Category Archives: Outdoor 

自然と共に自転車のある風景

numazu-journal

“狩野川流域の自然豊かな風景が魅力だと思います”

会場となった伊豆の国市、中島運動公園は地元の物販のほかに、高知県四万十市からの出店などまさにお祭りといった感だ。
今年で14回目を迎えた狩野川100kmサイクリング。参加者は年々増え、今年は866名のエントリーとなった。そのうち、647名は大会名称にもなっている100kmコースへの参加者となっている。

“自転車のブームがマウンテンバイクからロードバイクに変わり、長く乗れる自転車が増えたこと。それに伴って狩野川も舗装されるようになって環境が整ったのもあると思います”

実行委員会のひとり、伊豆の国市観光協会の山下康晴さんは語る。富士山に向かって走る形になるのは北へ向かって流れる狩野川ならではのコースだ。大会は2日間行われ、3つのコースを選んで参加できる。

numazu-journal2

“平坦で誰でも楽しめる大会ってこの辺りではなかなかないと思います”

伊豆の国ポタリングはファミリー向けのスタンプラリーコース。50kmコースは狩野川沿いを中心とした比較的平坦なコース。大会の名称にもなっている100kmコースは50kmコースに中伊豆地区・天城地区を加えた走りごたえのあるコースだ。大会は当時の大仁町が自転車にとって素晴らしい環境が整っているということで2000年から始めたもの。最年少は7歳、最年長は78歳と幅広い年代層に支持されている。

“6割ぐらいは県内の参加者ですが、一番遠くは佐賀県や大分県といった方がいますね”

県外からエントリーする参加者にとって、富士山はなんといっても魅力的だ。
富士山の見えるところに住んでいるとついつい見逃しがちになるが、狩野川と富士山、その豊かな自然と暖かい気候は伊豆の大きな魅力である。イベントを通じて伊豆の良さ、地域の良さを再発見する人も多いのではないだろうか?

numazu-journal3

“100kmサイクリングは集大成なので、普段から自転車を楽しめる環境を整えていけたらいいなと思います”

100kmサイクリングの目指すところを山下さんは語る。
それは非日常的なイベントだけではなく、自転車のある風景を日常とすること。
自転車を通じて自分たちが住んでいる地域を知るということ。
快適な大会運営は参加者との一体感を生む。
そこにもやはり想いがある。

numazu-journal4

伊豆の国市観光協会では誰でも気軽に自転車を楽しめるようレンタサイクルも行なっている。ルイガノ社製ミニベロなどおしゃれな自転車が1日500円でレンタルできる。伊豆長岡駅でレンタルし、自転車で狩野川沿いの風を感じるのはこの時期とてもおすすめだ。
http://www.izunotabi.com/cycle/

潜る海、地上の海

大瀬崎は数知れたダイビングスポットである。

沼津の街中から車で約45分でその場所へ行ける。
沼津駅からは直通バスが1日2便、朝・夕と出発をする。

初めての方も気軽に日帰りでダイビングを体験できる。
そこで初めてダイビングする方々に同行してみた。

インストラクターの方にウエットスーツの着方から指導を受ける。
丁寧に機材の説明をうけ、実際にボンベを担ぐ。
約15kg。歩くのも一苦労だが水に入ってしまえばたちまち軽くなる。

numazujournal3

水の中で呼吸の仕方などを教わる。
ゴーグルに水が入ってしまったときがとても大変で悪戦苦闘。
一通りの動作にOKが出たところで実際に海へ入る。
インストラクターと手をつなぎながら行くので安心だ。

ちょっとお邪魔しますと、海の世界へ入っていく。
天候は曇りだったが
たくさんの魚たちが群れを成して泳いでいるのを見ることができた。
鯛やアジ、カラフルな魚、そしてウツボも口を大きく開き出迎えてくれた。
イカの大群は美しく、何時間でも見ていられそうだ。

numazujournal4

水中8mまで潜り天井を見上げる。
ほかの人の吐く息が水泡を作り、太陽の光と絡まりなんとも言えない美しい世界を作り出していた。
さっきまでの不安は嘘のように消え
まるでおとぎ話のような空間に浸り、自分が水中で息をしていることを忘れる。
地上では目にすることのない世界がそこには広がっている。

だが地上の世界の風景も捨てたもんではない。
時折顔を覗かせる富士山。
海の中から見る富士山とはなんて贅沢なんだろう。
と思いながら右に目をやるを今度は沼津の市街地が見える。

自分たちの住んでいるところを客観的に眺める。
なんとも不思議な気分だ。

numazujournal

この大瀬崎。
実は水質検査日本一に2年連続で選ばれている。
このきれいな海は生まれ持った素質を持っているのだ。
北西の風が吹けば大瀬崎湾は荒れるが、外海は荒れていない。
逆に吹けば外海は荒れているが、大瀬崎湾は荒れていない。
大瀬の海は特別なことがない限りはいつでも楽しめる。
これがダイビングのメッカとなる一つの要因だという。

今回体験ダイビングでもお世話になったダイビングサービスをしているフジミの髙野さんにお話を伺った。

ダイビングが盛んになったり、水質が良いことが世間に広がる中で
このポテンシャルで30年前は40万人の観光客が来ていた。
沼津と大瀬をつなぐ船も出ていたそうだ。

ダイビング客が増えることによって
漁協とのトラブルもあったそうだ。

しかし、ダイビング界の重鎮たちも巻き込んで話し合いを繰り返し、
資源を取らないことや、カリキュラムの提示などの安全確保、潜水可能時間などを決め
両方にとっていい形が出来上がり、協定を結ぶことができた。

