沼津駅から歩いて5分、路地裏に全国から注目されるhalという雑貨店がひっそりと佇む。
「お母さん、旅はじめました」「ほどほど収納が心地いい」などの書籍も書かれる店主の後藤由紀子さんのお店だ。
2人の子どもを育てるために無理をしない16時までの営業。
店内は後藤さんのセンスで集められた雑貨でなんとも心地のいい空間、そしてそのモノの物語を後藤さんから聞くのもとても心地がいい。
後藤さんはオープンをした15年前を振りかえる。
飲食から雑貨屋をやろうと決断するまで1日。
朝送り出すときは「私、子供が中学生になったら飲食店をやりたいの」と言っていたけど
夕ご飯の時、「雑貨屋をやることにしたから」という具合にそれは突然だった。
その決断は、その中心にいつも家族がいたからだった。
子供が風邪をひいたとき、
子供のそばにいたいけど飲食店でそれをやってしまったら食材が腐ってしまう。
大好きな食。それに付随して食器も好きだった。
そうか食器なら腐らない!じゃあ雑貨屋をやろう。
そう思いついた時に不動産屋に電話をして6つの物件のファックスをもらっていた。
商店街から少し外れたところにあるhal。
入口はアルミサッシ、で外観も何の変哲もない。
むしろ雑貨屋さんだということが不自然なくらいのシンプルさ。
入口にある椅子の上の「hal」という文字がやさしく店内へ誘い込む。
中に入るとその外観からは想像がつかないくらい所狭しと並んだ雑貨達によってわくわくする空間がある。
食器、洋服、鞄、長靴、お茶、本。。。
おいてあるものはほとんどお友達の作品など“縁”あるもの。
たくさんの本があるのも印象的だ。
“本もね、知り合いが書いた本なの。この人はハワイが好きすぎるの。でこの人は鹿児島ばっかり行く人。あ、この人は台湾が好き。
この焼き物もお友達がプロダクトデザインをやっていて・・・
縁でつながっているものばかりなんです”
そう一品一品大切そうに解説をしてくれる後藤由紀子さん。
あったかくゆるやかな空気。
やさしく包み込む由紀子さんの空気感に思わずおしゃべりをしてみたくなる。
もともと店舗ではなく事務所だった場所。
お店にするにはちょっと味気ないかなとおもう壁や床。
なんでこの場所にしたのですか?という問いにきっぱりと
“大家さんがいい人だったから”
お金もなかったらからまったくリノベーションはしていないという。
電気を外したりはしたが基本はそのまま。
“床もはがして打ちっぱなしにしようと思ったけどめんどくさいからやめちゃった”
おちゃめにそう答える。
手の込んだリノベーションをすることなく、できる範囲と持ち前のセンス、そして由紀子さんの雰囲気で居心地の良い空間を生み出している。
なによりも“縁”で選んだ物件。
大家さんとも仲良しだそう。
大切にしている“縁”
雑貨も物件も人も。
“hal”は、私たちが持つ日常にあふれる“縁”を見つけ大切にすると
何の変哲もないことも特別なものに変わることを教えてくれる。
沼津のために尽くした人に贈られた「Proud Numazu 賞」のトロフィー
≪hal≫
沼津市添地町124
TEL:055-963-2556