Author Archives: 小松 浩二

漁師町が生んだ文学者を知る場所~沼津市芹沢光治良記念館~

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沼津市芹沢光治良記念館は昭和45年、スルガ銀行の会長だった岡野喜一郎氏が財団を設立、芹沢文学館として建設された。平成21年4月に沼津市に寄贈、同年10月に開館した。

芹沢光治良は明治29年、我入道に生まれた。
旧制沼津中学校、第一高等学校を経て、東京帝国大学経済学部に入学。
卒業後、農商務省に入ったが、官を辞してパリ大学に入学した。
パリ大学卒業間際に結核で倒れ、スイスやフランスの高原療養所で病を癒し本格的に筆を執り始める。

代表作である『人間の運命』は幼少期から青年期の沼津を舞台とした一大長編小説として有名。
その後、日本の文学の普及のため川端康成の跡を継ぐかたちで日本ペンクラブ会長を務める。

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そんな芹沢文学の形成において、生まれ育った我入道の影響は大きい。

“漁師町に生まれていますから本来は漁師になるはずだったんです”
説明していただいたのは記念館の館長、仁王一成さん。

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記念館が沼津市に寄贈され、半年をかけて掃除し、床を張り替え、外壁を修繕してオープンの状態に持っていった。

“その頃、資料は少なかったんです。あったとしてもボロボロですから。2階に展示するものもなかったから文化財センターから出土品の石器を借りて並べたり(笑)”

一番問題になったのは冷暖房といった空調設備が全くなかったこと。
夏は暑く冬は寒いという最悪の環境。
空調がないせいで、他の文学館から資料を借りるということも出来ずにいた。
それでも、来館者は年々増え、いまでは4000名を超えるようになった。
財団が運営していた当時の来館者が800名だったことに比べれば飛躍的な増え方である。
その後、念願の空調設備が入り、ようやく記念館としての環境が整った。

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“来館者を増やすというのは至上命題です”

仁王さんがそう言い切るのには理由がある。
実は過去に記念館は廃館、資料は図書館へ移動という話があがったそうだ。
その時、日頃は疎遠な地元の住民、我入道の住民が反対のために立ち上がろうとしたことが仁王さんは嬉しかったそうだ。

“本当に嬉しかったですよ。地域のための記念館でもあるんだなと思いました”

建築家、菊竹清訓氏の設計による鉄筋コンクリート造2階建の建物を見学に来る建築ファンや学生も多い。

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また、記念館の屋上から見る景色、特に駿河湾に沈む夕日は仁王さんのおすすめでもある。
この景色を楽しんでもらおうと屋上は常に解放されている。

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地元住民の誇りとしての記念館。全国の芹沢光治良ファンが集まれる場所としての記念館。
2階建のこの小さな記念館は建物以上の大きな意味を持っている。

≪沼津市芹沢光治良記念館≫
沼津市我入道まんだが原517-1
TEL:055-932-0255
http://www.city.numazu.shizuoka.jp/kurashi/shisetsu/serizawa/

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ツーリングの拠点~レンタルバイク沼津駅前店~

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整然と並んだバイクの数々、そのなかから自分の好みで選んでレンタルする。
選べるのはハーレーやNINJA1000、CB400などバイク好きにはたまらないラインナップだ。
仲見世商店街のレンタルバイク沼津駅前店。
レンタルは4時間から。
ここでは50ccスクーターから1000ccオーバーの外車まで豊富な在庫の中から目的に合ったモデルを選ぶことができる。
4時間2880円~20,880円と車種によって値段が変わる。
ヘルメットやグローブといったバイク用品も揃えているので、手ぶらで借りることも可能だ。

“ここでレンタルして伊豆半島一周したり富士山を一周したりと楽しみ方は人それぞれ、沼津はどこへ行くにもちょうどいい場所なんですよ”

そう語るのは店長の宮本宏治さん。

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初心者から数十年ぶりにバイクに乗るといった人までお客さんも様々だ。
そのなかでも多いのは40~50歳のお客さん。
若いころに乗っていたが結婚や引っ越しなどの理由で今はバイクから遠ざかっている、そんな方が多いそうだ。バイクに乗るとみんな笑顔になって戻ってくる、嬉しそうに宮本さんは言う。

