沼津市は平成29年3月に、雇用の促進を目的とした沼津しごと応援サイト「ぬまジョブ」をオープンする。
インターネットを通じた求人は掲載費用がかかる場合も多いが、この「ぬまジョブ」は沼津市内の企業であれば無料で登録することができる。
その役割は求人だけにとどまらず、製品紹介やビジネスパートナーの募集、画像・映像を使った会社のPRなど、マルチに活用できるウェブサイトになる予定だ。
2月14日、同サイトの開設にともない、沼津市役所にて『“沼津で働く魅力を伝える”企業のための求人セミナー ~求職者に沼津の企業の魅力を知ってもらい、優秀な人材を集めるコツについて学ぶ~』が実施された。
講師を務めたのは株式会社いろあわせの代表、北川雄士さん。
「一人ひとりのいろ(=魅力)を大切にする豊かな社会を創りたい」と、学生の就職支援や企業の人事のサポートをする会社を経営したり、滋賀大学の講師を務めたりしている北川さんは、入社面接や採用戦略策定など、約10年にわたり採用に関する仕事に携わってきた
そんな採用のプロフェッショナルを講師に迎えたセミナーは、成長する人材の特徴や採用する側の心構えまで内容は幅広く、聴講者は真剣な様子で耳を傾けていた。
全国の地方都市と同様に、沼津にも「求人を出しても応募がない・優秀な人材がこない」という悩みを抱えている企業は多い。
北川さんによれば、やみくもに求人を出す前に、まずは自社の魅力と向き合うことが大切だという。
20~30代では仕事選びにおいて、自分の居場所、働く意味を重要視する人が増えている。東日本大震災以降は特に、その傾向が顕著になってきた。
だからこそ、求人においても給与や事業内容をただ紹介するだけでは足りないのかもしれない。
どんな人たちが働いているのか、そこにどんな思いがあるのか。そんな会社の中にあるストーリーまで伝えていくことが、必要不可欠になりつつある。
どの企業にも言えることだが、会社が存続しているということは、その会社には必ず何らかの長所がある。
なぜ、お客様がついてくれているのか。
そこを改めて問い直すことが、会社の魅力を掘り起こすカギになる。
また、長く働いている社員や経営者が「辞めない」理由を考えてみるのもひとつの方法だ。そのようにして会社の魅力やストーリーを見つけ出し、わかりやすく伝えていくことが、有望な人材を採用するための近道になる。
企業の中で活躍するキーパーソンは、給与や事業内容より、最後は人で会社を選ぶ。
北川さんは、人事としての長年の経験からそう断言する。
お金や世間体に囚われない自分の価値観をもつ人は、自分なりの答えを生み出せる人材が多いという。
企業のもつ魅力をしっかりと伝えることができれば、規模や売上、業種に関わらず、チャンスがあるはずだ。
また、ワークライフバランスを重視する人が増えていく中で、都会にはない地方ならではの魅力を発信していくことも沼津における求人のポイントになる。
沼津は、多くの人が求めている「自分らしい暮らし」を叶えるための資源が豊富にあるまちだと話すのは、同セミナーの企画に携わった沼津ジャーナル編集部の小松。
川を眺めながら働いたり、仕事帰りに海沿いをサイクリングできる環境がある。
日本一高い山と日本一深い海が近くにあって、まちの中にはゆるやかに流れる川がある。
都心のように週末渋滞に巻き込まれることもなく、のんびりと遊びに出かけられる。
ほどよく田舎、ほどよく都会の沼津だからこそ、叶えられる暮らしがきっとある。そして、このまちには、自分なりの想いを持ちながら働く人々がたくさんいる。
だからこそ、沼津にあるさまざまな中小企業がこの土地ならではの働き方やそれぞれの思いを発信していけば、そこに魅力を感じる人は多くいるはず、と小松は話す。
都心に暮らしながらも、人と比較・競争し続ける人生に疲れ、給与や評価、成長率のような指標から離れたいと願っている人は少なくない。
沼津というまちは、自分の価値観を持ち、自分で大切なものを決め、ゆったりと人生を送りたいと考えている人々にふさわしい場所に思える。
「ぬまジョブ」はきっと、市内企業の魅力を発信しながら、沼津で働きたい人を後押しする、会社と人をつなぐ新たなプラットフォームになっていくだろう。
ぬまジョブ
http://www.numa-job.net/