沼津駅南口から5分歩くと、アンティークなドアが印象的なウブリエがある。
クラシックで素朴なフランス料理が食べられるお店が2017年1月末にオープンした。
北川さんご夫婦のセンス溢れるお店だ。
店名はフランス語の、”Le temps oublier=時間を忘れて”
という言葉から名づけられた。
シェフの北川友章さんは沼津市戸田出身。
東京で学生生活を送った後、東京の旅館で料理の修業、
静岡に戻りフレンチ店で修業をし、独立をすることになった。
ソムリエでもある北川さやかさんは、修善寺出身。
服飾の学校に通った後、沼津のライフスタイルショップの先駆けブルーウォーターで洋服の販売を担当していた。
二人は結婚をして8年目。
結婚した当初から二人の夢が詰まったお店を出すため、定期的に東京やパリに行き、おいしいことを吸収していった。
オープン前年の4月から物件探しが始まった。
探していたのは、駅から近くて一軒家の物件。
始めから現在のお店になる物件が気になっていたが条件が合わず、沼津・三島・熱海など様々な物件を巡った。
二人には共通して中学や高校生の時、沼津の街がハレの場だった思い出があった。
また、さやかさんの職場が沼津だったので、その時のお客様の顔を思い出し、お店に来てくれる方達の顔が具体的にイメージできた。
そして沼津の賑やかだったかつての記憶が、ここでやりたいという思いを強くさせていった。
大家さんに想いを伝えると、ネックになっていたことの費用を一部負担をしてもらうことや様々な条件で融通をきかせてもらうことに。
沼津市の空き店舗対策の補助金の存在も一歩踏み出すための大きな励みとなった。
契約をし10月1日に工事がスタート。
設備はプロに任せて、壁を塗ったり自分たちで工事を行うことにした。
内装のデザインは奥さんが担当。
この7年で見たり食べたりした、フランスのビストロや都内の自然派ワインを飲めるところを思いだしながら、自分の好きな雰囲気にしようと思った。
テーマはあたたかく、やさしい感じに。
カウンターのコンクリートにも黄色をつけることに。
料理人らしくターメリックを混ぜたそうだ。
なかなか納得がいかない。
作っては壊しての繰り返し。
まるまる2日間かけて仕上げたワインセラーの壁、さやかさんが納得がいかず塗り直したいと言った時は友章さんはマジかよ!と心のなかで思ったそう・・・
プロの仕事ではないD・I・Yの良さは、何回も試しながら自分たちの好みに合わせていくことができること。
しかしプロに任せた方が時間は明らかに早い。
仲間にも手伝ってもらったD・I・Yの日々は約3ヶ月間かかることに。
無事に1月27日にオープン。
やっとスタートラインに立つ。
開店をした日、大家さんから
「ずっと工事しているかと思ったよ。出来上がって感動した。」
と声をかけられ、さやかさんはオープンした喜びが増したそうだ。
大家さん、地域の人たち、友人たちも二人が寒い日も夜遅くまで作業をしていたことをしっかりと見ていたようだ。
オープンするとそんな見守っていた方々もお店に集まる日々が続いている。
人気のメニューは、オニオングラタン、ホタテソテーこがしバターのケッパーソース、牛ハラミのステーキなど。
ソムリエのさやかさんがこだわって作ったワイン部屋から運ばれてくる自然派ワインにもワクワクする。
お皿はかつて準備期間の時にフランスで調達をしたものも。
今、お店はできたてのシンプルな状態だけど、もっともっと進化していきたい。
これからも少しずつ手を加えていくそうだ。
楽しかった思い出がきっかけとなり、笑顔が溢れる場がまた生まれた。
衰退をしていると言われる沼津の街。
以前に比べると地価が下がり、若い人でも想いをしっかり持つと夢を実現できる場になってきたのかもしれない。
街はこうして築かれる。
街はしっかりと呼吸をしている。
住所 | 〒410-0801 静岡県沼津市大手町2-3-18 |
Tel | 055-913-2315 |
FB | https://www.facebook.com/Oublier-ウブリエ-185624738520489/ |
ランチ | 11:30~13:30(L.O.) |
ディナー | 18:00~22:00(L.O.) |
定休日 | 月曜・第1第3火曜日 |