“帰ってくるとどこへ行ってきたとか報告してくれるんですよ。皆さん、本当に楽しんでくれて。そんな笑顔を見るとこちらまで元気になりますね”

もともとバイクが大好きな宮本さん、お客さんとも自然に会話が弾むという。
レンタルから戻ってきたバイクを洗車するのも宮本さんの仕事。
いつでも綺麗なバイクを貸し出せるよう、丁寧に洗車する。
洗車が趣味じゃないとこの仕事はできないと宮本さん。

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“バイクは目的なくただ走っているだけでも楽しい。風を直接感じることができて、自然を大切にしようと思えてくる。解放感というのは車とは全然違いますね”

車とは違う景色、いつもとは違う視点で伊豆や周辺の自然を楽しむ。
スピードを出すわけでもなく、ゆっくりと安全運転で。
レンタルバイクという新しいスタイルで沼津を基点に旅をする。
天気のいい休日、新しいことに挑戦してみてはいかがだろうか?

≪レンタルバイク沼津駅前店≫
沼津市大手町5-4-21
TEL:055-963-8558
営業時間:10:00~19:00
定休日:毎週水曜日
    毎月 第2 第4 火曜日
http://www.rental819.com/area/shopinfo.php?tenpoid=05601&area=6

海の見える畑(獅子浜)

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沼津アルプスの麓に海の見える畑があると聞き、現地へ向かってみた。

沼津駅南口から414号線を南へ車で15分ほど走る。
右手に海が見えたあたりからわりとすぐに静浦漁協。
そのすぐ先あたりに本能寺の入口がある。

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本能寺の脇を抜け、現在は廃校の静浦小学校を目指して上り坂をいくと
右手の少し開けた場所の吾妻神社が現れる。

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吾妻神社はもう少し上部にあったのだが、最近この場所へ移築されてきた。
コンクリートで整備され、緊急避難場所として自治体が管理している。

車を降りるとこの景色
どどーん。

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なんとも気持ちの良い眺め。

そこから右手のこのエリアが今回の案件。

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すこしわかりづらいが、手前からカーブした細長の土地、奥は台形。
ひしゃく形の変形土地。
一年ほど前まで家庭菜園を楽しんでいて
ハーブが自生していたり、アロエ、びわ、夏みかんなども植えてあった。

海の見える方角が南側のため日当たり良好。
画面右手の小高い丘に登ってみると
こんな感じ。

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友人や家族でこの景色を見ながら週末農園。
春にはお花見、仲間たちとこの場所をシェアするのもよし。
キャンピングカーでバカンスなんていうのも一興。

【物件情報】
住所 : 沼津市獅子浜
土地面積 : 370㎡(地目:畑)
賃料 : 月1万円
敷金:礼金: なし
賃貸契約 : 1ヶ月から可能

問い合わせ* 090-5626-1527 (小松正人)

 

NUMAZU treasure hunting #7

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1910′ register
at AKANOREN
N35°5’49.77″ E138°51’28.68″

老舗を復活させた5代目の想い~Grandma~

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創業は明治34年、沼津御用邸にお菓子を納めていた名店として長く愛されていた旭園本店。
沼津市内で初めてカステラを販売した店ともいわれているが、今から15年前その長い歴史に幕を降ろし閉店した。その旭園本店が名前をグランマと変え、復活したのは昨年の10月。
開店時には復活を待ち望んだ多くのお客さんの長い行列が上土商店街にできた。

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“この場所ってケーキ屋としては致命的な立地条件で、駐車場もないし駅からも少し離れてるし、全然人が来てくれなかったらどうしようとか不安もありました”

そう語るのは旭園本店から数えて5代目となる店主の中川英俊さん。
子供の頃はパティシエになるのが嫌で寿司屋になりたかったそうだ。
それは年中無休で忙しく働く両親を見て育ったからだという。
幼かった中川さんの面倒を見てくれたのはお祖母さん、そんなお祖母さんへの想いもあってグランマという名前を付けたとのことだ。
神奈川や県内の洋菓子店で12~13年間の修業を積んだ中川さん。

“修行中は何度も逃げようと思っていました(笑)でも、両親が元気なうちに店を再開したかった。その想いだけです。それがなかったらとっくに辞めていました”

