クレマチスの丘のでヴァンジ彫刻庭園美術館で「イケムラレイコ PIOON(ぴよ~ん)」展がはじまった。
ベルリンとケルンを拠点に活動を行うイケムラレイコさんのヴァンジ彫刻庭園美術館にて8年ぶりの個展だ。
90年代に制作された彫刻から、全長3.4メートルにおよぶ信楽焼のうさぎ観音まで、
数多くのうさぎがあらわれる。
イケムラレイコのうさぎが紡ぐ美術館と庭園をめぐる物語。
このうさぎ観音は、東日本大震災以降の被災地に住む人々、そこで暮らす動物たちへの想いが直接のテーマとなっているそうだ。
イケムラさんは東京とベルリンを往復しながら、東北や日本に対して自分にも何かできないか考えこの作品の制作に取り掛かった。
出来上がった作品を福島に置いて頂く事も考えたそうだが、輸送や受け入れ先の問題もあり実現には現段階では難しかった。
そこで、この作品をヴァンジ彫刻庭園美術館で展示することになった。
イケムラさんの想いが美術館に溢れる。
美術館の副館長である岡野さんは、この想いをクレマチスの丘だけに留めておいてはいけないと思ったそうだ。
作家の想いを美術館で表現し、そしての外にも発信するのが美術館の役割ではないかと。
そして、PIOONプロジェクト ~うさぎがつなぐ東日本復興支援チャリティ~が始動することになった。
このプロジェクトは静岡県東部のカフェやレストラン、雑貨店、ホテルなどの12か所の店舗にて、イケムラさんの想いに賛同するさまざまなアーティストの作品を展示する。
そこに参加するアーティストがプロデュースする限定品や“PIOONバッジ”を販売し、制作費を除く売上金を東日本復興支援として寄付をしていく。
このように美術館から作品が地域に出ていくことはヴァンジ彫刻庭園美術館では初めての試みだそうだ。
美術館にとって、自分たちができること、そして可能性を考えた。
一件一件、学芸員がお店に行きコンセプトを確認しながら、お店の雰囲気にあったものを展示する打ち合わせをした。
Lot.nではベルナール・ビュフェ美術館にて21世紀アートプロジェクトとしてFour Songs展を開催している美術作家・佐々木愛さんが4月22日から制作することになった。
砂糖と卵白でつくられた素材で線を重ねて模様を作っていった。
シュガードローイングというそうだ。
とても細かい作業。
5日間作業が行われ、「はじまりの舟」という作品が完成した。
Lot.nのテーマの一つである狩野川の名前の由来が「軽野船」からきている事を聞きイメージを膨らませたそうだ。
「ここは、いろいろな人が集う場所なので、この森を運ぶ船の絵を多くの方に楽しんで頂ければと思います。
作品が昔あの場所から旅立った舟のように、さまざまな出会いのはじまりのひとつになれたらうれしいです。」
と佐々木さんから作品についてコメントを頂いた。
そして店舗内には缶バッジにもなっている佐々木さんの「眠りうさぎ」の絵画が展示されている。
同じ商店街では、八百屋のREFSに杉戸洋さんの作品、洋服店のC-threeには持塚三樹さん、レストランのOPERAには岩崎有加さんの作品を見ることができる。
企画をした岡野さんは、はじめてこの地域の街に作品が出たのを見て、やはり作家の力は強いと感じたそうだ。
「クレマチスの丘がオープンし12年経ち、やりたいことがまた一つ出来た。そしてこの取り組みを次につなげたい」
と語られた。
アートの力が美術館の外に溢れること。
それは素晴らしい文化が地域に広がる事になる。
クレマチスの丘で美術館に行ったあと、地域に飛び出したアートのPIOONプロジェクトの作品をめぐる三島と沼津の散歩もおすすめだ。
そして、ぜひ各店舗で300円の“PIOONバッジ”も手にぜひ手に入れて頂きたい。
PIOONプロジェクト
http://www.pioon.info/project/