そして忘れてはならないのが
ここにあるダイビングサービスのこと。
ダイビングショップとはちがい現地でのサポートをする。

髙野さんのお父さんが約50年前に民宿として始めた。
生まれた時からここがあり、週末には自動的に大瀬に行っていた。
それから大人になり、今では後をついでフジミを切り盛りしている。

どんな役割なんですか?という問いに
「宿のおやじといった感じです。」
という髙野さん。

numazujournal1

食堂スペースには人が集まり
情報交換をしたり、髙野さんにいろいろと話を聞いたり。
宿を利用する人にはダイビング計画も提出してもらうので
ポイントや時間も把握。

さらに、大瀬が盛り上がるようにと
イベントの企画などにも携わっている。

準備はとても大変だし、プレッシャーもある。
それでもする。
「みんなが楽しんでくれているからいっかな」
さらりと言うこの言葉には髙野さんの大瀬の海に対する愛情が感じられた。

水質が良いのはなにか秘訣。
大瀬がたまたま地形的に良かった。
何もしなくても日本一になった。という。

だが、この資源を活かす人たちがいて
安心して私たちは海に入ることができる。

大瀬の海をめいいっぱい楽しみ
大切にすることが海に関わる方たちへの恩返しのような気がした。

__

ダイビングの情報は現地や、沼津の街中ではLot.nでも入手することができる。
【現地への行き方】
 ○沼津駅南口から直通バス
 (■1日2往復・沼津発6:41・16:25 ■大瀬発8:20・18:02)

 ○東京~沼津I.C(1時間20分)~大瀬崎(50分)

≪フジミ≫
〒4410-0244 沼津市西浦江梨993
tel:055-942-3052

日本で初めてウィンドサーフィンをした男

御用邸から牛臥海岸に向かっていくと小さなウィンドサーフィンのショップがある。入口にはいくつものサーフボードが塀のようにディスプレイされ、その奥には味のあるテーブルなどがおいてある。そこからオーナの大川さんひょっこり出てきた。真っ黒くやけた体に、無造作に結んだ髪、飾り気のない雰囲気はなんともかっこいい。

大川さんは外国からのウィンドサーフィンをなんとか組み立てようやく出来上がって、初乗りした海が牛臥海岸だったようだ。

ボードがボロボロになるほど、毎日通う。
でも道具のセットの仕方や、セーリングのイロハ…誰も教えてくれる人がいなかった。
「日本でウィンドサーフィンを最初にをしたのは、自分だった」と、後から知ったようだ。

ウィンドサーフィンに携わり40年。
サーフショップは「理想の夢」に向かって一つ一つ形にしていったそう。
海から上がってシャワーが欲しいな、とかスポーツの後にビールが飲めたらなとか。
そうして築きあげたこのショップには歴史と全国の人から愛されていることが伝わってくる。
実際、大川さんも40年の間に大変なこともあったが、いろんな人が来てくれたことを喜んでいた。

IMG_0106

現在このショップの利用者は地元6割、県外が4割だという。一見地元の人も来ているようだが半数が県外。あまり地元の人に知られていないというのが現状である。

この牛臥は有数のマリンスポーツに適した場所である。カヌー、サップ、ウィンドサーフィン、また沼津で唯一サーフィンができる場所でもある。つまり、風と波の両方を楽しめるスポットなのだ。

できるだけみんなが海を楽しめるようにほぼ毎日スクールを開催、ショップも海から全員戻るまでは閉めない。相手は自然。天候は変わりやすい。安全に遊べるように、海で悲劇が起こらないようにショップには重要な役割があった。

IMG_0110

海はお金をかけて遊ぶところというイメージも強かったり、マリンスポーツも敷居が高いような気がしてなかなかチャレンジできないひとも多いのではないだろうか?
その敷居を低くするのに一役買ったビーチフェスタにも大川さんは積極的に参加し、盛り上げた。
牛臥を知らない人、海に興味がない人も海に触れ合う機会になった。実際、その後機材をレンタルに来た家族もいたそうだ。
「海で遊ぶ家族をみるのは本当に気持ちいい、町に根付いたクラブになるのが夢」と大川さん。

この日は、熱海からウィンドサーフィンをしに来ている85歳のおじいちゃんがいた。慣れた手つきでボードを運んでいる。週に2~3回、海に入ることで健康管理をしているそう。

このほかにもウィンドサーフィンをしに来た人が何人かいたり、大川さんからショップによく来る人の話を聞いたが、海がライフスタイルの一部になっていることがよくわかる。それが週に何度も海に来るにしろ、月1回にしろ、ここを好んでくる。特に都内から来る人にとって、「インターから近い海」である沼津はとても良い場所だ。

IMG_0111

牛臥では、もちろんマリンスポーツをしてもらいたいが、マリンスポーツをする人たちを見るだけでも面白い。海をライフスタイルの一部にとりいえることができるのは、沼津の特権だ。その取り入れ方は人それぞれだ。マリンスポーツをするでもよし、眺めるでもよし。海を私たちの生活の一部とし、大切にしていきたい。

ウインドサーフィンプロショップ・ドゥメール オオカワ
〒410-0822 静岡県沼津市下香貫牛臥2802-5
TEL:055-931-1070
セーリングハウス TEL:055-931-0676 FAX:055-933-4574