【2013年の記事です。】
“職人にはこだわりがなければならない。
職人はひとつひとつ丁寧に教えたり、伝えなければいけない。
リードするのが職人である”
そう話すのは狩野川のすぐそばに店を構える
まきじ きざしの大将、小田島長次さんである。
まきじ きざしは東京日本橋で修業を積んだ大将による
沼津を代表する料理屋だ。
沼津でお店を構えて20余年になる。
料理人ではないお客さんが
料理を食べる時、
この食材が安全かどうか。
これは違うと気付く人がどれだけいるか。
多くの人は気づかないだろう。
嘘偽りのないものが並ぶのが大前提だから。
それを真摯に守り、伝えていくのが料理人だとまっすぐと伝えてくれた。
料理屋で食べる楽しみの一つとして料理人からの説明がある。
うるさく言われることや押し付けられることが嫌だという人もいる。
だからこそ“信頼関係”が必要だと。
“静岡には「本物」がある。
わさび、お茶、魚。。。
こんなに豊かな本物を使わないということはもったいない。
そして静岡の良さ、沼津の良さも含め、その「本物」を料理人は伝えていかなければいけない”
と言う。
だが、最近では国産の“本物”を使うとコストがかかってしまう。
だからといって同じものを冷凍や海外のもので代用しようとしても意味がない。
貴重なものは貴重なまま、本物のまま食べるのが必要に感じた。
時代の流れとともに失われつつある本物。
“職人ができること。
それは本物だけど貴重ではない食材に手をくわえ上手に使うこと。
そして貴重な食材と合わせて使うこと。”
たぶん本物に触れることは努力しないとできないのだと思う。
緊張してもお店に行ってみる。
食べてみる。
お金を払ってみる。
毎日というわけではない。
記念日や嬉しい事があった日。。。
私たちの意識が本物をどんどん手の届かないところに追いやってしまう。
食材もそうだが器やカウンターにもこだわりがある。
白の漆で塗られた真っ白のカウンター。
出会ったことがなければ扱いも変わってくる。
器も欠けてしまっても金継をして大切に使う。
大将が一生懸命つないでくれている、
本物との懸け橋。
“本物がなくなる世の中なら生きていてもしょうがないですから”
大将のまっすぐで嘘偽りのない言葉。
伝統を守り続けてくれることで
失われない“本物”
本物に出会える靜岡という場所。
料理屋に入るときもう一つのポイントを教えてもらった。
作法や食材など、わからないことは聞くこと。
そして、
“なにかを持って帰ること。
純粋に勉強したい、知りたいと思うことは料理のことでも器のことでもなんでも聞いてください。
このお浸しおいしいですね、どうやって作るんですか?というのでもいいんですよ。
素直に美味しいって感じてくれて聞きたいって思ってくれれば料理人は喜んで答えます”
本物がある場所で学べることはたくさんある。
本物に出会わないと学べないことがたくさんある。
≪まきじ きざし≫
沼津市魚町5番地201-1(シャリエ御成橋2F)
電話/FAX 055-951-0223
営業時間:昼席 12:00 ~ 14:00 夜席 17:00 ~ 21:00 日曜日休み