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昭和58年から店を構えておよそ30年、知る人ぞ知る沼津の古本屋、平松書店。
ご主人の平松久幸さんは古本屋を始めようと東京は神保町で6年間修行した。
古本屋で修業というと不思議と思われるかもしれないが、奥深い本の世界、広く知識を得るために修業は欠かせないと平松さんは言う。
“神保町は全国から本が集まるんです。仕入れのためにいろんなところに行きました”
日本中の本が集まる神保町で修業しなくては本を知ることはできないと平松さんは言う。
当時は休日も返上し、本を探したそうだ。そのすべてが経験となり現在の平松書店を作り上げている。
一歩店内に入ると山積みにされた本に圧倒される。
どこに何があるのか探すのも苦労するが、そんなときは平松さんに聞けばいい。
“本のことは全部知らないといけないんです”
様々な分野の本があるなか、特に目を引くのは沼津や伊豆といった郷土史関連の本。
資料になるものはなんでも揃えているという。
井上靖や芹沢光治良など沼津ゆかりの作家の作品も多くある。
そのためか図書館や明治史料館からの注文もあるそうだ。
また、学校の先生やお寺の住職など勉強したいという人が自然と集まるようになったとのこと。
転勤などの理由で県外から来た人のためにも沼津がわかる本をそろえておかなくてはいけない、平松さんは使命のように語る。
“地味な商売ですけど、地域社会のためにと思ってやっている部分もあるんですよ”
本が売れなくなっているという現在、欲しい本はネットでも探せるようになった。
それでも昔ながらのやり方で古本の販売を続ける平松さん。
どんな本が欲しいのか、何を知りたいのか相談してくれれば一緒に探してくれるという。
それはまるでソムリエのように。専門店だからできるサービスがそこにある。
調べていることがあればそれに合わせて仕入れをしてくれる。
欲しかった本、知りたかったコアな情報を平松さんと共に調べる。
たまにはそんなアナログな方法も面白いかもしれない。
≪平松書店≫
沼津市大手町4-6-8
TEL:055-963-3963