ダンスが持つパワーが地域へ〜エルパシート 小泉奈々美さん〜

凛とした美しい立ち姿が印象的な小泉さん。ダンサーだと聞いて納得した。
小柄で華奢な彼女からは想像できないくらい情熱的なパワーを感じる小泉さんは横浜や都内、そして沼津でもペアダンスのレッスンを行いイベントも主宰している。
さらに枠を飛び越えダンスを活かし、地域にもアクションを起している。

3歳の頃からバレエを10年くらいやっていたが、反抗期に踊るのを辞めてしまった。
しかし大学生になりヒップホップのダンスサークルに入った。レゲエ等色々なジャンルに挑戦。その頃横浜に住んでおり、アルバイト先に横須賀の米軍基地の人が来て、その縁で米軍基地で運命のダンス“サルサ”に出会った。サルサに出会ってからはペアダンスやサルサの虜になっていった。今まで観客にみせるダンスを踊っていた小泉さんにとって、一緒におどる、日常的なダンスの楽しさに衝撃を受けたそうだ。

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元々海外に興味のあった小泉さん。高校のときにはオーストラリアへ短期ホームステイ。
そのときにドラマという演劇の授業で言葉は通じなくとも表現することで繋がることができると実感。そのときバレエをやっててよかったと思ったそう。

大学卒業後は海外との繋がりを持つためには手に職をということでシステムエンジニアの世界へ。
その後IT企業へ転職。大手町、六本木と都会のど真ん中で働いた。仕事終わりには毎晩のようにサルサを踊る生活。忙しい毎日の中でもサルサは生き甲斐になり、仕事を頑張る原動力になった。しかしハードワークは知らず知らずのうちに小泉さんの身体を蝕んでいった。度重なる体調不良、そして手術、やりがいもある仕事だったがこのままでいいんだろうかと悩み、自分しかできない仕事をしようと仕事を辞めた。
そして家族のそばにいたいということ、将来子どもを育てるなら都内ではない方がいいと思うようになり沼津に戻ることにした。

その頃、会社員の友人が本業の傍ら、貸しスタジオを経営していた。
体調を崩し将来への不安もあった時期なので場所の運営と経営に興味を持つようになった。

それと同時に“場”があったら色んな人が集まってその人たちを繋ぐことが出来るという想いが浮かんだ。
「元々ペアダンスっていう一人で踊るダンスじゃなくて2人で踊るダンスだから、そこで人がつながってコミュニティーが出来ていくんです。
都内とか横浜って田舎から出て来て知らない人同士の集まりなんだけど、気付いたらみんなが家族みたいになったり、外国の人が来てもそこにすぐ打ち解けて仲良くなったりとかそういうのが楽しくって。」
その経験が、この地方にも“場”があったらその活動がもっと色々な可能性を持ち、様々な企画が出来ると確信していく。

2016年12月末に沼津に戻り、”ダンス&カルチャースクール”となる場所作りを始めようと動き出した。
不動産を何件も見てたが良い物件は見つからない。スタジオの居抜きならすぐに始められるが、普通の物件だと自分で一から内装等を整えなければならないが、建築関係の知り合いもおらず、どこから手を付ければよいかも見積もりが妥当かもわからず悩んでいたときに、お母さんが広報沼津で見つけたリノベーションスクールを勧めてくれた。
「それを見た瞬間すごい面白そうって思ったし、今会いたいなって思う人に会えるんじゃないかってすぐ申し込んで。そしたら本当に会いたかった人達に出会えた!」

そう嬉しそうに語る小泉さんが入ったユニットでは、対象物件の持つ歴史や立地、そして小泉さんのダンス講師であることや想いが合致し「おどる商店街」という提案が出来上がった。
プレゼンテーションではユニットの仲間たち、そして小泉さんの熱い想いがたくさんの人に感動を与えた。

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リノベーションスクールで新しい意見やアイディアを聞き、仲間や理解のある不動産オーナーさんや夢を叶えるのに良い物件にも巡り会えた。

「自分のやりたいことを人に伝えるのが苦手だったから、あんまり夢を語ってなかったと思うんです。リノベーションスクールで夢を伝えたところ、色々な人が応援してくれたり、あのプレゼンを聞いてワクワクしたから私もなにかやりたいと声をかけてくれたりして。それがすごい自分の中でも手応えを感じました。
自分がワクワクして熱意をもってやろうとすることって人にも通じるんだなって。
そのワクワクは人に伝線していくんだなって感じて、自分がみんなに夢を応援してもらった分、私も他の人の夢を応援してあげたいなって気持ちもすごいでてきました。
まだ形は見えてないけど、これからつくる“場”もそんな場所になったらいいなと思っています。」

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ダンスの枠にとらわれず、カルチャースクールを通じて様々な人が繋がりることとを目指していた小泉さん。
その根底にはダンスの可能性を十分に感じているからだ。サルサに出会いこんなに素敵な踊りがあることをみんなに知ってほしい。
ペアダンスは耳や目が不自由でも楽しむことが出来る。そしてダンスは言葉の壁を超える。だからこそ世界と繋がれる。そのことがまた郷土愛へと繋がっていく。

そんな想いを抱き、具体的に未来を描いた。

そして2018年11月沼津の新仲見世商店街にダンススタジオ兼カルチュアルスタジオ「EL PASITO (エルパシート)」がプレオープンした。

エルパシートとはスペイン語で小さな一歩の意味。

まずは一歩。空調、照明、フロアの改修などダンススタジオに必要な最低限の改修と音響や鏡などの備品は揃えることができた。

新しくできたスタジオはなぜか懐かしく温かみがある空気感。

しかしレンタルスタジオとして快適に場を提供するにはもう少し改修が必要だ。

正式オープンに向けてクラウドファンディングをすることにした。

https://readyfor.jp/projects/elpasito
(2月28日(木)23:00まで支援を募集しています)

「今までは“ダンスなんか…”みたいに言われることが多かったし、今も言われることはあるんだけど、それを一生懸命自分がやっていくことでダンスが好きな他の子どもたちや若い子たちに夢をあたえたい」

そう笑顔で語られた。

沼津の寂しくなった商店街の2階から新しい光がこぼれ、音楽と笑い声が街中にやさしく響く。

小さな一歩を踏み出し”場”をつくった小泉さんのまわりに共感者が増える。

ダンスが持つ可能性。そのパワーがこうして地域へと流れ、きっと新たな文化が出来ていくのだろう。