両親や祖母に対する想いがグランマを作り上げている。
それは自分を育ててくれた家族、そして沼津に対する感謝の気持ちである。

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“父親の代からひものサブレなどを作っていたんですが、目指すは沼津を発信できる和洋菓子屋なんです。沼津で生まれ育ったわけですから、沼津のものを県外に発信できるお店にしていきたいですね”

沼津の名物である干物の形をしたひものサブレは先代から親しまれていたもの。
また、地元のものを使いたいとグランマで使用するすべての塩を戸田の特産である戸田塩に変えた。
先日、戸田塩の会の会長の菰田さんがグランマを訪れた。

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菰田さんのお母さまは、旭園本店の常連客だった。
当時戸田村から沼津の街中に出た時は必ず旭園本店に寄りお土産を持って帰った。
そのお土産は菰田さんにとって、とても特別なものだったようだ。
そんな素敵な思い出を与えてくれた旭園本店が閉まった時はとても寂しかったそうだ。
時代は経てグランマとして復活し、その材料に自分たちが作った塩が使われる事になった。
“夢のようだ”と菰田さんは呟かれた。

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旭園本店の伝統を守りつつも地元の素材を使い新たな試みを模索する。
それは代々受け継がれていく店を守るという強い想い。そして、この地域への感謝の想いの現れだ。

お菓子というモノは、不思議な食べ物だ。
プレゼントされたお菓子のまわりには笑顔が溢れる。
グランマに買いに来る人は渡す人の事を考えているのか、ワクワクした表情をしている。
そして昔の楽しかった何気ない家族のイベントを思い出す方も多いようだ。

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代が変わっても旭園本店からのスピリッツも引き継がれ、
このお菓子は地域の人々を心豊かにさせてくれる。

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≪Grandma≫
沼津市上土町63
TEL:055-962-2588

古本のソムリエ~平松書店~

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【2014年の記事です。現在は記事のサービスを施設で提供しておりません】

昭和58年から店を構えておよそ30年、知る人ぞ知る沼津の古本屋、平松書店。
ご主人の平松久幸さんは古本屋を始めようと東京は神保町で6年間修行した。
古本屋で修業というと不思議と思われるかもしれないが、奥深い本の世界、広く知識を得るために修業は欠かせないと平松さんは言う。

“神保町は全国から本が集まるんです。仕入れのためにいろんなところに行きました”

日本中の本が集まる神保町で修業しなくては本を知ることはできないと平松さんは言う。
当時は休日も返上し、本を探したそうだ。そのすべてが経験となり現在の平松書店を作り上げている。

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一歩店内に入ると山積みにされた本に圧倒される。
どこに何があるのか探すのも苦労するが、そんなときは平松さんに聞けばいい。

“本のことは全部知らないといけないんです”

様々な分野の本があるなか、特に目を引くのは沼津や伊豆といった郷土史関連の本。
資料になるものはなんでも揃えているという。
井上靖や芹沢光治良など沼津ゆかりの作家の作品も多くある。
そのためか図書館や明治史料館からの注文もあるそうだ。
また、学校の先生やお寺の住職など勉強したいという人が自然と集まるようになったとのこと。
転勤などの理由で県外から来た人のためにも沼津がわかる本をそろえておかなくてはいけない、平松さんは使命のように語る。

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“地味な商売ですけど、地域社会のためにと思ってやっている部分もあるんですよ”

本が売れなくなっているという現在、欲しい本はネットでも探せるようになった。
それでも昔ながらのやり方で古本の販売を続ける平松さん。
どんな本が欲しいのか、何を知りたいのか相談してくれれば一緒に探してくれるという。
それはまるでソムリエのように。専門店だからできるサービスがそこにある。
調べていることがあればそれに合わせて仕入れをしてくれる。
欲しかった本、知りたかったコアな情報を平松さんと共に調べる。
たまにはそんなアナログな方法も面白いかもしれない。

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≪平松書店≫
沼津市大手町4-6-8
TEL:055-963-3963

上土町センタービルの住居

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沼津駅南口の大通りを港方面に向かって7分ほど歩くと上土商店街はある。
ホテル、呉服屋、洋服屋、ケーキ屋、カフェ、八百屋、バル、眼鏡屋…、
老舗のお店から若い店主のお店まで。
そんな商店街、個性溢れるお店に目がいってしまうが、上を見上げると実は住居スペースがあるのだ。
このあたりの商店街は上層階が長屋のように横つなぎの住居区になっている。

