかった。

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いろいろな場所で水の可能性を確かめた。情報がまったくない。
静岡東部の様々な川や海で、ひとつひとつ体を動かし可能性を確かめていった。
開拓の日々。

タパさんの想いとは反して、川に浮くカヌーを異質な存在を捉えていた方も多かったようだ。
川に対する意識がなく、川に近付きバーベキューをやる人は川を汚す。
河川管理者の行政からもタパさんの活動も同様に見られていた。

そんな中でもカヌーフェスティバルなどを催し、川に多くの方に親しみをもって頂きゴミを拾うイベントを12年おこなった。
長くやっていると世代に受け継がれていき、想いは文化となっていく。
そして、行政もお互いに歩み寄っていった。

そんなタパさんの原風景ともいえる少年時代のことを訊いた。

“アウトドアというか外で遊ぶのが当たり前でしたね。
学校終わったら外に遊びに行って、夕暮れに家に帰るのが通常のパターンでした。
怪我したら自分の責任。そういうのが当たり前の時代でした”

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今は怪我をしたら誰かの責任になってしまう、それは親が遊び方を知らないからだとタパさんは言う。
火を見たことがない子供に火は熱いということを伝えていくこと、それが自然の中での応用力を生む基礎になるそうだ。

“大人になってからの遊びはお金を出せばいくらでもできる。子供のころに他愛もないことでいいから野外で遊ぶことが必要なのかもしれない”

カヌー体験やスクールなどを通じて自然体験の大切さを伝える。
2~3時間の体験で大人も子供も笑顔になる。その笑顔を見れるのが一番うれしい。
20代の頃、漠然と思っていた狩野川をカヌーでいっぱいにしたいという夢。
30年経った今でも変わらないモチベーション。

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タパさんは、昔の大変だった頃を改めて思い出した。
“川は楽しい!自分が楽しいと思うからみんなも楽しもうよ”
一方的な想いだったかもしれない。
“川を通して笑顔が溢れる時間を提供するには……”
相手の立場にとっての川という存在を意識するようになった。

そして、沼津ビーチフェスというイベントも4年前から始め、海の使い方も提案をしている。

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まだまだ市民の認知度は低いがタパさんの夢は変わらない。
“自然をもっと身近に”
タパさんの想いは常に水辺と共にある。

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≪カヤックタパ自然学校≫
沼津市下香貫柿原2814-20
電話:090-1283-0840
http://www5a.biglobe.ne.jp/~uenohiro/

沼津アルプス最大の難所へ<南ルート:志下山⇒大平山>

鷲頭大平山

前回の横山~徳倉山ルートに引き続き、沼津アルプスを堪能する。
今回もLot.nからスタート。
香貫台入口から登り、志下山、小鷲頭山、鷲頭山、大平山までが今回のルート。
9時42分、上土バス停から沼津登山東海バスの下香貫循環に乗り、香貫台入口を目指す。

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バス停から10分ほど歩くと徳倉山の登り口に。そこから香貫台の分岐点まで急坂を登ること20分。

<高低差MAP>
沼津アルプス標高MAP

登る前に全体の高低差を確認しよう。
こう見ると低山ながら標高差が激しい事がわかる。
沼津アルプス最大の難所は小鷲頭山手前のグイッと登る斜面である。

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天気はいいものの海からの風が強く、山の尾根に差し掛かると体を押されるような風を受ける。
象山の背中は比較的なだらか、しばらく歩くと岩に千金岩の文字。
視界は開け、眼下に淡島と江浦湾、そして伊豆半島という眺望を眺めることができる。
この景色は横山~徳倉山ルートにはなかった景色だ。
志下山周辺はさざなみ展望台や奥駿河パノラマ台などビューポイントも多く、海沿いならではの景色を楽しむことができる。

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ふたつ連続して見えるのが小鷲頭山と沼津アルプスの最高峰、鷲頭山だ。
道中はぼたもち岩や中将宮など見所も多い。
ゆったりとした気持ちから、気を引き締め最大の難所へ。
小鷲頭山に差し掛かると急な斜面が待っている、ロープを頼りに何とか体を持ち上げる。

