THIS IS NUMAZU /沼津自慢フェスタ2015が9月10日から3日間開催された。
『日本一 美酒 美食の街へ』
生産者、料理人、バーテンダー、アーティストが沼津の自慢の食材・サービスを提供するイベント。
実は台風の影響で1日目の開催の中止を決めていた。
しかし、“沼津は晴れるかも”との予想、そして多くの方の“やりたい!”という意見。
実行委員会メンバーは悩みに悩んだ。
開催の24時間前、実行委員長の橋本さんが
「よし、やりましょう!」
と声をあげ、3日間開催に向け一気に準備は進んでいった。
当日、周辺のエリアでは雨が降っていた。
沼津の街中では雨が降らず、多くの人が“奇跡”だと言った。
天候不順が当たり前となった近年。
昨年のこのイベントは1日目が豪雨のため途中で中止となった。
天候のリスクは参加者の協力でフレキシブルに対応するしかないとの事もあり、4回目となった今回は企画段階で大きく運営方法を変えた。
出店者、参加者と多くの方が意見を出せる環境をつくり進めた。
沼津は多様性に富んだ街だ。
そして、多くの価値観の人がいる。
全体ミーティングではなかなか話しが、そしてビジョンがまとまらなかった。
6月17日の会議で副実行委員長で空間デザイナーのケンブリッジの森の藤原さんが、
「このイベントは今まで開催できた事は奇跡だった。でもまた奇跡が起こるだろう」
とポツリと呟かれた。
“奇跡”
その言葉を残され、その翌日に藤原さんは突然倒れ他界された。
かつて藤原さんは、このイベントのことを『362日のための3日間』、『みんなの力は沼津の力』と言い続けていた。
突然いなくなったてしまった大きな存在。
しかし彼の想いや言葉は多くの方の心に残っていた。
実行委員、協力者の方が
自分はいったいこの地域のために何が出来るか?
藤原さんだったらどうするか?
と考え動き始めた。
そして当日、雨男と言われていた藤原さんのことを多くの人は思い出していた。
こうして、衰退していると言われる沼津でまた今年も小さな奇跡が始まった。
バーカウンター、スタンディングテーブルの木箱は障がいのある方たちが制作をした
沼津市のミネラルウォーターは藤原さんがこのイベントをきっかけにデザインに携わった
生まれ育った街を誇れるしあわせ。
その意味は、大人になってようやくわかる。
大切なのは、土を耕し種まく大人がいること。
沼津には、豊かな土壌があり
そこにはかっこいい大人がいる。
そしてかっこいい大人がいた。
街にとって、私たちにとって、これほど愉快な財産はない。