徳倉山の麓、下香貫に沼津唯一の温泉湧出岩風呂を備える割烹旅館、翠泉閣。
利用客の多くは観光客だというので今回は観光気分で訪れてみた。
まず、徳倉山を背に5階建ての白い外観が目に飛び込む。
そのレトロな佇まいに胸がときめく。
玄関には歴史の刻まれた“月の湯温泉翠泉閣”の看板。
月の湯とは温泉を掘った年にアポロ11号が月面着陸に成功したことにちなみ名付けたそうだ。
玄関を入ると整然と並べられたスリッパ、ロビーには独自のセレクションが面白い土産物が並ぶ。
温泉宿らしい出迎えに旅行気分をくすぐられる。
案内していただいたのは旅館の女将、藤井照子さん。
ここで宿を始めておよそ40年。長年宿を切り盛りしてきた名物女将である。
早速、翠泉閣自慢の温泉に案内していただくとこの辺りでは珍しい茶色い温泉にテンションが上がる。
沼津アルプスの登山後、疲れた体を癒しに温泉に宿泊というのも良さそうだ。
そして客室へ。
おお!この部屋も昭和感溢れていい感じだ。
5階からの眺望は良く、御用邸の松林や牛臥山、びゅうお、沼津の市街地、そして富士山まで一望できる。
夏には沼津の花火大会も見れるとのこと。
女将さんの話によると昔は一面田んぼが広がっていたそうだ。
ここで夕食が登場!
板前さんによる新鮮な駿河湾の幸たっぷりのごちそう。
アワビのステーキに刺身、カサゴの唐揚げ、カニ、さざえ、鍋、このボリュームである!
この食事を楽しみに毎年訪れる常連客がいるのもうなずける。
素泊まりも可能だが、せっかくなら女将さん自慢の料理を味わいたい。
料金は1泊2食付で10,000円〜。
食事のあと、旅のワクワクは止まらない。
旅館の夜を華やかに飾るパブハウス、ポンツウ。
この何とも言えぬ絵に描いたような昭和の空間。
アポロ11号で湧いていた時代を思い浮かべながら歌謡曲を歌いたくなった。
パブハウス ポンツウは宿泊客以外のお客さんでも利用可能とのこと。
“うちは小さな旅館ですが、その分お客様の都合に合わせることができるんです”
食事の時間であったりお客さんの要望に融通をきかせてくれるのも翠泉閣の魅力。
翠泉閣に宿泊すること自体を目的に訪れる方も多いそうだ。
昭和から変わらず続く“おもてなし”が魅力満載の旅館と女将さんの人柄、沼津の隠れた名所に心躍った一日であった。
≪翠泉閣≫
沼津市下香貫林ノ下2031-5
TEL:055-932-1325
http://www.j-mn.net/suisenkaku/