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標高330mの小鷲頭山に到着、ここからは牛臥山と御用邸の松林を見下ろすことができる。
難所を征した達成感と共に小鷲頭山山頂でランチがおすすめだ。
Lot.nで買った山桜カッティングボードの上にパンを並べ、オイルサバディンをサンドして食べる。
やっぱり山メシは格別だ。

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しばしの休憩後、鷲頭山を目指し再スタート。
山頂では休憩するいくつかのグループに遭遇。皆さん、それぞれに沼津アルプスを楽しんでいるようだ。
鷲頭山から10分ほど下ると多比峠に差し掛かる。
その先から多比口峠まで、沼津アルプスのハイライトとも言われるやせた岩尾根が続く。

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多比口峠から大平山までの往復は20分ほど。
大平山山頂は眺望こそないもののベンチなどがあり、休憩するにはうってつけの場所だ。
再び多比口峠に戻ってきたら、そこから下山ルートを進む。
山道を抜けるとミカン畑が広がる。

冬場はミカンの収穫時期である。
この辺りは無人のミカン販売所も多く設置されているので
ジューシーなミカンで喉を潤すのもおすすめだ。

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親子三代、86年間鶏一筋

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沼津市本町は東海道、沼津宿の本陣があり大いに賑わった場所だ。
かつて沼津映画劇場があった場所は江戸時代、杉本旅館という旅館だった。
また、芝居小屋なども立ち並んでいたそうだ。
本町の歴史を丁寧に説明していただいたのは鳥佐商店のご主人、泉勝久さん。
鳥佐は昭和2年から本町で鶏肉の専門店として営業している。

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“もともとは沼津駅前に鳥丑という鶏肉専門店だったんです”

鳥丑から泉さんのおじいさんにあたる佐一郎さんが独立、鳥佐商店として開業したそうだ。
専門店としてこれまで続いたのはやはり鶏肉に対するこだわりがあるからだ。
主力商品のひとつである鳥のもも肉は先代の頃から変わらず岩手県のあべどりを使っている。
あべどりは鶏肉特有の臭いが少なく、肉はピンク色で脂肪が少ないのが特徴だ。

“炭火で焼くと一番美味いですよね”

家庭で調理する場合はフライパンにオリーブオイルをひき、鶏肉に塩コショウして皮面からトロ火でじっくり20分ほど焼く。焼き色がついて火が通ったなと思ったらひっくり返して1分ほど焼き、あとは余熱で仕上げる。そうすることで皮はパリッとして中はふっくら出来上がる。
専門店だからこそ言える鶏肉のおいしい食べ方を教えていただいた。

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“こだわりをもってるお客さんがいてくれるから成り立つのかもしれません”

時代の変化とともに客層も変わっていった。
買い物の効率を求めるとスーパーなどで他のものと一緒に買ったほうがいい。
わざわざ鶏肉だけを買いに来る必要はないのかもしれない。
それでも、鳥佐には鶏肉だけを買い求めにお客さんが来る。
近所だけに限らず三島や函南、遠くは戸田や修善寺からもここの鶏肉を買いにやってくる。

“牛や豚を扱おうと思ったことは一度もありません。うちは鶏肉だけで勝負しています”

専門店として決してぶれないスタンス。
スタッフの活気あふれる店内に今日も客足が途絶えない。
商品もクリスマスにぴったりなひなどりを1羽まるごとだったり、
人気の焼き鳥はハツ、せせり、軟骨など常時10種類以上あり、産地が違うもの、鳥のあらゆる部位がある。
また調理方法によってはその場で切ってくれる。

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Lot.nの提供するバーベキュー食材は専門店から仕入れている。
鶏のもも肉は鳥佐商店からだ。

専門店を巡って買い物をすること。
厳選した鶏肉と教わった食べ方、食材の話を食卓で披露する。
その食事はまた美味しさを増すことだろう。

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鳥佐商店
沼津市本町21
電話:055-962-1241

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