3階、4階あたりはまるで学校の教室のように
長い廊下でつながっているのだ。

今回はこの商店街の中程に空き物件があると聞いてたずねてみた。

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「上土町センタービル」
はっ!こんなところに看板を発見。なんともクラシカル。
奥へ進む。

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全面コンクリートの階段。階段幅、天井は高めでさながら外国のアパートメントを彷彿とさせる。

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最上階の4階に到着。なんだか映画に出てきそうなアジトの雰囲気。

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廊下にたどり着くと一変して明るい日差しの降り注ぐ玄関に到着。

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アンティーク好きにはグッとくる玄関周り。防犯ガラスが蜂の巣柄。
シャビー感あふれる玄関扉と宝石箱を開ける時の鍵に違いない鍵穴。
玄関に入る前に廊下窓を覗くと。。。

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どどーんとリバーサイドホテル。かっこいい。

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玄関から廊下つなぎに台所になる。二口のガスキッチン。日中は陽の光が入り明るい雰囲気。
ちなみに手前がトイレ。奥に二部屋縦長に続く。

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突き当たりがベランダ。洗濯機置き場と物干しスペース有り。

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ベランダからの景色はこんな感じ。左下に見える駐車場は別途で利用可能。

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収納は一間半と戸袋付き。寝室とリビングの間に壁がありますが冷暖房効率を考えると
ほどよい広さかと。相談で壁の撤去も可能。

リフォームしたばかりで綺麗。
ここは大家さんの家族が使用していた部屋なので、なんとエアコン、ベッド、冷蔵庫、電子レンジ、トースターはそのまま使用できる。
なにかと物入りな引越しにはありがたい。
新生活はもちろん、仕事部屋、セカンドハウスなどの利用方法も
商店街のなかの拠点として面白い物件だ。

【物件情報】
住所:  沼津市上土町
間取り: 2K(風呂トイレ別)
家賃:  45,000円
敷礼:  1:1
駐車場: 近隣に有り別途料金
問い合わせ先:055-962-3225
洋服のノーブル 担当:内田

街角で会話とコーヒーを~mota~

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新仲見世を通り過ぎてすぐ十字路の角に店を構えるmota。
店の外にはテーブルとイス、常連さん達が仲良くコーヒーや会話を楽しむその姿にどこか外国の街角のような佇まいを感じる。
店内に入るとオーガニック素材の洋服や静岡県東部や伊豆といった地域の作家の作品が目に飛び込む。意識的に地元の作家のものを置いているそうだ。

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motaの店主、加藤健一さんはこの商店街の出身。
7年前に店をオープンしたときから、友人や両親の知り合いまで自然と多くの人が集まった。
事実、この日も様々な人がお店を訪れていた。

“席も限られた小さいお店なので、お客さん同士が自然と仲良くなるんです”

自然発生的に人と人が繋がる。
それは加藤さんが当初から目指していたもの、この場所だからできることかもしれない。
加藤さんは高校卒業後、海外に行きたいとの想いでオーストラリアの牧場で働き始める。
その後、アメリカのサンフランシスコへと行くと日本料理店やスニーカー屋で働く。

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日本に戻りお店を開こうと思った時、決めたこと。

“まず自分が興味のあるものを扱おう”

motaを始める際に詰め込んだもの、それは中学生のころに好きだったスケーターの文化や本場サンフランシスコで直接触れた文化だった。
それが店の個性となり多くの人を引き寄せる下地になっている。
個人のお店がその街の文化レベルを知る材料となる。

“意地でもお店を続けないといけない(笑)”

沼津が好きで沼津の街の変化を見てきた加藤さん、人通りが減っていると言われる現在だからこそmotaの重要性は増す。
街角でコーヒーや会話を楽しむ光景。この光景がそのまま沼津の文化になる。

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若い人からお年寄りまで誰もが立ち寄れて仲良くなれる場所、沼津の街角に忽然と現れたメルティングポット。
メルティングポットとはさまざまな民族が集まり、文化的に溶け合っているアメリカの社会を形容して言う。
個性的なお店が集まることによって、いろいろな個性の人々が集まり、その多様性が魅力的な街になっていく。

自分が自分らしくいれる場所、それがmotaという店の本質だ。

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≪mota≫
沼津市町方町2
TEL:055-963-1123